「7回」も可能…ワクチン“注射器”の工夫
急がれるワクチン接種。課題となっているのが注射器の「デッドスペース」です。一般的な注射器で5回分、特殊なもので6回分取れますが、インスリン用を使うと7回分取れることが分かりました。懸念もありますが、京都の病院はある工夫を凝らしています。
■なぜ“7回分接種”可能に?
感染拡大防止のカギを握るワクチンで、これまで1瓶で6回分が最大とされていましたが、京都の宇治徳洲会病院は、7回分接種できると発表しました。末吉敦院長は「インスリンの注射器で7本取れます」と話します。
一般的な注射器は、接種後、先端部分にワクチンが残る「デッドスペース」ができてしまうため5回分のみ。特殊な注射器だと、突起があることで6回分取れますが、注射器の数が足りていません。
一方、インスリン用の注射器だと、デッドスペースがほぼゼロのため、7回分取ることができるといいます。これにより、ワクチンがより多くの人に、早く行きわたる可能性があります。
■“皮下脂肪”測定で懸念に対応
ただ、気になるのは針の長さです。「(一般的な注射器の)半分くらいの長さまでしかないので」と末吉院長は言います。
ワクチンは筋肉に注射する必要がありますが、インスリン用は針が短く、人によっては筋肉に届かないのではという懸念もあります。そこで宇治徳洲会病院では、エコー検査で皮下脂肪の厚さを測り、筋肉に届くかを確認した上で、接種を行っています。
河野ワクチン担当相は9日、「こういう創意工夫はどんどんやっていただきたい。理論上7回取れる分の液は入っていますので」と会見で述べました。
■テルモも7回分の注射器を発表
接種が急がれるワクチン。医療機器メーカーのテルモも9日、デッドスペースが少なく7回の接種が可能な注射器を発表。3月中に生産予定です。
(3月9日『news zero』より)