男性の性被害、社会は変わったのか──当事者が今思うこと【ジュリー氏謝罪から1年<3>】
謝罪から1年、3つのポイントについて、ジャニー喜多川元社長からの性被害を告白した元ジャニーズJr.の橋田康さん、日本テレビ報道局の下川美奈・社会部長とお伝えします。
<1>被害者への補償の現状は?
<2>会社の約束は果たされた?
<3>男性の性被害 社会は変わった?
以下では「<3>男性の性被害 社会は変わった?」についてお伝えします。
(※<1>、<2>については別記事で配信)
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私たちはジャニー喜多川元社長の性加害問題とは別に、子どものころ性被害を受けたという男性に話を聞きました。
性被害を受けたという男性
「ジャニーズ問題がきっかけで、この1年間大きく変わったと思うのが、性犯罪被害・性暴力被害について、自分たちの問題なんだと社会全体が思うようになったと感じます」
「性暴力っていうのは日常に潜んでいるすごく卑劣な、すごく悲惨な、そして被害を一度受けてしまうと、一生引きずる可能性がある深刻な問題なので、社会がもう下火にすることなく、ずっと取り上げていってほしい」
鈴江奈々キャスター
「橋田さんはこの1年で社会が変わったと感じることはありますか?」
元ジャニーズJr. 橋田康さん
「どうでしょうね。その実感はなかなか難しいですが、僕自身、男性の性被害が実際にあったということを発言して、僕のみならず、何かを言うということが世間の周知につながったと思うので、男性が性被害を受けていたことを告白しても大丈夫だという環境が整う、一部のきっかけになったのであれば、自分の意義のあることができたのかなと思っています」
鈴江キャスター
「一方で、ひぼう中傷が続いて、以前やっていた仕事ができない状況も今、続いているとのことですが、最後にあらためて、SMILE-UP.にどのようなことを求めますか?」
橋田さん
「SMILE-UP.には、発信をしっかり続けてほしい。日本一の芸能プロダクションだと思っていますし、今でもジャニーズ事務所は日本で最高の芸能事務所だと思っています。やはり、かっこよくいてほしいなと思いますので、胸を張るところは胸を張ってほしいと思うので、今、加害者がいない状態でも責任を果たさないといけない人たちはしっかりいて、そこに対してしっかりと向き合ってほしい」
「メディアが取り上げてくれることが、一番大きな意味があると思うので、日本が変わっていくきっかけ、芸能の世界が変わっていくきっかけ、それを作るのがメディアの方たちだと思う。風化させないように、向き合い続け、何かのタイミングだけでなく、二度と同じようなことが起きないように、向き合い続けている姿を見せ続けてほしい」
「僕自身もネガティブになりすぎないように、ポジティブにこの活動自体も続けられるように頑張ります」
日本テレビ報道局 下川美奈 社会部長
「重たい言葉だと思います。男性の性被害の問題が認識され、少しでも訴えやすくなったのであれば、良かったとは思いますが、決して一過性で終わってはならず、きめ細かく報じ続けていかなければならないと思います」
「そして、SMILE-UP.と分離したSTARTO ENTERTAINMENT社についても、私たちは4月からSMILE-UP.同様、取材依頼を続けてきたんですが、こちらはいまだに回答が無いです」
「ジャニー氏の性加害問題では、私たち報道する側も『メディアの沈黙が被害を拡大させた』との指摘を受けたり、『事務所への忖度』といった問題が浮き彫りになったりしました。同じ過ちを繰り返さないように、引き続きSMILE-UP.やSTARTO ENTERTAINMENT社とは良い意味での緊張関係を持っていかなければならないですし、今日のような1年の節目だけでなく、橋田さんもおっしゃったように、動向を注視して報じていく責任があると改めて強く思います」
鈴江キャスター
「橋田さんにいただいた言葉、私たち伝え手としてもしっかりと受け止めたいと思います」