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男性の育休“取得率アップ”のコツは?

2021年6月3日 20:34
男性の育休“取得率アップ”のコツは?

男性が育児休業を取りやすくするため、企業に対し社員への育休の意思確認を義務づける「改正育児・介護休業法」が3日、衆議院で可決・成立しました。

2019年度の雇用均等基本調査によると、男性の育休取得率は依然低く、7.48%にとどまっています。どうすれば、従業員の育休取得がスムーズに進むのか。厚生労働省の「イクメン企業アワード2020」のグランプリを受賞した2企業に“育休取得がうまくいくコツ”を取材しました。


■積水ハウス株式会社 引き継ぎと棚卸しはチーム全員で

積水ハウスでは、2018年から対象の男性従業員全員に1か月以上の育休取得を推進していて、ことし4月までに925人の対象者の“全員”が取得したということです。

積水ハウスコミュニケーションデザイン部の井上美穂課長は、顧客の反応に驚いたといいます。「制度導入にあたって最も心配したのは家を建てるお客様に、育休中の営業担当者が対応できないことでした。でも、実際に制度を導入し担当者が後任と一緒にあいさつに行くと、好意的な反応がほとんどでした」

社員の育休中の業務はどのように同僚に引き継がれているのでしょうか。

育休を取得する社員は、事前に「取得計画書」を作成し、自分の担当している仕事を休みの期間中、誰に担当してもらうのか、上司と面談するなどして決めていくといいます。同時に仕事の「棚卸し」を行い業務の効率化も進めるそうです。

井上さんによると、その時に本人と上司の2人だけで決めるのではなくその仕事を担当しているチーム全員で話し合うことが効果的だといいます。全員で話し合うことで、重複している仕事の洗い出しや、新たなアイデア出しができるため育休取得がうまくいくだけでなく「効率化・生産性の向上が進んでいると思う」(井上さん)ということです。

同社では、以前から、ワークライフバランス実現のため、仕事が属人的にならないよう、2人以上のチームで取り組む改革を進めていました。そのことが、社員のスムーズな育休取得につながったといいます。


■株式会社技研製作所 収入面の不安に数字を示して対応

建設機械メーカーの技研製作所では、2018年度まで0%だった男性社員の育休取得率が、2019年度には30%に上昇しました。

女性主体のプロジェクトチームで男性育休の問題に取り組んだ総務部人事課の池内彩香さんは、大きな不安があったといいます。「当社のような男性気質の会社の社員が、男性育休をすんなり受け入れてくれるとは思っていなかった」

男性社員が育休を取得しない理由を把握するため、アンケートを実施したところ、「収入面の不安」が大きいことがわかりました。

育休中は、国から給付金をもらうことができますが、そのことを知らない社員もいたため、給与明細の数字を入力するだけの簡単な操作で、給付金がいくらもらえるかわかる「シミュレーションツール」を表計算ソフトで作り、社内に公開しました。社員からは、「思っていたよりもらえる」という感想があったそうです。

育休取得をためらう人に対しては「自分が休むことが人に迷惑をかけるのではなく、会社のためになるんだ」というメッセージを伝えているそうです。

「平均年齢が若い会社ですがこれから、介護に関わる社員も増えてきます。1人いなくても回るようなチームを作ることが理想です」(池内さん)

写真提供:積水ハウス