“子ども放置は虐待” 埼玉県の条例案 一転取り下げ 反対の声高まり… 自民党県議団「猛省している」
小学校3年生以下の子どもを住居に残したまま親などが外出することを禁じる、という自民党埼玉県議団が県議会に提出した“虐待禁止条例案”。しかし「保護者の負担が重く、現実に即していない」ことを理由に反対の声が高まり、自民党埼玉県議団は一転、10日に条例案を取り下げました。
◇
全国に議論を巻き起こした埼玉県の「虐待禁止条例」改正案。
自民党埼玉県議団 田村琢実団長
「埼玉県議会虐待禁止条例の一部を改正する条例案につきまして、委員会の審査を終了しておりますが、諸般の事情を考慮し、取り下げをさせていただきたいと考えております」
10日に条例案を取り下げると発表しました。
◇
子どもの虐待を防ぐため、自民党埼玉県議団が議会に提出していた“虐待禁止条例案”とは…
自民党埼玉県議団 小久保憲一議員(10月4日)
「小学校3年生以下の児童の養護者は、当該児童を住居その他の場所に残したまま外出すること、その他の放置をしてはならないことを規定いたしました」
保護者や保育施設の職員などに対し、子どもを住居に残したまま外出すること、車に放置すること、そして子どもたちだけを公園で遊ばせることや、子どもたちだけでの登下校などを禁止するという内容です。
対象は小学3年生以下で罰則規定はありません。(小学4年生~6年生は努力義務)
◇
埼玉に暮らす子どもを持つ親は…
条例案に反対 子どもが3人いる母親(30代)
「条例の中身をみると、やっぱりちょっと厳しい。お留守番がさせられないとか、ちょっとおやつ買いに行くのもできなくなると言ったら、えーって」
条例案に反対 子どもが2人いる母親(30代)
「来年から1年生なので、1人で学校から戻ってこなきゃいけない部分とかも、これから出てくると思うので」
条例案に反対 子どもが2人いる母親(30代)
「子どもを常に連れて行くのは大変な面も。上の子だったら『ちょっと買い物待っててね』っていう場面も多少あるので」
一方、海外で暮らしているという母親からは、ほかの国に倣うべきという意見も。
条例案に賛成 シンガポール在住の母親(30代)
「シンガポールでは、子どもを1人で家に置いてはいけないと、もともとあるので。子どもの安全を守る意味ではすごくいいのかなと」
◇
条例案は今月6日に委員会で可決され、13日の本会議で採決される予定となっていました。しかし「保護者の負担が重く、現実に即していない」などの理由で反対の声が高まり、埼玉県によると、県に寄せられた1007件の意見のうち、1005件が反対、賛成は2件だけだったということです。(10日午後2時時点)
そして10日に事態は一変。
自民党埼玉県議団 田村琢実団長
「日本における子どもを放置している状況を再認識いただきまして、ご家庭での子育てオペレーションを一考いただきたい思いから、協議を進め提案に至った。説明が不十分であり、その不十分さが広く伝わったことによって国民や県民にご心配や不安が広がったと猛省している」
趣旨の説明が不十分だったとして、条例案は取り下げられることとなったのです。取り下げの一報を聞いた埼玉県民は…
子どもが2人いる母親(30代)
「ちょっとほっとしてます。このタイミングで(条例案が)通っちゃうと自分の生活的にも厳しいかなと思っていた」
自民党埼玉県議団によると、同様の改正案を今後議会に提出するかどうかは「ゼロベース」だということです。