コロナ禍に“室内で鉄道旅行”続々と
コロナ禍で外出自粛を余儀なくされる生活が続き、遠くへの鉄道旅行などが控えられている中、ホテルの部屋で鉄道旅行気分が味わえる「コンセプトルーム」が続々と誕生しています。
■通勤列車のシートがホテル客室内のソファーに
新型コロナウイルス感染拡大で3度目の緊急事態宣言が出され、思うように旅行ができない中、鉄道会社を親会社に持つホテルが鉄道をテーマにした「コンセプトルーム」と呼ばれる部屋をオープンさせています。
利用者数が日本一多い新宿駅のそばで小田急線・JR線が行き交う様子を一望できる「小田急ホテルセンチュリーサザンタワー」。2種類のコンセプトルームは部屋の中にいるだけで電車内にいる雰囲気を味わうことができます。
一つめは、今年3月に運用を終えたばかりの小田急の通勤車両8000形で実際に使用されていたシートがソファーとして設置された部屋「シーニックキングルーム」。壁には様々な種類の小田急線の通勤車両の写真が貼られています。
■ターミナルを発着する電車を眺めながら運転台に
もう一つは小田急線の全駅名が書かれた路線図や運転台の模型が設置された「パノラミックキングルーム」。眼下には新宿駅を発着する電車が望めます。コロナ禍により鉄道で遠くに旅行することが難しい状況を受け作られたというコンセプトルーム。同ホテル営業部の木内英二さんは「なかなか遠出ができないお子様、ご家族に安心してお部屋の中でのびのび楽しんでもらいたい。宿泊が良い思い出になればと思います」と話しています。
サービスはゴールデンウィーク前日の4月28日から開始予定で、連休中や以降の予約も伸びているといい、今後は宿泊した客の要望などを参考にして順次カスタマイズしていくことも検討しているということです。
■人気観光列車がテーマ…中で1日楽しめる部屋も
一方、愛知県名古屋市にある名鉄グランドホテルでは鉄道ファンに大人気の車両をテーマにした“部屋の中で1日楽しめる”コンセプトルームが誕生しました。
テーマとなっているのは、観光特急列車パノラマDX。2005年に惜しまれながら運用を終了した列車です。2階に展望席があり、内装も非常に豪華だったといいます。
■シミュレーターで運転士気分を体験
室内には、運転士が実際に教習で使用していた運転シミュレーターのパーツで作られた模擬運転台があり、モニターで走行動画を見ながら運転士気分を楽しめます。
■部屋の中に特急のリクライニングシート
窓ぎわには観光特急・パノラマDXで実際に使用されていた独特の重厚感があるリクライニングシートが設置され、室内にいながら高級列車に乗っている気分を味わうことができます。
4月5日からすでに販売されていますが、予想外の反響も。ホテル支配人の米山仁さんは「鉄道ファンの方もいますが、お子さん連れのご家族も意外に多かったという印象です。“部屋の中だけでも1日中楽しめた”というお声を頂きました」と話します。
鉄道ファンだけでなく多くの方の心をつかみ、販売開始から週末とゴールデンウィーク期間中はすべて予約でうまっているということです。
■全国各地で“室内旅行”続々オープン
その他にも東急電鉄の協力のもと、運転シミュレーター体験ができるコンセプトルームを「渋谷エクセルホテル東急」と「横浜ベイホテル東急」が提供。室内にいながら運転士気分を味わうことができます。
また、関西でも南海電鉄や京阪電鉄が各ホテルと協力し、車両やバスをテーマにした部屋をオープンするなど全国各地で“室内旅行”を体験できるコンセプトルームが広がりを見せています。