速度超過や信号無視などの交通違反をすると、払うことになる“反則金”。警視庁によると、去年、比較的軽い交通違反者に交付される“青切符”の件数は、都内でおよそ65万件。うち、1万3000件は反則金を払っていないといいます。
なぜ、反則金を払わないのか？そして、払わずに放置し続けると、どうなってしまうのか？捜査員に密着し、実態を調査しました。

■スピード違反の男性 「早く帰りたかった…」

警視庁の交通機動隊が追跡していたのは、スピード違反の車。

交通機動隊「橋を下まで下りてください」「速度がちょっと速かったので速度違反です」
男性「（速度）出しすぎかなとは思いました」

運転していたのは50代の男性です。

交通機動隊「運転手さん、77キロ。（制限速度は）50キロ道路になります」

27キロオーバーの速度違反です。

交通機動隊「速度を出した理由は？」
50代男性「毎日（速度は）出していない」
交通機動隊「今日に限って？」
50代男性「仕事で疲れて早く帰りたい。風にあたっていたら気持ちよくなっちゃって」
交通機動隊　
「あの速度で気づかないで 渋滞があそこまであったら 追突しちゃいますからね」

男性には、違反点数３点、反則金1万8000円が科せられました。

■“青切符“違反 都内では65万件 反則金を払わず放置する人も

速度超過などの交通違反をすると、払うことになる“反則金”。警視庁によると、去年、比較的軽い交通違反者に交付される“青切符”の件数は、都内でおよそ65万件。うち 1万3000件は払われていないといいます。

■反則金を払わず母親が逮捕…　捜査員「我々が来るときは最後」

6月、ある日の早朝。捜査員が向かったのは、小学生の子どもをもつ母親の自宅です。反則金を１年以上払わないでいるといいます。記者が密着しました。

日本テレビ社会部・警視庁担当 小林克之進 記者
「捜査員は出勤前とか家にいる時間帯を狙うので（訪問が）必然的に朝が早くなる」

捜査員「（ピンポーン）電気ついているよね？」

母親はパートのため、すでに自宅を出ていました。捜査員は、仕事中の母親に電話をかけ、すぐ戻るよう説得します。
およそ1時間後…。

記者「捜査員が出頭に応じなかった違反者に説明し、これから車に連れていきます」

捜査員「我々は来るときは もう最後なんですね」
「道路標示により 車両通行帯の進路変更を禁止した黄色の線のところを進路を変更したものであるということで（午前）8時50分、逮捕状を執行します。通常逮捕。手錠をかけます」

6000円の反則金を1年以上払わず放置すると、逮捕されてしまう場合もあるといいます。

逮捕された母親は－。
「まだ正直（払わなくても）いけるかなと思いました。最後に（出頭の）通知を頂いたときに 『払わなきゃ』と思っていたんですけど、子どもの積み立てや 習い事に（お金を）割いてしまいました」

捜査員「先延ばしにしてしまった事が原因ですか？」
母親「すみません」

■反則金を2年間滞納した男性 「生活が“カツカツ”」

別の日。捜査員が向かったのは、反則金を2年間払わないでいるという30代男性の自宅。7000円の反則金を払わなかったとして、逮捕されました。コロナの影響で配送業の仕事がなくなり、払えなかったといいます。

捜査員　「どれくらいですか？ 稼げる賃金は？」
30代男性 「（月の平均で）50万（円）ぐらい」
捜査員 「50(万円) 結構いきますね」

捜査員 「手元に残るお金は？」
30代男性「何も残らないです　本当にカツカツなんですよね」
捜査員 「カツカツね」

捜査員「（交通違反は）令和3年の6月。今日が令和5年の6月。2年間あったんですね。1円たりとも、こっちに割けなかったのか考えて」
30代男性「そう言われたら、『すみません』としか言いようがないですよ」

捜査員の言葉に、男性は反省しました。

■都内で851人が逮捕 “後回し” “面倒”で払わず放置する人も