熊本豪雨 夫婦死亡「自宅で重なるように」
4日に大雨特別警報が出され記録的豪雨に見舞われた熊本県。各地で川が氾濫するなど、大きな被害が出ました。「怖かったですよ」「『お願いだから避難して』って言われたのに…」――。被災者に当時の状況を聞きました。
■救助された高齢者 声震わせ
一帯が浸水し、孤立状態となった熊本・球磨村の集落。電柱はなぎ倒され、橋の一部は流されていました。球磨村にある特別養護老人ホーム「千寿園」では、施設に浸水し14人が死亡しました。
「千寿園」から夫とともに救助された・堤ミサヲさん(90)は、声を震わせ当時の恐怖を思い返すように語ります。
堤ミサヲさん(90)「怖かったですよ。いつ下におろされるかと思って、こうして(両腕で抱きかかえるように)つかまえて。怖かった…。川に落ちないように、一生懸命つかまえて。千寿園もぐちゃぐちゃだったでしょ下が、履き物もなくなったし、飲み物もなくなったし。雨が降ったのは夜でしょ、寝ているから(改めて外を見た時には)、こんなに雨が降ったのかと」
■高齢の夫妻 リビングで重なるように…
大きな被害を受けた熊本県。熊本・人吉市では、85歳の西橋欽一さんと82歳の恵美子さん夫妻が自宅でみつかり、その後死亡が確認されました。
水が引いた西橋夫妻の自宅で、泥のついた写真などを整理していた娘・西村直美さんが目に涙を浮かべながら、2人のことを教えてくれました。
「2人夫婦でずっと一緒やったけん。ケンカしながらも仲がよくて、どっちも活動的でスポーツマンで、人に囲まれてていつもね」
2週間前に会ったばかりだったという直美さん、言葉をつまらせながら、当時の状況を語ります。
「たぶん(4日の)土曜日の日は、私が帰ると言ったから。8時ぐらいになって隣の人が、水が上がってきたから逃げるよって、避難するよって誘いに来てくれた。『お願いだから避難して』って言われたのに一緒に行かなかった。私が帰ると言ってたけん…。重なるようにテレビの前リビングで、隣の人が水が引いて、見にいってくれて見つけてくれて…。『いままでもずっと応援してくれてありがとう』って感謝しかない…」
(2020年7月7日放送 news zeroより)