■容疑者逮捕「闇バイト」にナゼ応募？

富田 徹・日本テレビ解説委員
「今日のギモンは『闇バイト なぜ後戻りできない？』。首都圏で発生した一連の強盗事件に関係しているとみられるのが「闇バイト」ですが、一度誘い込まれると抜けられなくなる巧妙な手口があるんです」

「神奈川県横浜市の民家で住人の男性が殺害され現金などが奪われた事件では、実行役として22歳の宝田真月容疑者が逮捕されました」

「宝田容疑者は調べに対し容疑を認めていて、『税金の滞納が数十万円あったので短期間で稼げるバイトを探した』などと供述していることがわかりました。一方、宝田容疑者の父親が取材に対し次のように答えています」

宝田容疑者の父親
「信じられない、まだ。正直、『うちの子がやったの？』と半信半疑ですかね」

記者
「お金に困っていたり？」

父親
「そういうのも一切ない。なぜ闇バイトをどうしてやったのかとか…知りたい」

■身近なところに潜む「闇バイト」求人

鈴江奈々アナウンサー
「家族も、時には本人も気づかないうちに闇バイトを通じて犯罪に手を染めてしまう事例というのが、このところ続いているので、なぜ手を出してしまうか、どこに落とし穴があるのか、本当にギモンです」

富田解説委員
「宝田容疑者の供述をまとめます。闇バイトの募集内容には「ホワイト案件」と書かれていたと供述しています」

斎藤佑樹キャスター
「ホワイト案件のホワイトってどういう意味ですか？」

富田解説委員
「この案件は“白”、つまり犯罪ではないですよとアピールして誘い込んで、実際には犯罪に加担させるというものです」

■求人募集 “ホワイト案件”と誘い込む手口

「さらに『個人情報を知られていたので、仕返しや家族への危害を考えると断れなかった』とも供述しているということです。闇バイトは応募の時に送った身分証明書をたどって、脅されてしまうケースがあるんです」

森 圭介アナウンサー
「インターネット上でアルバイトを募集すると、身分証明書を求められることが多いので、そこで気づくのは難しいかもしれないですね」

◇

富田解説委員
「一連の強盗事件を受けて警察庁幹部が、18日、異例の呼びかけを行いました」

警察庁生活安全企画課長　阿波 拓洋 氏（警察庁公式Xより）
「犯罪に加担しようとしている方へ伝えたいことがあります」

「自分自身や家族への脅迫が理由であっても、強盗は凶悪な犯罪です。犯罪に関わってはいけません」

「勇気をもって抜けだし、すぐに警察に相談してください。警察は相談を受けたあなたやあなたのご家族を確実に保護します」

富田 解説委員
「警察庁は同時に全国の警察に対して、相談してきた人やその家族を適切に保護するよう指示したということです」

斎藤キャスター
「早く相談することが大事ですよね」

■闇バイトに手を染めるきっかけが…

富田解説委員
「瀧口さん、闇バイトの募集に使われるツールは何か思い当たりますか？」

瀧口麻衣アナウンサー
「XやインスタグラムなどのSNSでしょうか？」

富田 解説委員
「まさに。これは警察庁が特殊詐欺の“受け子”などの実行役となった容疑者に対して行った調査です。手を染めるきっかけは何だったのか調べていまして、対象は2023年1年間、全国の警察に検挙されたおよそ2400人です」

「この中で一番多かったのは『SNSで応募』で991人。次いで知人などの紹介もありますが、注目したいのは82人です。こちら『求人サイト』です」

鈴江アナウンサー
「普通のアルバイトとかの募集に交じって、こういった闇バイトもあったという事例ですか？」

森アナウンサー
「え？あの中に？」

■大手求人募集サイトが悪用されている！

富田解説委員
「大手求人サイト、インディード、ジモティー、エンゲージなど私たちも聞いたことがあるような、こうしたサイトが悪用されたケースもあったということです」

斎藤キャスター
「まさに大手の企業が（求人を）出していると信じちゃいますよね」

鈴江アナウンサー
「入り口で安心感がありますよね」

富田解説委員
「そのため、運営会社は利用者に注意喚起をするなど再発防止対策に取り組んでいます。エンゲージは求人情報を掲載する際に求人元のメールや電話番号、顔写真付きの身分証を認証するほか、外部機関も通じて企業情報などをチェックするなど厳しく審査するとしています」

