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尾身会長 若い世代に拡散してほしいこと

2021年1月21日 19:46
尾身会長 若い世代に拡散してほしいこと

緊急事態宣言からおよそ2週間。新規感染者も重症者も、減少する傾向は見られません。そして、感染して回復したあとも後遺症に苦しむ若い世代も増えていて、専門家は警鐘を鳴らしています。政府の分科会の尾身会長は「20代~50代の皆様へ 今、実行・拡散してほしいこと」というメッセージを、SNSなどで拡散して欲しいと訴えました。

21日、東京では新たに1471人の新型コロナウイルスの感染が確認され、9日連続で1000人を超えました。重症者は昨日から1人減って、159人となっています。厚生労働省によりますと、20日時点の全国の重症者は、過去最多となった19日と同じ1014人ということです。

■日本医師会会長「トリアージもせざるを得ない状況」

日本医師会の中川会長は20日の会見で、命の選別の危機が迫っていると訴えました。

中川会長 
「現在、緊急事態宣言地域を中心に医療崩壊という状態が多発し、日常化してきました。これが面で起こると医療が壊滅状態になります」「現状のままではトリアージもせざるを得ない状態です」

トリアージとは、患者の緊急度や重症度などに応じて治療の優先順位をつけることです。助かる命に優先順位をつけることは絶対避けたいと、中川会長は訴えています。

■布やウレタンより、不織布マスクを

さらに、中川会長はマスクについても言及し、「手作りマスクやフェースシールドは不織布マスクに比べて、感染防止効果が低いとされているマスクもある」としました。不織布のマスクとは、よく見かける使い捨てのマスクです。

マスクの素材によって感染を防止する効果に違いがあることが、スーパーコンピューター「富岳」のシミュレーションで明らかになっています。シミュレーションの中で、咳をした時の飛沫を不織布マスクと、布マスクで比べると、不織布マスクはマスクを通り抜ける飛沫がほとんどないことが示されています。また、ウレタン素材と比べてみると、ウレタンの方が飛沫がマスクから通り抜けているのがわかりました。

ただ、不織布のマスクにも、種類によっては防止効果に違いがあり、薄いものなどは飛沫がもれてしまうものもあるので注意が必要です。

そして、ドイツでは、公共交通機関を利用するときや買い物をする際には、不織布よりもさらにフィルター機能に優れた医療用マスクを着用することが新たに義務づけられました。
  
中川会長は、マスクをただつけるだけでなく、鼻と口をしっかりと覆って正しくつけてほしいといっています。


■尾身会長「20代~50代の皆様へ 今、実行・拡散してほしいこと」

また、政府の分科会の尾身会長も20日、コロナ専門家有志の会というサイトにこんなメッセージを載せてSNSなどで拡散して欲しいと訴えました。

タイトルは「20代~50代の皆様へ 今、実行・拡散してほしいこと」

なぜ、この世代なのでしょうか。

東京の直近1週間の新規感染者数を年代別で見ますと、20代から50代で71.1%をしめています。さらに、感染しても無症状や軽い症状で済んでしまうことも多く、感染しても気づきづらく、この年代が家庭や職場などに感染を広げてしまうケースが増えています。一方、尾身会長は「若い世代でも重症化したり、後遺症に苦しんだりしてる人もいる」とも言っています。

■深刻な後遺症 脱毛に苦しむ女子大学院生の言葉

新型コロナの後遺症外来をもうけている東京・渋谷のヒラハタクリニックによりますと、去年11月下旬からの2ヶ月間だけでも、後遺症とみられる症状を訴える患者は653人にのぼるということです。

年代別にみると、10代から40代までで全体の8割近くを占めており(79.6%)、比較的若い世代も後遺症に悩まされていることがわかります。

具体的には、以下のような症状が出ているといいます。

倦怠感:94.7%
頭痛:78.4%
息苦しさ:75.9%
脱毛:48.8%
嗅覚障害:42.5%
味覚障害:36.4%

実際、後遺症とみられる脱毛に苦しむ女子大学院生に話を聞くことができました。

「手で髪をすくだけでも10本以上、一気に髪が抜け落ちてしまう状態で、外出する時は常に帽子やフードなどで頭を隠している状態です」
「髪の毛がやはりかなり目立つので、ちょっと就職もしづらいのでこの先一体どうしていいのか」

この女性によりますと、最初に発熱などの症状が出たのは去年7月で、10月には新型コロナの後遺症と診断されたそうです。

女性は大学院を退学することも考えているといい、「自分がかかった辛さやそれによって人生や今後の進路に大きく影響が出たので、慎重に健康や体調に気を遣ってほしい」と話しています。




尾身会長などの専門家が「実行して欲しい」といっていることは4つです。

・3密避ける
・会話をするときはマスクをする
・昼夜問わず外出控える
・食事は1人か、いつも会ってる人と少人数で

これらの対策を自ら実行して、知り合いに拡散して広めて欲しいと話しています。

尾身会長があえてSNSでも拡散して欲しいと訴えていること自体に、それだけ若い人々に危機感を持ってほしいという切実な思いが表れていると思います。

メッセージの最後に、尾身会長は「若い世代の皆さんが日本の危機を救う立役者になってくれると信じている」と結んでいます。一人でも多くの若い世代にこのメッセージが届いてほしいと思います。

(2021年1月21日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)