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“宣言”延長へ 注目「練馬区モデル」とは

2021年2月1日 20:16
“宣言”延長へ 注目「練馬区モデル」とは

■「緊急事態宣言」1か月延長で最終調整 栃木は解除の方向
 2月1日、東京では新たに393人が新型コロナウイルスに感染したと発表されました。400人を下回るのは去年12月21日以来となります。重症者の数も133人と1月31日より7人減っています。
 こうした中、政府は緊急事態宣言の延長を2月1日に決定する方向です。宣言は東京・神奈川・大阪・京都など11都府県が対象で、1週間後の7日、日曜日に期限を迎えます。政府はこれを3月7日まで1か月間延長する方向で最終調整をしているという段階です。ただ栃木県については、感染状況が改善しているため、延長せずに解除する方向で最終調整をしています。
 11都府県の状況について、感染状況が「ステージ4」に相当するかどうかの指標で比較すると、栃木県が基準を超えているのは「療養者数」のみです。一方、東京では重症者の病床使用率が107%と、ステージ4の50%という指標を大きく超えて深刻な状況になっています。
 また、岐阜県については感染状況が改善してきてはいますが、ある政府関係者は「岐阜も解除できるが生活圏が愛知と一体なので難しい」と話しています。つまり緊急事態宣言の解除は、数字だけでは判断できないということになります。

■3度目の“宣言”も!? 解除のタイミングで感染者数に変化は?
 宣言解除のタイミングが、今後の感染者数にどう影響するかについてのシミュレーションがあります。東京大学大学院の藤井大輔特任講師が作成した、東京の感染者数についてのシミュレーションです。週の1日あたりの新規感染者数の平均が500人レベルの段階で宣言を解除した場合、4月末には感染者数が1日平均2000人のレベルにまで跳ね上がります。こうなると、また緊急事態宣言を出して感染者数を減らすしかなくなり、宣言が出ることで経済的なダメージも受けるということになります。
一方、週の1日平均を250人まで減らして解除した場合は、感染者数の増加はなだらかになります。藤井特任講師によると、その頃には「ワクチンの接種」が行われている想定もあるためということで、緊急事態宣言を改めて出さなくても、収束に向かうと予測しているといいます。週の1日平均を250人まで減らして解除した場合だと、母数を低く抑え込んでいる上にワクチン接種である程度、抑制できるというシナリオになってきます。しかもその方が、経済的な打撃も予想される死者数も少なくなるとみています。経済面での影響もあわせて見ていくことが重要になります。

■ワクチン接種で注目 「練馬区モデル」とは
 収束に向けて期待されるのが、ワクチンの接種です。各自治体が準備に追われる中、東京・練馬区が「練馬区モデル」という接種体制を発表しました。この「練馬区モデル」とは、かかりつけ医など診療所での個別接種をメインにする形の仕組みです。ワクチンは区内の4つの施設の冷凍庫にマイナス75度で冷凍保存されています。それを区が小分けして2度から8度で区内250か所の診療所に車やバイク便で配送します。住民は、事前にかかりつけ医や診療所などに直接予約して接種するということです。この予約の数に応じてワクチンを配送をしてもらうという流れになります。このワクチンは5日以内に使い切る必要があるという仕組みです。
かかりつけ医がいない場合や、土日を希望する場合には、集団接種会場を用意してカバーするということで、集団と個別の組み合わせとなっています。
練馬区の担当者によると、練馬区には600の診療所があり、その一部でこのワクチンを接種できるようにするということですが、インフルエンザの場合も診療所で接種をしていたため、同様に実現可能だということです。この練馬区モデルを、厚労省も先行事例として自治体に紹介しています。

■“早い・近い・安心” 「練馬区モデル」のメリット
 「練馬区モデル」のメリットは、「早くて」「近くて」「安心」ということです。「早い」とは、高齢者の接種の完了に国はワクチンの供給がうまくいった場合の想定で2か月半かかるとみていますが、練馬区は「練馬区モデル」だと1か月半で完了できると見込んでいます。次の「近い」ということについては、やはり家から近い診療所でワクチンを打ってもらえると移動が楽だということです。「安心」については、かかりつけ医だと普段から「血圧が高い」とか、「糖尿病」などを認識しています。先日も神奈川県川崎市でワクチン接種の訓練をしていましたが、問診に時間がかかったということで、こういう仕組みがあることのメリットは大きいですよね。

 さらに別のメリットもあります。練馬区の医師会によると、集団接種だと医療スタッフが足りないけれど、診療所だと人員が抑えられるということです。ただ、ワクチンを無駄にしないために診療所ではルールがあります。接種は「予約制」で、1日の予約数を6の倍数にするということです。なぜなら、ファイザーのワクチンというのは1本6回分だからです。そのため、1回針を刺すと6人打たないと無駄になってしまいます。だから6の倍数がいいということで、当日キャンセルが出た場合は、その分のワクチンを付き添いで希望する方にも接種し無駄を出さないようにするということです。在宅の患者もいるため、6の倍数にできるかどうかが課題となります。今回のワクチンは、インフルエンザワクチンとは大きく違ってデリケートなワクチンです。ワクチンそのものの条件に合わせて接種の計画を組まないといけない面があります。ですから接種する側も、これを十分理解する必要があります。

(2021年2月1日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)