カラオケに休業要請?“3回目宣言”内容は
まん延防止等重点措置が出されても、新型コロナウイルス感染拡大の勢いは衰えていません。大阪府は政府に対して緊急事態宣言を要請する方針です。そして東京都も、早ければ22日か23日に要請する可能性が出てきました。詳しく解説します。
■東京で新たに711人 依然として増加傾向
20日、東京都の新たな新型コロナへの感染者は711人となりました。先々週の火曜日(6日)は399人。先週の火曜日(13日)は510人でした。これで、20日連続で前の週の同じ曜日の人数を上回っていて、依然として増加傾向が続いていることが分かります。
19日には、変異ウイルスに感染した人も58人と発表されました。年齢は10歳未満から80代までで、この中には「保育園での変異ウイルスクラスター」とみられる事例が含まれていました。同じ保育園で感染が確認されたのは10歳未満の女の子2人ですが、この保育園では、これまでに職員5人、園児2人が感染していて、少なくとも9人が変異ウイルスに感染していたことが確認されています。
■東京都「緊急事態宣言」要請の方針固める
東京都では12日からまん延防止等重点措置が始まりましたが、人の流れがなかなか減っていません。そこで東京都は専門家の意見を聞いた上で、早ければ22日か23日に、政府に対して「緊急事態宣言」を要請する方針を固めました。
■『まん延防止』と『緊急事態宣言』なにが違う?
「まん延防止等重点措置」と「緊急事態宣言」の違いを改めて整理します。
まず、出される基準のレベルが異なります。「まん延防止」は原則、感染状況や医療体制を示すステージが「3」。「緊急事態宣言」では最も厳しい状況を表すステージ「4」が対象となります。
大きく変わるのは「対象エリア」です。「まん延防止」は原則「市区町村単位」に絞っていたのに対して、「緊急事態宣言」は「都道府県単位」と、より広範囲に適用されます。現在「まん延防止」は23区と一部の市に出されていますが、「緊急事態宣言」では東京都全体になります。
さらに、飲食店やお店などに対して「まん延防止」では営業時間の短縮要請までだったものが、「緊急事態宣言」では「休業」まで要請できるようになります。命令に従わなかった場合の過料の最高額も20万円から30万円に引き上げられます。
そして、「緊急事態宣言」では「イベント開催」の制限や停止措置ができます。
■カラオケに休業要請か? 3回目の“宣言”内容は
東京都が緊急事態宣言を要請した場合、政府はただちに発出するのでしょうか。政府の西村担当大臣は20日、次のように述べています。
西村経済再生相「人流が減っていないことと、変異株が5月にはすべて入れ替わるだろうという予測が専門家のみなさんからなされていることを考えれば、対策の強化が必要である。国民の皆さんの命を守るために、必要となれば緊急事態宣言を躊躇(ちゅうちょ)してはならないというふうに考えております」
もし、東京に緊急事態宣言が出れば、3回目となりますが、宣言で「何をどこまでやるか」には、1回目と2回目で違いがありました。
1回目、去年4月に出された緊急事態宣言では、幅広い業種に「休業要請」が出されました。対象はネットカフェ、カラオケボックス、スポーツクラブや映画館、ライブハウスなどでした。デパート(百貨店)も食料品売り場など以外は休業が要請されました。飲食店の営業は午前5時から午後8時までの時短要請で、小学校・中学校・高校も原則、休校となりました。通常通りの営業が求められたのは、生活に必要なスーパー、コンビニ、理容・美容室などでした。
一方、今年1月に出された2回目の宣言では「飲食店」に重点が置かれ、夜8時までの時短要請となりました。デパートや映画館などは時短や休業の対象外で、極力、夜8時までの時短営業にするよう協力が呼びかけられました。
では、もし今回、3回目の宣言が出された場合は、どのような内容になるのでしょうか。現在、東京都は、飲食店に出されている午後8時までの時短要請を「継続」した上で、カラオケ店や風俗店などへの「休業要請」も検討していて、政府に提案する方向で調整しています。カラオケ店は現在、すでに「時短要請」に含まれていますが、「昼カラ(=昼間のカラオケ)」でクラスターが発生していて、時短では効果が薄いと東京都は見ています。
ただ、緊急事態宣言は国が出すものであることから、東京都が提案しても、政府がどこまで受け入れるかは分かりません。
■GWどう過ごす? 「断る勇気を」
緊急事態宣言が出されることになれば、ゴールデンウイークが含まれる可能性は高いと思われます。連休をどう過ごすべきか、国際医療福祉大学成田病院・感染制御部部長の松本哲哉医師に聞きました。
松本医師はまず、「地域によって感染状況が違うことから、地域の状況を踏まえたうえで検討してほしい」とのことでした。その上で次の3点を挙げました。
(1)普段会っている者同士、例えば家族単位で行動するのが好ましい。せっかくの休みですが、普段会っていなかった、久しぶりに会うような人と集まると感染リスクが高まるので、控えて。
(2)人が集まる場所は、時間をずらして行く。人混みが避けられないような場所は控えて。
(3)時には「断る勇気」を。大人数での集まりは、今は断って。
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本来は休みを分散化させることが重要です。ゴールデンウイークは働いて別の平日に休むなどといったアイディアも必要です。遊びも仕事も、人を「密集」させないようにしたいものです。
(2021年4月20日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)