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【解説】ワクチン接種 日本での受け方は?

2020年12月10日 21:34
【解説】ワクチン接種 日本での受け方は?

各地で感染拡大が続く中、イギリスでは世界に先駆けてワクチン接種が始まりました。そして日本でも、具体的な接種手順などの詳細が明らかになってきました。

■東京で602人感染確認 夜の人出が増加

10日、東京では新たに602人の新型コロナウイルス感染者が確認されました。5日の584人を超え、過去最多です。急激な感染拡大を抑えなくてはいけませんが、各地の繁華街では夜間の人出が増加しているところが多く見られます。

9日夜10時台の人出を前の週と比べところ、新宿・歌舞伎町では15.7%減っていましたが、渋谷センター街では53%以上増加。お台場でも27%以上増えています。北海道・札幌のすすきのや、大阪のミナミ、愛知県名古屋市の栄でも人出が増えています。 

■東京 感染警戒レベル「最も深刻」

東京都は10日にモニタリング会議を開き、感染状況の警戒レベルは最も深刻な「赤」を維持しました。医療提供体制の警戒レベルも2番目の「オレンジ」を維持しましたが、専門家からは次のように厳しい声が上がっています。

東京都医師会・猪口正孝副会長「(医療提供体制の警戒レベル)橙色としているが、非常に苦しい状況にあるとご理解頂きたい」「入院患者の急増に伴い、新型コロナウイルス感染症患者のための医療と通常の医療との両立が、困難な状況になりつつあります」

また、新規陽性者数と感染経路不明者数はほぼ横ばい(9日までの1週間平均)ですが、9日の入院患者数は1820人で、緊急事態宣言の解除後最多。1週間で約200人も増加しています。9日の重症患者数は59人と横ばいでした。会議では医療提供体制が崩壊しないよう、全世代が感染対策を徹底する必要があると指摘されました。

■イギリス ワクチン接種でアレルギー反応

こうした中、ワクチンの導入が待ち望まれますが、イギリスでは8日からアメリカの製薬大手ファイザーなどが開発したワクチンの接種が始まっています。

地元メディアによると、初日だけで約5000人が受けたということです。ただ、そのうち2人は、急激なアレルギー反応が全身に出る「アナフィラキシー」のような症状が出たとの報告がありました。すぐに適切な処置が施され、二人ともすでに回復していますが、この2人の共通点は、過去に強いアレルギー反応を示した経験があったということです。

こうしたことから、イギリスの規制当局は、過去に食品や薬、ワクチンで深刻なアレルギー反応を示したことのある人は接種を控えるよう呼びかけています。

一方、アメリカでも、このワクチンの緊急使用を認めるかを話し合うFDA(=食品医薬品局)の諮問委員会が10日に開かれますが、イギリスでアレルギー反応が出たことを受けて、アザー厚生長官は「全てのデータを調べ、副反応についてもきちんと議論する」と、慎重に審査を進める考えを強調しています。

これに先だちFDAは、このワクチンの臨床試験のデータを検証した報告書を公表。副反応については、接種部位の痛み84.1%、倦怠感62.9%、頭痛55.1%、筋肉痛38.3%、悪寒31.9%、発熱14.2%などが見られたものの、安全性に深刻な懸念はなく、高い予防効果が確認できたとして、緊急使用許可に必要な基準を満たしている、との見解を示しました。

■ワクチン接種 受け方は?

このワクチンは、日本でも承認されれば2021年6月末までに6000万人分の供給を受けることで合意しています。ただ、すぐ全員に行き渡るわけではなく、医療従事者・65歳以上の高齢者・基礎疾患のある人が優先されます。

、厚生労働省は10日、接種に向けた具体的な体制を示しました。 
まず、ワクチン接種の対象となった人には、市区町村からクーポンが送られます。名前や管理番号が記載されていて、何回目の接種か分かるようになっています。接種は予約制で、原則自分の住民票がある市区町村の医療機関や用意された会場などで受けることになります。

そして、ワクチンを打ったら、接種済証が発行されます。ここには、どのメーカーのワクチンを接種したかなどが書かれていて、市区町村側もこうした情報を共有し、台帳で管理します。

複数のワクチンが流通するようになった場合、いつ、どのワクチンを何回打ったかという情報は、接種する側も自治体側も、しっかり把握しておく必要があります。今後、厚生労働省は、どこの医療機関でどの種類のワクチン接種を受けられるか、予約の空き状況などを調べられるホームページも整備するとしています。

海外で接種が始まり、日本でも接種に向けて着々と準備が進められています。ただ、今回のワクチンは開発から承認まで異例のスピードで進められてきたもので、イギリスのアレルギー反応のように、今後も予期せぬ副反応が出てくる可能性は十分考えられます。そうした一つ一つの知見を積み重ねて試行錯誤しながら、未知のウイルスとの戦いが続いていくことになりそうです。

(2020年12月10日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)