なぜ感染者急増? 東京で243人新規感染
10日、東京都の新型コロナウイルス感染者は243人と、9日を上回り過去最多となりました。
どうして急増したのか、解説していきます。
■2日連続で感染者200人超
2日連続で200人を超えるのは初めてでした。
関係者によると、243人のうち、20代と30代が8割近くを占めているということです。そして、新宿エリアで100人程度いるということですが、このうち新宿区の集団検査で50人程度が感染確認されているということです。
小池都知事は会見で次のように述べました。
「検査を、おかしいなと思った方が受けられるようになった。その整備もこれまでと比べてかなりできたということで、むしろ自らの健康状況を知った上で感染しないさせないが広がっていくということは、むしろ是として受け止めるべきではないかと思います」
無症状者が陽性だと分からないよりも分かることが大きいとも話して、すぐに休業要請を再開するというような話には現状なっていないということです。
■増える「感染経路不明」
9日の感染者224人のうち、感染経路不明が104人です。推移を見ても、増えてきています。
専門家のなかには「すでに市中感染がおきていて感染が増える要因しかない。危機感を持っている」という人もいます。
9日の新規感染者、224人の内訳をみていきます。
“夜の街”関連は74人。この中の30代男性、大規模なクラスターが発生している鹿児島のショーパブ「NEWおだまLee男爵」を訪ねていました。このショーパブ関連では、すでに鹿児島で101人の感染が確認されていて、都内でも今回が2人目の確認です。
他に、家庭内が20人。会食や飲み会が14人。施設内が7人。職場内が5人。その他は半数近くですが、経路不明を多く含みます。
具体的に見ると、家庭内の中にはホストの息子から40代の母親へ感染したケースもあります。会食や飲み会の中には、20代の男性3人が会社の新人研修終了後の飲み会で感染したというケース。施設内の中では、同じ保育園内で園児5人の感染が確認されています。
いま“夜の街”が目立つといいますが、しっかり見ていくとそれ以外でも広がっていることが分かります。やはり行動範囲が広がっているため、今は増える要因しかないというのも、うなずけます。
■感染者急増のワケ
では、なぜ2日連続で200人を超えるまで急増したのでしょうか。東京都の担当者は理由を2つ挙げています。
1)検査数が増加
2)夜の街で働く人など、自主的に検査を受けている人が増加
東京都の担当者は「9日結果が出た人は『6日の月曜日』に受診している人が多い」と言っています。感染者は若者が多いので、調子が悪くても土日は静養して受診は月曜日にしている、ということ。また、夜の街で働く人は月曜日が休みの場合も多く、この休みに検査する場合もあるということです。
それを踏まえた上で東京都内の検査数の推移をみると、6日の月曜日が3734件と過去最多になっています。6日の検査結果が9日に出てくるため、9日の感染者が多くなったのではないかということです。ちなみに小池都知事は、検査数を1日1万件できるように体制を強化しつつあるというのが現状です。
ただ、6月下旬ごろから3000件前後の検査をしている日も多いため、検査数が増えてることだけが今回の急増の理由ではなさそうです。
小池都知事も9日、「専門家や臨床現場の先生方からのご意見でも『ただ検査が増えただけではない』『より注意が必要だ』と分析していただいたところ」と答えています。
■「医療体制は逼迫している状態」
東京都は医療提供体制の警戒度を示す、グリーン・イエロー・オレンジ・レッドまでの4段階を設けています。
これまではイエローの「体制強化の準備が必要」の段階でしたが、9日にオレンジの「体制強化が必要」の段階に引き上げたということです。モニタリング会議では医師から「だいぶ逼迫している状態だと考えている」という発言も出ました。
こうしたこともあり、東京都は新型コロナウイルス患者の病床数を、現在の1000床から13日までに2800床に増やすとしています。そして、軽症者などが滞在するホテルも新たに2棟確保し、第2波に備える方針ということです。
9日の新規感染者数は全国でも355人と、4月25日以降最多になっています。首都圏を見ると神奈川25人、埼玉22人、千葉22人、茨城1人、と若い世代を中心に増加しています。千葉で20人を超えたのは2か月半ぶりとなっています。
各々が感染拡大の傾向を理解し、自主的に行動を変えていかないといけません。引き続き注意が必要です。
2020年7月10日放送 news every.「ナゼナニっ?」より