五輪の観客「1日7万人」近くも…独自計算
東京オリンピックの会場に観客を入れると、集まる人はどれほどなのか―。会場が集中するエリアで計算したところ、チケットを持つ人だけで1日最大7万人近くにのぼることが分かりました。観客の有無については、官邸関係者は「首相判断だろう」と話します。
■7会場が集中の「臨海副都心」は…
有働由美子キャスター
「オリンピックを観客ありで開催した場合にどれほどの人が集まるのか、『news zero』で計算しました。注目したのは、競技会場が多く集まる東京・お台場などがある臨海副都心エリアです。7つの会場が集中しています」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「緊急事態宣言下でイベントに要請されている、『上限5000人』かつ『収容人数の50%以下』で観客を入れて開催する前提で計算しました。このエリアに最も多く人が集まりそうなのが、オリンピックが始まって最初の日曜日である7月25日です。6つの会場で、朝から夜まで競技が行われます」
「例えば有明アリーナは収容人数が1万5000人で、緊急事態宣言下の制限に当てはめると、上限の5000人の観客が入ることができます。この日は女子バレーの予選がこの会場で3回行われるので、単純計算で1万5000人が集まることになります」
「このように計算していくと、7月25日はこの日だけで、最大で約6万8000人の観客がこの周辺に集まることになります。さらにこのエリアには聖火台も設置される予定なので、チケットのない人も来る可能性があります」
■専門家「興奮して感染リスク」
有働キャスター
「そうすると、この人数よりも多くの人が集まりそうです。どんなことが心配されるのでしょうか?」
小栗
「このエリアでは、コロナ前だと1日10万人以上が集まるイベントもあったのですが、感染症学が専門の国際医療福祉大学・松本哲哉主任教授は『コロナ前と同じ基準で考えてはいけない。特にオリンピックはお祭りで、みんな興奮するので感染リスクがある』と話しています」
「政府分科会の専門家は『日本中から人が来て、観戦だけしてどこにも寄らずに帰るのか』『五輪のチケットを持った人は移動してよいが、それ以外の人は帰省も旅行もダメだということになると、それで理解を得られるのか』と指摘しています」
■観客は…官邸関係者「総理の判断」
有働
「どういうメッセージを観客に出すと良いでしょうか?」
廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「試合を見に行くこと自体がダメではなく、人との接点ができることが問題なので、観戦者はそれを踏まえて応援していただく。その中でも、自分だけのためではなく、アスリートや日本中のことを考えて行動していただけると良いかなと思います」
「ただ、仕組みとしては、人の流れのコントロールは組織委員会がするべきかなと考えます。チケットを持っていない人が来ることに対しては、地元のエリアに限るなど、ある程度のルールづくりが大事かなと思います」
有働
「結局、観客を入れるかどうかの判断は、誰がするのでしょうか?」
小栗
「ある官邸関係者は『組織委員会が発表するだろうが、判断するのは首相になるだろう』と話しています。判断は、緊急事態宣言が期限を迎える6月20日以降ではないかとみられています」
有働
「こうした状況で、どういう条件なら国際的なイベントを開けるのか。オリンピック・パラリンピック後のイベントのあり方も含めて、世界が注目する判断になります」
(6月10日『news zero』より)