いよいよ聖火リレー 密なら区間スキップも
首都圏は22日に新型コロナウイルス感染拡大にともなう緊急事態宣言が解除されましたが、ここにきて、感染者が急増し、独自の宣言を発表した地域があります。25日にスタートする聖火リレーはどうなるか、解説します。
■首都圏で宣言解除も…山形で深刻な状況
東京では23日、新たに337人の新型コロナウイルスへの感染が確認されました。4日連続で前の週の人数を上回っていて、増加傾向が続いています。
そして、ここにきて深刻な状況になっている地域があります。山形県と山形市は22日、独自の緊急事態宣言を発表しました。今月7日まで山形県の新規感染者は8日連続で0人でした。ところが今月18日に11人となってからは日に日に感染者が増加し、21日は過去最多の31人、22日も21人の感染が確認されました。病床占有率は22日の時点で25.7%で、政府の指標でいうと最も深刻な警戒レベルの一歩手前を示す『ステージ3』です。
22日に行われた会見で、山形県の吉村知事と山形市の佐藤市長は、それぞれ次のように述べました。
吉村知事「県内は感染の第3波に突入している状況であります。急激な感染拡大に大変な危機感を持っております」
佐藤市長「個々人がどういう場面がリスクが高いかということを、しっかり自覚して行動していただくことに尽きると」
独自の緊急事態宣言の期間は、来月11日までとなっています。感染者急増の中心となっている山形市が対象で、市内全域で不要不急の外出自粛を求めるほか、ほかの市町村に対しては山形市との往来を控えるよう呼びかけています。
■隣県・宮城県の感染者急増が影響か
今月に入って介護施設や夜の街などで相次いでクラスターが発生している山形ですが、そもそもなぜ感染者が増えたのでしょうか。山形県の吉村知事は会見で、感染が拡大した理由について、「注意・警戒レベルを引き下げたこと、『隣県』で感染者数が急激に増えたことが連動した」と話していました。
山形県では今月7日に、独自の注意・警戒レベルを『レベル4』から『レベル3』に引き下げていました。さらに、感染者数が急増していた『隣県』の宮城県では、18日に独自の緊急事態宣言を発表、その後20日には過去最多となる125人の感染が確認されるなど、深刻な状況が続いています。
隣接する宮城県からの影響については田村厚生労働大臣も懸念を示していて、「局所的、地域的なクラスターはこれからも各地で起こりうる」と話していました。
■いよいよ聖火リレー
こうした中、25日には聖火リレーが始まりますが、これまでスタートランナーが『なでしこジャパン』であることは分かっていましたが、誰が走るのかは明らかになっていませんでした。
それが23日、メンバーの1人は佐々木則夫前監督だと分かりました。佐々木さんのほか、なでしこジャパンの誰が走るのかはまだ分かっていませんが、いよいよスタートが近づいてきたことを感じさせます。
聖火リレーは、福島県楢葉町の『Jヴィレッジ』をスタートして、121日をかけて全国をまわります。出発のセレモニーには、石原さとみさんやサンドウィッチマンのお2人など、聖火リレーのアンバサダーが参加するということです。
■聖火の現在地はスカイツリーで分かる!
そして、聖火リレーがスタートしたら、気になるのは、今どこを聖火は走っているのか…ということですが、これは東京スカイツリーを見れば分かるようになっています。聖火が走っている都道府県の『イメージカラー』にライトアップされるのです。
例えば、栃木県の色は『いちご』の赤と、県旗の色である『白』と『緑』の3色からなります。3色並べた時に、ホストタウンとして登録しているハンガリーの国旗の色になるようにしたということです。
香川県は、県の花であるオリーブと、瀬戸内海の青の間に『うどん』の白。沖縄県は、空とハイビスカスと海をイメージ。京都府は、府旗の色である紫。東京都は、未来へ広がる青い空をイメージしてブルーとなっています。色は、各都道府県が自分たちで決めたということです。また、色だけでなく、都道府県名もスカイツリーの天望デッキに表示されるということです。
■聖火リレー拍手で応援…「密」なら区間飛ばす判断も
聖火リレーが始まればいよいよオリンピックですが、「気持ちが追いつかない」という人も少なくないようです。先月、NNNと読売新聞が共同で行った世論調査でも、今年夏の東京オリンピック・パラリンピックをどうすべきかについては「再び延期する」が最も多く33%、「中止する」が28%で、合わせて6割にのぼっていました。
【NNN・読売世論調査/2/5~7 全国有権者に電話調査/固定電話540人(回答率62%)/携帯電話562人(回答率47%)/合計1102人が回答/http://www.ntv.co.jp/yoron】
そこで重要となる感染対策ですが、聖火リレーを沿道で観覧する際の注意点としては、
・家の近所で観覧
・他県での観覧は控える
・大声を出さずに「拍手」で応援
などが挙げられています。
また、沿道では密にならないよう注意しなければいけませんが、なにをもって『密』とするか、今回、大会組織委員会は次のような判断基準を発表しました。
・多くの観客が肩が触れ合う程度に密接している
・観客が十分な間隔を空けずに複数列に重なり合っている
これに加えて、広報車や地元自治体などが注意を促していくとのことです。密が解消されない場合は、最終的にはその区間のリレーを飛ばす判断も検討するとしています。
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オリンピック開催に不安を抱いている人もいると思います。組織委員会にとっては、コロナ対策に加えて「機運の醸成」も大きな課題となっていて、会長自ら定例の会見を増やし、情報発信に努める動きをみせています。
コロナ対策と大会をどう両立させるのか、合理的で具体的な根拠を示し、しっかりと説明して、国民の不安解消に努めてほしいと思います。
(2021年3月23日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)