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一度の爆発で「数十万年分の電力」にも……“太陽フレア”で影響は? 「靴下に穴」「寝坊」…珍投稿も【#みんなのギモン】

2024年5月14日 11:40
一度の爆発で「数十万年分の電力」にも……“太陽フレア”で影響は? 「靴下に穴」「寝坊」…珍投稿も【#みんなのギモン】
各地で鮮やかなオーロラが観測され、話題になりました。約11年周期の爆発「太陽フレア」で磁気を帯びた風が地球に届き、磁場が乱れたことによる現象です。GPSや無線、電力などさまざまな分野への影響が心配されましたが、実際はどうだったのでしょうか。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「太陽フレア 影響どこまで?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。

●爆発でオーロラ どういう現象?
●SNSでも話題? 生活への影響は?

■世界各地で鮮やかな「オーロラ」観測

富田徹・日本テレビ解説委員
「太陽の表面で起きる爆発現象『太陽フレア』が相次いで発生したため、地上でもいろんな現象が起きています。石川・能登町で11日午前0時20分ごろに撮影された映像には、ピンクに染まったオーロラが映っています。石川県内では21年ぶりの観測となりました」

「11日午後8時半ごろには北海道・名寄市でも。鮮やかな赤のオーロラがきれいです」

斎藤佑樹キャスター
「僕もよく写真撮りに行くんですけれども、今回見られなかったのはすごく残念ですね」

鈴江奈々アナウンサー
「いつか撮ってみたいですか?」

斎藤キャスター
「撮ってみたいですね」

富田解説委員
「他にも、愛知や新潟などでも見られました。影響は地球規模ということです。中国の新疆ウイグル自治区では、赤いカーテンがくっきり映っています。アメリカやイギリス、スイスでも確認されています」

鈴江アナウンサー
「全世界で撮影されたベストショットみたいなものがSNSでどんどん共有されていて、食い入るように見ていました。『東京でも見られるんじゃないかな』と思って空を見てたんですけど、何もなかったです」

■8回の太陽フレア…その規模は?

富田解説委員
「確かにオーロラはきれいなんですが、ちょっと影響が心配なこともあります。そもそも太陽フレアとは、どういう現象なのか。太陽は活動が低下したり、活発になったりを繰り返しています。活発化するタイミングで起きるのが巨大な爆発現象の太陽フレアです」

「約11年周期の頻度で起きると言われています。今年はその周期に当たったということです。実際、観測された太陽フレアは日本時間5月8日から11日で8回。注目されるのは、その規模です」

「太陽フレアは、1度起きるだけでもすごいエネルギーを出します。総務省所管の情報通信研究機構によると、1度の大規模な太陽フレアの爆発で、人類が使う電力の数十万年分に相当するエネルギーが生み出されると言われています。想像つかないですよね」

斎藤キャスター
「なかなかこれをうまく使えるとは思えないんですけれども、使えたらいいですよね」

富田解説委員
「もったいない気もしてしまいますよね。しかも5月に観測された8回は、規模がかなり大きいのが特徴です。太陽フレアの規模は5段階に分けられ、小さい方からA・B・C・M・Xのクラスがあります。8回とも最大のXクラスでした」

■NASAによる太陽フレアの映像

富田解説委員
「NASAによる太陽フレアの映像を見ると、白く動いているのが分かります。これが爆発、太陽フレアです」

森圭介アナウンサー
「昔、理科の授業で教わった記憶がおぼろげにあります。この太陽フレアの爆発が原因でオーロラが発生したということなんですか?」

富田解説委員
「そうですね。どうして各地でオーロラが見られたのでしょうか」

■「磁気の乱れ」で低緯度でもオーロラが

富田解説委員
「太陽フレアが起きると、磁気を帯びた風が大量に放出されます。これが約1億5000万キロ離れた地球の磁場に届くと、磁場が乱れる『磁気嵐』が生じます。磁場が乱れた箇所に、地球の周りにある電気を帯びた粒子が集まってきて、それが見えるのがオーロラです」