森アナウンサー
「求人サイトって一言で言っても、膨大な量の求人案件がありますよね。一つ一つにこの取り組み、身分証提示したり企業情報チェックしたりとなると、サイト側の負担というのもかなりのものになりますよね」

富田解説委員
「そういうのも求められる時代になっているということで、自分がアルバイトを探さなかったとしても、例えば身近な人がアルバイトを探して、誤ってこういうところに連絡をとってしまったら…と心配にもなると思うのですが、そこで２つめのポイントです」

■募集内容を比較　闇バイト求人の特徴は？

富田解説委員
「闇バイト　見分け方は？」

「これは東京都の特設サイトなんですが、SNSに掲載される求人情報の例を挙げてどちらが闇バイトか、クイズにしています」

「Aは、段ボールを運ぶだけ！最低1件5万円。只今ボーナスあり」

「Bは、年末年始・高時給！お友達同士での応募も大歓迎、今すぐエントリーを！と呼びかけています。こちらはどちらだと思いますか」

瀧口アナウンサー
「私は、Aが闇バイトかな…。Bの方が、1日3時間とか時給1400円とか具体的な、一般的なことが書かれているかなと思って、1件5万円というところが怪しいなと」

斎藤キャスター
「僕もAですね。段ボール運ぶだけで1件5万円はちょっと怪しいですね」

森アナウンサー
「相場からするとね、だいぶ高い感じですよね」

富田解説委員
「正解は…Aです。闇バイトの一種“運び屋”の可能性があると。見分けるポイントも書かれていまして、まず『段ボールを運ぶだけ』これは、中身が現金かもしれないと指摘しています」

鈴江アナウンサー
「確かに、何を運ぶとは中身が書かれていないですよね」

富田解説委員
「それから、『最低1件5万円』これも報酬として高すぎます。時給の記載もないのが怪しい。そして、連絡のやりとりがダイレクトメールという点も怪しいポイントだといいます」

■ハッシュタグUDとは？

富田解説委員
「2問目です。Aは、初心者大歓迎電話受付のお仕事。気の合う仲間が見つかるかも。シフト調整・髪型・服装自由」

「Bも電話受付のお仕事。ダイレクトメールで応募限定3名様5万円から。さらに、ハッシュタグで先ほど触れたホワイト案件。これはどちらが闇バイトでしょうか」

鈴江アナウンサー
「これはわかりやすいですね」

斎藤キャスター
「これはBですよね」

富田 解説委員
「正解はBです。この募集は特殊詐欺の“架け子”にされる可能性があるんです。このサイトも連絡はダイレクトメール。報酬も高すぎる。さらに『＃UD』とあります。これ、なんのことかわかりますか？」

斎藤キャスター
「これは…何ですか？」

富田解説委員
「受け子の“U”、出し子の“D”を指す隠語だそうです」

鈴江アナウンサー
「暗に闇バイトですよとハッシュタグを付けて言っているようなもの？」

富田解説委員
「東京都ではこうした問題、全部で3つ挙げて高校生250人に回答してもらったところ、全問正解したのがわずか「23％」でした。しかもこれはあくまでも一例です」

「東京都は、求人募集のサイトなどはすぐにコンタクトをとるのではなくて、立ち止まってチェックすることも必要だと呼びかけています」

「特殊詐欺などのグループは検挙されても次々と新手が現れて、勧誘の手口もどんどん進化しているので、本当に繰り返し注意喚起していくのが大事だと思います」

(10月21日『news every.』＃みんなのギモンより)