五輪ボランティア 来場受け渡しに“困惑”
東京オリンピックの開催が迫る中、ボランティアへのIDカードやユニホームの配布が順次始まっています。ただ組織委員会は「来場での受け渡し」を要請。緊急事態宣言下、配布会場へ県境を越えた移動を求められることに、不満と困惑の声が上がっています。
■バッハ会長「医療支援」表明
東京オリンピック開催まで65日に迫った19日、大会前最後の調整員会が開かれました。
IOCのバッハ会長は「IOCは組織委員会に対し、追加的な医療スタッフを提供する用意があります」と述べ、選手村などに医療スタッフの支援を行う考えを示しました。
■兵庫から静岡へ移動求められ…
一方、東京大会をめぐっては五輪・パラリンピックボランティアから困惑の声が聞かれます。兵庫県に住む参加者に話を聞きました。
「メールで、ユニホームとIDカードの用意ができましたということで、『それを取りに来るように』という連絡が来ました」
ただ、この参加者には、すぐに配布会場に行けない事情がありました。
「(配布会場の中で近い)一番西側が静岡です。(兵庫は)5月31日まで緊急事態宣言が出ていて、移動を自粛するように要請されているところなので、まず、県外への移動が求められるというのが、どうなのかなと思う」
ボランティアへ案内された配布会場は全国で6か所。そのうち、静岡と茨城は、5月末で配布期間が終了します。
「一応、問い合わせは事務局にさせてもらいました。郵送であるとか、(さらに)西の会場を設置してもらえたら、今の状況で多くの人が長い距離を移動することは格段に減ると思いますが、聞き入れてもらえませんでした。あきらめることも考えなきゃいけないかなと(思います)」
緊急事態宣言下の対応に、不満をにじませました。
■配布物「自信を持って歩けない」
すでに配布が始まっている都内で、ボランティア参加者(21)に話を聞きました。配られた「TOKYO2020」と書かれた大きなバッグの中には、発行されたIDカードやポロシャツ、マスクなどが入っています。
――郵送でも大丈夫そうですか?
「郵送でもできるんじゃないかなと思います。本人確認さえできれば。これを持って帰ると思うと、怖くて。(五輪開催に)賛否両論ある中で、自信を持って歩けないというか…」
組織委員会は、「本人確認が必要なため、来場での受け渡しに理解を求めるとともに、遠方からの参加者への代替案も検討する」と説明しています。
(5月19日『news zero』より)