会社を変える 「キャリア女性」の即戦力
■女性が働きやすい制度を提案
都内で働く山下真実さん(42)。パソコンに向かい、電子部品メーカー「本多通信工業」の取締役会にオンラインで参加しました。
画面に並ぶのは男性役員。「取締役会を開催させていただきます」のあいさつに、唯一の女性の山下さんは「よろしくお願いいたします」と応えました。
この会社は以前、管理職の99%が男性で、女性のほとんどが事務職でした。
山下さん
「女性が管理職になり、意思決定の場に出てどのような仕事をするのか、イメージが明確にできていなかった」
2人の子どもをもつ山下さん。育児支援の会社「ここるく」を経営していたことをきっかけに、5年前、本多通信工業から女性の活躍について相談を受けました。
提案したのは、育休からの早い復職を支援する制度や、1時間単位で有休がとれる制度でした。
女性社員(43)
「子どもがちょっとぐずって、どうしても5分、10分遅れた時に、1時間の有給であとは仕事ができる。安心感があります」
これが評価され、山下さんは社外取締役に抜擢。会社の女性管理職も増えました。
■女性役員&企業をマッチング
上場企業の女性役員は、2012年に630人でしたが、2020年7月時点で2528人(東洋経済新報社『会社四季報』調べ)。この8年で約4倍になりました。日本ではまだ少ないですが、求める企業は増えています。
そのニーズをとらえた、新たなサービスがあります。都内の人材紹介会社「Waris」が始めたのは、女性役員に特化したマッチングサービスです。登録しているのは、役員や管理職の経験がある女性。希望に合った企業をマッチングし、面接などをアレンジします。
パソコンの画面越しに担当者が「やりがいは、どういったところに感じていらっしゃいますか」と質問すると、東証一部上場企業の社外取締役を務める女性は「経営管理職というキャリアを進んできているので…」「日本取締役協会に所属しておりまして」「自分の知見を生かすことが…」とアピールしました。女性は、自分の経験を他の会社でも役立てたいと考え、登録したといいます。
■育児ブランクも「スキル試したい」
女性の力を求める動きは、他にもあります。子育てや介護などでブランクのある女性たちと、企業とが交流するイベントが先週、開かれました。
企業の担当者
「名刺をもらうのは久しぶりですか?」
女性
「そうですね。(結婚して)この名前になって、名刺をお渡しするのは初めてです」
ブランク11年の元IT企業勤務(47)
「まだまだ自分がやりたいことがあるので、そこに向かって歩んでいけるかなと思っています」
ブランク3年の元保険会社勤務(35)
「元いた会社にも再就職制度はあるんですけど、違う会社で自分のスキルを試してみたいなというところが(大きいですね)」
一方、求める企業側は「土日は連絡を取り合わないので、完全にオフで!休みです!」「経験なくても全然、問題ないです!」と熱っぽく語りました。参加したのはほとんどがベンチャー企業で、1人でさまざまなことをこなせる即戦力として、キャリアを積んだ女性の力を求めていました。
田中美和・Waris共同代表
「離職期間が長い方ですと、再就職が難しい。1人1人の方が持っている能力を最大限発揮して、いきいきと働き続けられるよう、少しでも貢献できればと(思います)」
(3月26日『news zero』より)