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新宿駅前で“マンホール”吹き飛ぶ──6トンの圧?「エアーハンマー現象」か 大雨で思わぬ危険…注意点は【#みんなのギモン】

2024年8月23日 9:36
新宿駅前で“マンホール”吹き飛ぶ──6トンの圧?「エアーハンマー現象」か 大雨で思わぬ危険…注意点は【#みんなのギモン】
都内各地で 21 日、マンホールから水が噴き出す現象が見られました。新宿駅前ではフタが高く吹き飛び、道路に落下。下水道管の中に一気に雨水が流れ込むことで空気圧が高まる「エアーハンマー現象」が起きたとみられます。どう気をつけたらいいのでしょうか?

そこで今回の#みんなのギモンでは、「マンホール“吹き飛ぶ”なぜ?」をテーマに、次の2 つのポイントを中心に解説します。

●吹き飛ぶ理由…「エアーハンマー」
●マンホール“噴出”注意は?

■新宿駅前、フタが吹き飛ぶ瞬間の映像

菅原薫・日本テレビ解説委員
「22 日も関東甲信を中心に広い範囲で不安定な天気が続いていますが、21 日の東京都心の急変は驚きましたよね」

鈴江奈々アナウンサー
「every.の放送中、外のライブ映像で巨大な雨柱が映っていてびっくりしました」

森圭介アナウンサー
「午後 6 時を過ぎてから急に、でした。恐怖すら感じる雨でした」

菅原解説委員
「まさに帰宅ラッシュを直撃する時間帯でした。マンホールからものすごい勢いで水が吹き出す瞬間の映像があります。21 日午後 7 時頃、東京・新宿駅前の人通りも非常に多い交差点近くのマンホールです。数十キロはある鉄製の重いフタが吹き飛んだとみられます」

■「フタのずれ」「隆起」を各地で確認

菅原解説委員
「21日は都内の各地で、マンホールから水が噴き出す現象が見られました。東京都下水道局によると、マンホールのフタのずれや、周りの舗装が浮き出すような隆起が、22日朝までに港区や品川区など少なくとも5か所で確認されたということです」

森アナウンサー
「新宿の映像はなかなか見られないものですよね」

桐谷美玲キャスター
「衝撃的で、映画の中で出てくるような映像でした」

森アナウンサー
「あれだけ水が吹き出しているということは、フタが飛んでいってどこかに落ちているということです。今回はケガ人は出ていないんですよね?」

菅原解説委員
「今回はそうです」

■飛んだフタが3つに割れ、道路に落下

菅原解説委員
「新宿駅前のマンホールの映像をよく見ると、黒い影が見えます。これがフタで、高く飛び上がって道路に落下する様子が映っています」

「道路に、割れたフタらしきものが3つ散らばって落ちているのも確認できます。恐怖の瞬間です。普通に車も通っていますから、危なかったです」

「その後、現場にあるマンホールを見てみると、飛んだとみられるフタに大きな亀裂が入っていました。落下の衝撃で割れてしまったのでしょうか。人に当たらなくて本当に良かったです」

鈴江アナウンサー
「人だけではなく、走行している車にも当たらなくて本当に良かったです」

■推定80キロ…エアーハンマー現象とは

菅原解説委員
「車でも当たったら大事故ですからね。では、なぜ大雨でマンホールのフタが吹き飛ぶようなことになるのでしょうか。日本グラウンドマンホール工業会に取材しました」

「マンホールのフタは新しいものと古いもので重さが違います。一般的なものは40~45キロですが、(新宿で)今回吹き飛んだフタは古いものの可能性があり、そうなると推定で80キロ以上だといいます」

「この重いフタが浮いたり飛び上がったりするのはいくつか理由が考えられますが、21日に新宿で起きた吹き飛びは『エアーハンマー現象』の可能性が非常に高いということです。どういう仕組みなのでしょうか?」

「普段は水位が低い下水道管の中の水ですが、21日のように天候が急変すると、大量の雨水が一気に流れ込み、水位が急上昇します。そうすると下水道の中の空気が行き場をなくして圧縮され、マンホールのフタの穴から、空気や水が勢いよく吹き出してきます」

「この時点では頑張って空気を逃がしていますが、水の勢いがあまりにも強いなどすると空気圧が一気に高まり、耐えられなくなってフタがボーンと吹き飛んでしまうことがあります。空気圧でフタを下からたたくような感じなので『エアーハンマー』と言うそうです」

■吹き飛ぶ高さ、かかる空気圧は?

