迫る聖火リレー コロナ対策は?ルートは…
東京オリンピック聖火リレーのスタートまで、あと1か月。五輪が迫るなか、新型コロナウイルスのワクチン接種は順調に進められるのでしょうか。聖火リレーにおける新型コロナウイルス感染症対策についても詳細が発表されました。詳しく解説します。
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■感染者減少も「スピードが鈍化」
25日、東京では新たに340人の感染が確認され、5日ぶりに300人を上回りました。緊急事態宣言以降、新規の感染者数は前週と比べて減ってきていますが、2月に入ってからは、東京都が感染抑制の目安としている前週比70%を超えてしまっていて、25日は78.8%となっています。
専門家は「感染者の減少スピードが鈍化していて、感染者数が下げ止まってきている」と指摘。「ここで宣言を解除すると、リバウンドの懸念もある」と警鐘を鳴らしています。
■高齢者接種『4月12日』から限定的に開始
ワクチン接種について24日、新たな発表がありました。今月17日から医療従事者への先行接種がはじまり、3月以降に全国の医療従事者などへの優先接種がはじまる見通しです。その後、65歳以上の高齢者の接種が行われる予定ですが、これを『4月12日』から限定的に開始することが新たに発表されました。まず、数量を限定して段階的にワクチン接種を開始するのです。
まず、4月5日の週におよそ5万人が2回ずつ接種できる量のワクチン100箱を配送します。人口の多い東京、神奈川、大阪は4箱ずつ、それ以外の44道府県は2箱ずつとなっています。
その後、4月12日の週は、およそ25万人分にあたる500箱を、東京、神奈川、大阪に20箱ずつ、それ以外の44道府県に10箱ずつ配分します。その翌週も同様に配送します。ここまでで55万人分で、4月26日の週からは全国すべての市町村に行き渡るように配送する考えだということです。
最初は数量を限定して実施し、システムや会場の運営の段取りを丁寧に確認しながら広げていきます。混乱を避けるためにも慎重に行う必要があるのです。しかし、対象となる高齢者は3600万人にのぼるので、順調に進まない可能性もあります。
■懸念は『供給数量』と『EUの承認』
河野ワクチン担当大臣は、今後の不確定要素として、『ファイザーの供給数量』と『EUの承認』があると話していました。そもそもファイザー社が予定通りの量を供給するのかどうかという点、さらに、EU域内の工場でつくられたワクチンは域外に出荷する際、毎回『EUの承認』が必要になるという点です。もし出荷時にEU内でワクチンが不足している場合、簡単には承認が下りない可能性も考えられます。この2つが不確定要素として懸念されているのです。
■ネット中継を…聖火リレー『コロナ対策』発表
そうした中、1か月後には聖火リレーがスタートする予定です。3月25日に福島をスタートして、愛知、大阪、福岡などをまわって、7月23日に東京・国立競技場に到着します。全国859の市区町村を、およそ1万人のランナーが駆け抜けて聖火をつなぎます。
聖火を沿道で見たいという人も多いかと思いますが、気になるのが新型コロナ感染症です。大会組織員会は25日、聖火リレーにおけるコロナ対策についてガイドラインを発表しました。
沿道で観覧する際の注意点としては、次のようなものを挙げています。
○家のパソコンで観覧
○住んでいる都道府県以外での観覧は控える
○応援する際は大声を出さずに拍手
○『配布グッズ』を活用する
この「配布グッズ」は、当初はうちわなどの暑さ対策のグッズを用意する予定でしたが、これを変更して、コロナ対策のために、声を出さなくてもたたいて音が鳴るような応援グッズを配布することが検討されています。
一方、聖火ランナーが守るべきガイドラインとしては、「走る2週間前から『会食』や『密集場所』への外出を避けること」「体調管理チェックシートを記入すること」などがあります。
そのほか、沿道の人を含めて関係者全員にマスクの着用が求められますが、ランナーに関しては、走っている最中のみ着用しなくてもいいことになっています。また、著名人ランナーなどで過度な密集が発生した場合は、リレーを中断することもあるということです。
3月2日には、聖火リレーの詳細なルートを示した地図や出発・到着予定時間などが、組織委員会の公式ウェブサイトで公表される予定です。ただし、緊急事態宣言や外出自粛要請が出ている場合は、公道でのリレーを見合わせて、無観客で点火セレモニーだけを実施する可能性もあります。
■大会本番の詳細は…来週トップ会談か
そして来週中には、IOC(国際オリンピック委員会)、東京都、大会組織委員会、五輪担当大臣の4者に、IPC(国際パラリンピック委員会)のパーソンズ会長を加えた5者によるトップ会談が行われる方向で調整中です。大会本番での観客数の制限や、外国からの選手や観客の受け入れをどうするのかなど、詳細が詰められていくことになります。
聖火リレーが始まると、いよいよオリンピック本番に向けて気運が高まりそうですが、全国の感染者数の減少幅は鈍ってきていて、始まったばかりのワクチン接種も多くの不確定要素が残されています。
政府は26日、緊急事態宣言解除の是非について方針を発表する予定です。解除された途端にリバウンドしてしまうことがないよう、みんなで気をつけていきたいですね。
(2021年2月25日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)