酒の“持ち込み”NG…延長でどう変わる?
東京や大阪などに出されている3回目の緊急事態宣言の期限の延長が、正式に決定されました。対象の範囲や内容がどう変わるのか詳しく解説します。
■どう変わる? 緊急事態宣言の対象地域
現在、宣言が出されているのは東京、大阪、京都、兵庫ですが、来週12日から愛知と福岡が追加されることになりました。
また、宣言の期限は11日までとしていましたが、それを今月31日まで延長することを専門家らから了承されました。
さらに、まん延防止等重点措置の地域も、宣言と同様に期限を今月31日まで延長し、新たに北海道、岐阜、三重も対象となります。一方、宮城は解除されることになります。
■宣言延長でどう変わる? 百貨店・イベント“緩和”
今回の宣言は“短期集中”で強い対策がとられましたが、これが延長されてどう変わるのでしょうか。
まず、酒類を提供する飲食店などへの休業要請は継続となります。酒類を提供しない店への午後8時までの時短要請も継続です。これに加えて今回は、酒類の「持ち込み」も認めないよう要請します。
一方、百貨店など床面積が1000平米を超える大型商業施設への休業要請は緩和されます。午後8時までの営業を可能とする方針です。原則無観客としてきたイベントについても緩和され、上限5000人かつ収容人数の50%以下で、午後9時までの開催を認めることになりました。
■措置「より強くすべき」との意見も
ただ、感染状況が依然として厳しい中、このタイミングで緩めていいのかとの意見もあります。
7日に開かれた専門家会議では、「措置を緩めるのではなく、より強くするべき」との意見や、「国民の“コロナ疲れ”がみられる中、人流抑制だけでなく、検査を拡充するなどの具体的な対策を示さないといけない」などの意見がでたといいます。
さらに、宣言解除の基準や目安について専門家は次のように話しています。
基本的対処方針分科会・釜萢敏氏「例えば新規感染者数、東京で100とかというのが1つのイメージにはなるが、なかなかそこまで達成するのは大変なので、確実に下がっているということと、下げた時期を長くとらないと、すぐにリバウンドすることも明らかなので、その経験をしっかり生かすべき」
変異ウイルスへの置き換わりが進み、これまでよりもリバウンドしやすい可能性があるため、感染者数を確実に下げないと解除できないと指摘しています。
■現在の感染状況 大阪では重症者の病床使用率「100%」
宣言の対象地域の感染状況や医療体制は、どの程度ひっぱくしているのでしょうか。指標を見てみると、特に関西圏では、最も深刻な感染状況を示す「ステージ4相当」が多くみられます。医療のひっ迫状況が深刻な大阪では、重症者の病床使用率が「100%」になっていて、感染した人のうちどれくらいの人が入院しているかを示す入院率は「10%」にとどまっています。
新たに緊急事態宣言の対象地域に追加される愛知と福岡の数値については「ステージ3相当」以上が多くなっています。
■若年層の重症化が増加
こうした医療体制ひっ迫の背景となっているのが全国的な重症者数の増加ですが、若年層が重症化するケースが増えてきています。
東京都の重症者数の推移を年代別に表したグラフを見てみると、今年1月に第3波がピークを迎えた頃は、重症者の5割が70歳以上の高齢者でした。その後、重症者数は減りますが、4月中旬あたりから再び増加に転じています。
注目したいのは、今回の波では、70歳未満が占める割合が約7割と大幅に増えていて、さらに50代、40代以下の若年層も増えているという点です。若年層の重症化の背景には、変異ウイルスの拡大もあるとの指摘もあります。
専門家は、4月以降、20代から40代の職場での感染が増えていると指摘していて、若い人も感染リスクや重症化リスクの当事者意識を強く持ってほしいと訴えています。
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宣言が延長され、飲食店などには痛みを伴う対策がもうしばらく続くことになります。いまのように人流を減らすことを主眼とした対策だけで、本当に感染が抑制されるのか。諸外国並みに検査数を増やすなど、新たな対策を取り入れるべきとの専門家の指摘も踏まえて、政府には改めて慎重な判断を求めたいと思います。
(2021年5月7日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)