「地球は北極と南極で磁石のS極とN極のようになっていて、普段はそこに引き寄せられてオーロラが見えますが、今回は磁気の乱れで各地に広がったということです」

鈴江アナウンサー
「太陽フレアの規模が大きかったからこそ、低い緯度でもいろんな所でオーロラが見られたということなんですね。ただ『磁気嵐』というだけあって、マイナスの影響も大きかったんでしょうか?」

■寝坊の原因?…SNSで投稿相次ぐ

富田解説委員
「暮らしへの影響を見ていきます。13日、SNSでたくさん見られたフレーズがあります」

「『寝坊は太陽フレアのせい』『太陽フレアのせいで仕事のやる気が出ない』『靴下に穴があいたのは太陽フレアのせい』など、太陽フレアという言葉を使ってさまざまな投稿がされています」

森アナウンサー
「仕事のやる気が出ないのは太陽フレアのせいかもしれないですね…」

■人工衛星からGPSへの通信に遅れ

富田解説委員
「人体への影響はないということで、靴下にも穴はあきません」

「ただ実際に影響のある分野があります。情報通信研究機構は、人工衛星の障害、GPSの誤差に注意を呼びかけています。太陽フレアの影響で人工衛星からGPS端末への通信に遅れが生じることで、誤差が生まれるということです。GPSは普段よく使いますか?」

斎藤キャスター
「僕はグーグルマップをよく使うんですけれども、グーグルマップを頼りに生きている感じです」

富田解説委員
「そのスマホの位置情報やカーナビへの影響が心配されています。実際に日本でも、スマホの位置情報で3~4メートルの誤差が確認されたということです」

河出奈都美アナウンサー
「3~4メートルで済んだのかとも思うんですけれども、スマホの通話は大丈夫なんですか?」

富田解説委員
「携帯電話の通信は地上局で行っているため、影響はないということです。ただ、他にも考えられる影響があります」

■無線がつながりにくくなる可能性も

富田解説委員
「航空機や船が使っている無線がつながりにくくなる可能性があるといいます。飛行機と管制塔との間で通信ができなくなると大変ですよね」

「ただ、太陽フレアに詳しい武蔵野美術大学の宮原ひろ子教授によると、カナダなど緯度の高い地域では警戒されているものの、日本などでは大きな影響はないということです」

■電力への影響…過去にカナダで停電も

富田解説委員
「電力への影響もあります。カナダでは1989年、磁気嵐によって変電所や送電網に故障が起き、大規模な停電まで起きました。ロイター通信によると、アメリカの当局は今回も送電網に障害が出る恐れがあると注意を呼びかけていました」

「ただ、宮原教授によると今回は磁気嵐のピークは既に過ぎているので、これから日本では停電のような現象は起きる心配はないとのことです」

鈴江アナウンサー
「全体的な影響は、いつぐらいまで心配した方がいいものでしょうか?」

富田解説委員
「宮原教授によると、13日や14日頃までは影響が続く可能性があるということです」

鈴江アナウンサー
「GPSのズレとかですか?」

富田解説委員
「そうです」

■米ではスペースXのサービスに障害

鈴江アナウンサー
「日本ではそれほど大きな影響がないということですが、海外では今回どうだったんですか?」

富田解説委員
「アメリカではスペースXという会社が衛星を使ったネットサービスを提供していますが、これについては障害が報告されているということです」

鈴江アナウンサー
「宇宙はスケールが大きいから日常にあまり関係がないと思いそうですけれども、宇宙空間の利用がどんどん進んでいるからこそ、影響をより身近に感じることが今後増えるかもしれないですね」

富田解説委員
「増えるかしれないですよね。影響のピークは過ぎているということなんですけれども、カーナビで運転する人などは14日頃まで気にしておくといいかもしれません」

(2024年5月13日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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