地球上最悪の“侵略的植物”各地で勢力拡大
爆発的に繁殖する緑の植物が、今、各地で勢力を拡大しています。地球上で最悪の“侵略的植物”とも呼ばれ、生態系への影響はもちろん、私たちの生活へも影響を与える可能性が指摘されています。
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千葉県の北西部、四つの市にまたがる手賀沼。水上で行われていたのは、船を使った大規模な水草の駆除。
水の中をのぞいてみると、茎や根が入り乱れるように深く生えています。
作業員
「なるべく根元からとるようには。切れちゃうとまた再生しますから」
駆除していたのは、今、大繁殖している2種類の水草。どちらも特定外来生物に指定されています。(ナガエツルノゲイトウ、オオバナミズキンバイ)
そのうちの一つ、とにかく厄介者の南米原産「ナガエツルノゲイトウ」は“地球上で最悪の侵略的植物”とも呼ばれています。
20年以上前、手賀沼でその姿が初めて確認されて以降、繁殖範囲はどんどん拡大していき、今では東京ドーム2個分以上の広さに拡大。このままでは生態系への影響だけでなく…
千葉県水質保全課 在原潤副課長
「排水機場のポンプに絡んでしまって排水ができなくなったりとか、農地に入り込んで耕作障害を起こしたとか、そういった被害を起こしかねない」
繁殖力がとても強く、水田の稲にからみつく被害もでています。
そこで2020年から県が本格的な駆除を開始。専用の船を使い、一気に刈り取っていきます。ものの数分で船には大量の厄介者が。これをクレーンで、陸地に水揚げしていきます。
多い時には1日40トンも刈り取るといいますが、そこは“地球上で最悪”と呼ばれる侵略的植物、簡単に駆除することはできません。
千葉県水質保全課 在原潤副課長
「こちらが刈り取った植物の保管場所になります」
刈り取ったあと、そのまま放置すると陸上で再び繁殖し始めるため、アスファルト舗装させた場所で乾燥させ、一度枯らせてから焼却処分をする必要があるのです。
千葉県水質保全課 在原潤副課長
「2年間で4分の1終わるのですが、この先これがどの程度繁茂していくのか、10年程度はかかるのかなと思っています」
専門家は 早めの駆除が大事だといいます。
滋賀県立琵琶湖博物館・学芸員 中井克樹さん
「葉っぱとか茎の断片からでも分身の術で増えていく。できるだけ早くにやっつけることを心がけていただくのが大事」
自治体も駆除にてこずる“地球上で最悪の侵略的植物”。素早い対策が求められます。