刈川くるみキャスター
「その名の通り、映像でもものすごい勢いでした。このエアーハンマー現象が起きると、どのくらいの高さまで飛んでしまうものなんですか?」

菅原解説委員
「工業会の担当者によると、今回の新宿のフタの割れ方からすると、5~6メートル飛んだと考えられるということです」

鈴江アナウンサー
「建物2~3階くらいの高さまで飛ばされたということですね。そうすると、かなりの力が加わったということになるんでしょうか?」

菅原解説委員
「80キロ以上のフタが吹き飛ぶ時にかかる空気圧は、6トンにも及ぶということです」

森アナウンサー
「6トンと言われても想像できませんが、それだけ空気の圧がかかった、その分だけ水が流れ込んだということですね」

■どのくらいの雨でフタが飛ぶ?

菅原解説委員
「最近普及している新しいタイプのマンホールのフタは、圧力を逃がして飛びにくくなっているそうです。重いマンホールのフタが吹き飛ぶ現象は非常に怖いですが、私たちの側で気をつけようがあるのでしょうか?」

「どのくらいの雨でマンホールのフタが吹き飛ぶ可能性があるのか。東京都下水道局によると、新宿の下水道は1時間に75ミリの大雨に耐えられるよう整備が進められているといいます」

「ただ21日午後7時頃、東京都新宿区では1時間に97ミリの猛烈な雨が降ったため、もともとの設計を上回るほどの大雨だったことが分かります。では、1時間に75ミリとはどんな雨なのでしょうか?」

■雨の強さと降り方…5段階でどう表現?

桐谷キャスター
「すごい降っているんだろうなというのは分かりますが、実際にどれくらいなのかはピンとは来ないですね」

菅原解説委員
「数字だとちょっと分かりにくいですよね。雨の強さと降り方をどう表現するのがいいか、気象庁が5段階で目安を示しています。よく『バケツをひっくり返したような雨』と言いますが、これはまだ5段階の真ん中で、1時間に30ミリ~50ミリ未満の『激しい雨』です」

「マンホールの限界の75ミリとなると『非常に激しい雨』で、傘は全く役に立たなくなり、滝のようにゴーゴーと降り続く雨です。21日に新宿で降った80ミリ以上の『猛烈な雨』は、息苦しくなるような圧迫感があり、恐怖を感じるほどの雨ということです」

■ゲリラ豪雨の際の「避難の合図」

刈川キャスター
「ここまで降ると外出自体控えた方がいいですが、最近のように急に雷雨が発生してしまった場合、どのようにしたらマンホールの危険を避けられるのでしょうか?」

菅原解説委員
「水難学会の斎藤秀俊理事によると、マンホールがガタガタ鳴ってマンホールの隙間から空気・水が噴き出している、トイレが逆流している、家の周りがなんとなくにおうといった現象を見たり感じたりした時は、避難の合図だといいます」

「もし道路やアンダーパスなどが冠水している場合、マンホールのフタが外れていても見えないかもしれません。万が一マンホールに水が吸い込まれ、渦ができているような時、そこに落ちてしまうと、自力で脱出するのは絶対に不可能だといいます」

「まず、避難するなら冠水の前に済ませることが重要です。冠水していることが分かったら外に出ない、もし避難中に冠水してきたら杖や棒などで地面をつつきながら穴などの危険がないか確かめながら進むのが大切です」

「既に冠水していたら、2階以上への垂直避難をするようにしてほしいということです。普段街を歩いている時にはあまり気にしないマンホールですが、集中豪雨では思わぬ危険が潜むことを知っておいていただきたいと思います」

(2024年8月22日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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