“高齢化の町”届かぬワクチン いつ接種?
全国的に高齢者へのワクチン接種が始まりましたが、高齢者の割合が高いある町では、不安を抱えていました。
人口およそ1万3400人の埼玉県鳩山町。高齢者の割合がおよそ45%と県内で最も高い町です。そのため町では年明けから高齢者の接種に向けた準備を進めてきました。
鳩山町・保健センター所長・戸口宏美さん「3月12日くらいをめどに鳩山町でも(接種券を)送付できるように準備を今進めているところです」
さらに接種会場への送迎も、足腰が弱い高齢者のために循環バスだけでなく乗り合いタクシーも無料で用意。町独自のサービスが打ち出され、接種券と一緒に乗車券を送る準備などが着々と進んでいましたが…。
埼玉県・大野知事「ただ(ワクチンの)量に関して申し上げると、正直分配についてもあまりにもやはり少なくて」
埼玉県に分配されるワクチンが限られるなか、高齢者の割合は高くても人口が少ない鳩山町などは配布の順番が最後になると決まったのです。準備を進めたものの見通せなくなったワクチン接種。
こうしたなか、一日でも早い接種を望む高齢者が。
鳩山町に住む佐藤さん(79)。2年前に夫を亡くし、今は一人暮らし。2人の子どもと孫は離れて暮らしています。腎臓が悪くもう14年にわたって週3日、病院に通い人工透析を続ける佐藤さん。ワクチンを接種して家族に会えることを心待ちにしているといいます。
佐藤さん「息子もあちこち仕事でもって動いているらしいので、だからいつ私みたいなのにうつっちゃうか分からないからと言うので」
ある日の買い物に向かう途中…突然、座り込む佐藤さん。
佐藤さん「腰が悪いから。神経がつながってるでしょ。足の方まで痛くなってしびれてきちゃって」
状態が悪いため思い切って来月にも腰の手術をすることにしました。子どもたちは院内感染も心配して、入院前までにはワクチンを打ってほしいと話します。
14日、鳩山町では接種会場の設営が行われていました。しかし町にとっての第1便のワクチンが届くのが今月26日の週。接種はまず高齢者施設から始まる予定で、追加便の見通しも不透明。一般の高齢者はすぐには打ち始められない状況だといいます。
鳩山町・保健センター所長・戸口宏美さん「できる限り早く鳩山町の方にもワクチンを供給していただけるとありがたいなと」
接種券は封筒に入れられた状態で今も発送されずおかれていました。
待ち望まれるワクチンの接種。
佐藤さんは…「(Qワクチン打ったらしたいことは?)東京でおすしのおいしいデパートで食べたのがおいしかったから、もう一回食べに行きたいなって。(家族にも)あと何回会えるか分からないけど、今のうちに会って子どもたちの思い出を作りたい」