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「宣言」の今後を占うGW どう過ごす?

2021年4月30日 9:00
「宣言」の今後を占うGW どう過ごす?

東京では、新型コロナウイルスの感染者数が前週を上回る日が29日も続いています。感染拡大が止まらない中で迎えたゴールデンウイーク。ここで人流を抑制できるかが、今後を左右しそうです。感染症学の専門家に連休中の過ごし方や解除の見通しを聞きました。

■変異株「違うタイプと理解を」

有働由美子キャスター
「感染症学が専門の国際医療福祉大学・松本哲哉主任教授にお話をうかがいます。変異ウイルスですが、20代で基礎疾患のない方でも重症化してしまうのですね」

国際医療福祉大学・松本哲哉主任教授
「確かに以前は、若い方で肺炎を起こす人はいましたが、重症化するのは、ほとんど見たことはありませんでした。ただ最近は私たちの病院でも、若い世代でも重症化するケースを経験しているので、『変異株は今までに比べると違うタイプなんだ』ということは理解していただきたいです」

有働キャスター
「リスクが低いとされていた人でも、急速に重症化するということですね」

廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「前よりもリスクは高いということは、みんな知っておくべきですよね」

■変異株で都内「3000人近く」可能性も

有働キャスター
「都内の1日の感染者数ですが、29日は3か月ぶりに1000人を超え、1027人でした。前の週の同じ曜日の木曜日より多く、28日は前の週の水曜日より多い……と、前の週をずっと上回る状態が29日連続していて、『過去最長』を継続しています」

「グラフにしてみると、現在の増え方は去年の年末の増え方と非常によく似ています。この時は、年末年始の休みの直後に爆発的に感染が増えましたが、今回もゴールデンウイークの休みの後に一気に増えるのではないかと心配になります。どうなるのでしょうか?」

松本主任教授
「やはりこのまま感染者数が増えていけば、もう簡単に2000人くらいには届くでしょうし、そこに変異株の影響が強く出てくると、第3波を超えるくらい――例えば3000人近くまで届く可能性もあるので、ここしばらくの人の行動をどこまで抑制できるかが重要だと思います」

「去年12月に急に(感染者数が)上がってきた時には、今回のように連日、過去最多と報道され、すでにあの時に行動抑制がかかって、ピークを迎えた後は急激に減りました。なので、(今回の)このタイミングを、多くの方が『かなり今、厳しい状況なんだ』と捉えていただいて、宣言の下で(行動の)抑制が取れれば、今後、少し減っていく方向に進められるのではないかとも期待しています」

■抑制不十分なら…宣言中も「増」

有働キャスター
「今回の緊急事態宣言は短期集中で、5月11日が期限です。17日間でどれくらい効果が見込めるのでしょうか?」

松本主任教授
「本当に人の動きに抑制がかかれば、確かに宣言の中でも減少傾向に転じる可能性はありますが、あまり抑制されていない状況では、むしろ、この宣言の間ではしばらくは増え続けていくのではないかと思います」

有働キャスター
「5月11日では少し難しいでしょうか?」

松本主任教授
「はい。宣言の解除は、予定通り進めないんじゃないかと思います」

■政府の本音、延長の可能性は…

有働キャスター
「政府は、5月17日にIOCのバッハ会長も来日するし、11日で解除したいということですよね」

小栗泉・日本テレビ解説委員
「もちろん、政府としては5月11日に解除したいというのが本音ですが、バッハ会長の来日も、期限を考える要素の1つであって、これが最優先の事項というわけではないので、何が何でも11日に解除と考えているわけではないようです」

有働キャスター
「ということは、延長もあるのでしょうか?」

小栗解説委員
「そうなんです。官邸関係者も『新規の感染者が減らなかったら、延長することは十分あり得る』としています。実際、今回の宣言の中身を諮問した会議のメンバーで日本医師会常任理事の釜萢敏さんは、『5月11日の段階でステージ3に至っていなければ、仮に減少が見られても解除はあり得ないということで、政府と最終的に合意した』と話しています」

「また延長する場合でも、専門家による分科会のメンバーからは『宣言の中身を少し緩くすることはあるかもしれない』といった声があります。そして自民党幹部からは、『宣言を終わらせる場合でも、まん延防止措置に切り替える』など、リバウンドに配慮した対策を模索する動きも見られます」

■廣瀬さんと考える 連休の過ごし方

有働キャスター
「いずれにしても、このゴールデンウイークが非常に重要になります。29日からゴールデンウイーク、廣瀬家はどう過ごされますか?」

廣瀬さん
「僕の家は神奈川県なので緊急事態宣言は出ていないのですが、家族で過ごそうかなと思っています。家でバーベキューとか、野菜を植えたり、子供と絵を描いたりとかしようと思っています。ゴールデンウイークで家族旅行に行く方もおられるかなと思いますが、現地で家族で過ごせば問題ないのか、というところは気になりますね」

有働キャスター
「家族で行く場合は旅行も大丈夫でしょうか?」

松本主任教授
「いろいろ計画されている方もおられると思いますが、普段会う者同士、例えば家族で、いろいろ所に移動すること自体はリスクが高くなるわけではありません。ただ、行った先でいろいろ人たちと会うのは、確かにリスクは高まりますので、そのあたりは慎重に行動していただきたいと思います」

「やはりゴールデンウイークというのは、非常に重要な時期です。多くの人たちが休みで家にいていただければ、感染者数はかなり減っていく方向に向けられると思いますし、逆に活発に動かれると、増えていく方向に向かっていくので、この重要な時期をうまく捉えていただき、なんとか減らす方向に向かえればと思います」

有働キャスター
「感染者数が増えると、若い人たちも同じように重症化するということも忘れてはいけないですよね。皆さん本当に、この状況にうんざりしながらも我慢する方は我慢していただいていると思います。まずは、その我慢している自分を褒めてあげてほしいと思いますし、後から振り返って『あの時、頑張ってよかった』と思えるゴールデンウイークになるように……私たちの我慢は、必ず医療現場の方や誰かの役には立っているので、頑張って過ごしていきたいと思います」

(4月29日『news zero』より)

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