豆腐、醤油、総菜も…大豆高騰で意外な影響
日々の食卓によく登場する豆腐。その原料である大豆の仕入れ値が上がっています。国産大豆も輸入大豆も共に値上がりしていて、意外なところにも影響が広がっています。
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昭和2年に創業した東京・中野区の豆腐店「いづみや」では、26日朝、ツヤツヤの大豆を細かくすりつぶし、職人がこだわりの豆腐作りを行っていました。一日に大豆を200キロほど使い、自然な甘みを生かしたという昔ながらの豆腐。
タンパク質を含む豆腐は、日々の食卓にも欠かせない身近な食材ですが、今、仕入価格に異変が――
いづみや・青山隆さん
「大豆がもう急激に値上がりして大変困っています」
感染拡大前と比べ、この豆腐店では大豆の仕入れ値が輸入も国産も2割ほど上がったというのです。
買い物客
「(仕入れ値アップは)やっぱり困りますよね。欠かせない食材なので」
なぜ今、高値となっているのでしょうか?
いづみや・青山隆さん
「国産大豆については天候不順の要因が第一です」
農水省によると、国産大豆の高値の要因は、長雨など天候不順に見舞われたこと。また、輸入大豆の高値の一因は、コロナ禍の影響で輸送に必要なコンテナ船が不足していることです。“巣ごもり需要”で運ぶものが増えている一方、輸送関係者の感染などで運ぶ人手が不足していることも原因の一つだといいます。
この豆腐店では、コロナ禍の影響で飲食店などに販売する業務用の売り上げが感染拡大前と比べ2割ほど減少。その上、大豆も値上がりし、頭を抱えていました。
いづみや・青山隆さん
「大変厳しい経営状況になっています。当面は(販売価格は値上げせず)我慢していくしかないかなという状況」
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コロナ禍の影響などで、仕入れ値が高値となっている大豆。そのため、同じく大豆が原料の醤油(しょうゆ)もピンチとなっています。
千葉県野田市は、かつて大豆の産地だったことから醤油作りが盛んな街。
創業190年を超える老舗の醤油メーカー「キノエネ醤油」では、色が淡いため食材の色を楽しめる“白しょうゆ”など様々な醤油を販売。ただ、輸入大豆の仕入れ値アップに頭を抱えていました。
キノエネ醤油・山下博之代表取締役社長
「(輸入大豆の仕入れ値が)約20%くらいは上がってきているかなと。約半年以降では価格に関して考える必要があるかもしれない」
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大豆の値上がりは、意外なものにまで影響を及ぼしていました。
昼時、商店街で行列ができていたのは、約80種類の総菜が並ぶ東京・北区の「鳥大」。一番人気は、なんと1個10円で買える揚げたてのチキンボールで、一日に作る数は多い日で約6000個にもなるといいます。
揚げ物に欠かせない油ですが、実は…。
鳥大・大杉雄造専務取締役
「原料が大豆でして4月から値上がりしたんですよ」
原料である大豆が値上がりしたことで、「食用油が今月から約1割上がる」と業者から通知。そのため、値上がり前の食用油を急きょ買いだめしたといいます。
鳥大・大杉雄造専務取締役
「3月中に買い込んだ(油の缶)」
また、家庭用の食用油も値上がりが続いていて、6月には「J-オイルミルズ」「昭和産業」「日清オイリオグループ」の大手3社が1キロあたり30円以上、値上げするということです。
買い物客
「油が値上がりしたら、ますます家で揚げ物とかしなくなると思います」
今後、食卓に影響を与えそうです。