【解説】50年後に人口が“今の7割”まで減少か 外国人が1割へ…日本の4分の1の地域が居住不可能に?
26日、日本の将来の人口に関する最新の推計が明らかになりました。日本の総人口は50年後に8700万人まで減少し、さらに、その約1割を「外国人」が占めるという予測になりました。
◇江戸から急増→急減
◇生活インフラに“穴”も
◇外国人との「共生」は?
以上の3点について詳しくお伝えします。
26日に日本の将来の人口推計が公表されました。2020年の日本の総人口1億2615万人を基準とすると、50年後の2070年には現在の約7割、8700万人まで減少すると予測されました。
人口減少は確実に続くという予測ですが、この中で「65歳以上」の人が占める割合は、2020年の28.6%から、50年後には38.7%に増加します。そして、日本に住む「外国人」の割合は、2020年の2.2%から50年後には10.8%に増加するとしています。
今から50年後に、日本の社会がこういう傾向になっていくということです。
こうした推計に私たちはどう向き合ったらいいのか、面白いデータを見つけました。
日本の歴史を振り返ると、人口はいったいどのように推移してきたのか。国土交通省がまとめたものによると、1185年の鎌倉時代、源頼朝の幕府が成立したころ、日本の人口はどのくらいだったと思いますか。
正解は750万人です。1000万人に届かず、日本全体で愛知県1個分の人しか住んでいませんでした。これが江戸幕府成立の1603年、徳川の時代が始まったころには1000万人を超えてきて、ただ、1868年の明治維新のころでも、まだ3330万人でした。
しかし、ここから日本の人口は急激に伸び、第二次世界大戦が終わった1945年には7199万人となりました。
そして、訪れたのが「ベビーブーム」です。1947~1949年には「第1次ベビーブーム」、1971~1974年には「第2次ベビーブーム」が起きました。この時期も毎年、約210万人の赤ちゃんが生まれていました。
この2回のベビーブームを経て、日本の人口がピークを迎えたのが2008年のことです。人口は1億2808万人です。
人口が増加、そして今度は急激な減少。今まさに私たちはこの急激な減少の真っ最中にいるわけです。
さらに、26日に公表された「令和2年国勢調査結果/国立社会保障・人口問題研究所の推計」を見ると、人口の減少にともなういろいろな問題が見えてきます。
年代別に「人口の推移と予測」を表したグラフを見ると、年が進むごとにシニアの人口割合がどんどん増えていくことがわかります。今回の推計では、2024年には「100歳以上の人口が10万人を突破」、その3年後の2027年には「65歳以上の人口3割を突破」、そして2031年には「日本の総人口の平均年齢が50歳超えになる」というように、高齢化を象徴するような予定がめじろ押しになっています。
心配されるのが「労働者不足」です。リクルートワークス研究所が出した「未来予測2040」にもとづき、少子高齢化が進行して効果的な対策が打てずに「労働者不足」が深刻化した場合、どんなことが起きるかみていきます。
まず宅配・流通の分野では、ドライバーがいないために「荷物が届けられない地域」が発生して、日本の4分の1の地域が事実上、居住不可能になるとされています。
また、介護の分野でも現場でスタッフ不足が深刻化して、欠員が常態化して高齢者自身や家族が介護に対応することになるとしています。
建設現場でも、現場監督や管理者など労働者の不足が約2割に達し、メンテナンスが必要な道路の78%しか直せず、地方の生活道路が穴だらけになる危険もあると指摘されています。
そして、26日に公表された推計でもう1つ注目なのが、「外国人の増加」です。日本の総人口が1億人を割り込む時期について、前回の推計では2053年だったのが、今回は2056年と、わずかながら人口減少にブレーキがかかりました。
その大きな要因を占めるのが日本に住む外国人の増加で、2020年には2.2%でしたが2070年には10.8%になるといわれています。
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日本人だけを見るなら、「出生率」は前回よりもさらに厳しい見通しとなっています。少子化対策はもちろん待ったなしですが、同時に日本で働く外国人やその家族が、教育や文化で日本になじめるように、共に生きる「共生の環境作り」がいっそう求められることになります。
(2023年4月26日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)