農作物荒らし人を威嚇“サルの群れ”駆除へ
神奈川県小田原市に棲み着いているニホンザルの群れ。住民への被害は2020年半年間でおよそ3800件にのぼっています。そのサルの群れについて神奈川県は、「管理困難な群れ」と認定し、すべて駆除することを決めました。
◇
記者
「あ!いました、いました!サルです!あー、すごいすごい。道路を渡ってます!」
道路を駆け抜けるサル。
記者
「かなり大きいですね。あー、すごいすごい!親子ですね」
住宅街にサルの群れが次々と姿を現します。さらに、器用に階段をのぼり、住宅の敷地に侵入し、屋根にジャンプ。
住宅街を我が物顔で歩き回ったあと、森の中へ消えていきました。
22日、神奈川県小田原市で撮影されたサルの群れ。
実はここ、小田原市ではサルが40年以上にわたり農作物を食い荒らし、人を威嚇するなど、人々の生活を脅かしているのです。その被害は、2020年半年間だけでおよそ3800件。
この深刻な状況に市は…
小田原市・環境部環境保護課 山田則夫課長
「(サルの群れを)全頭捕獲、着手できるということで決定を致しました」
小田原市によりますと、市内にこれまで“二大派閥”として生息していたニホンザルの群れ。このうち1つは市民の生活に被害を及ぼしたため、2020年までに4年をかけて、全頭駆除されました。
しかし、サルの被害は絶えることなく、ついに市と県は現在19匹いる残り1つの群れを「管理困難」と位置づけ、全頭駆除することを決めたのです。
過去に小田原市で撮影された映像には、車に体当たりして人を威嚇したり、住宅街を好き勝手に動き回ったりするサルが…。さらに、畑に侵入し、スイカを好き勝手にむさぼった上、スイカを持って二足歩行で逃げていく姿も…。
人の生活を脅かし、まさに“やりたい放題”のサル。
その被害を防ぐために活動を続けているのが“野猿追い払い隊”です。
野猿追い払い隊 吉葉茂樹さん(74)
「365日(見回りをする)、お正月も。(サルに顔も)覚えられてる」
市から委託された地元の猟友会が365日、サルの監視や追い払いを行ってきました。
22日の見回りのポイントは山の中。特別に同行させてもらうと、取り出したのはアンテナ。サルにはGPSがつけられているため追跡でき、サルが人里に降りて来たら追い払うといいます。
野猿追い払い隊 鈴木恵二さん(82)
「民家の周りにいると人を襲ったりするから危ないんだよね」
取材中にも、サルが食べた畑の果物が無残な姿になっていました。
サルの被害に長年苦しめられたという人も…
みかん農園を営む男性
「トータルすると(被害が)何百万円という金額にはなるかと思います」
10年以上にわたり畑を荒らされ、家の屋根まで破壊されるなど、被害を受け続けてきたといいます。
みかん農園を営む男性
「一日も早く全頭捕獲が達成できるように見守っていきたいと思っています」
最近は子供の通学路にまで現れ、威嚇することもあるというサル。市の担当者は…
小田原市・環境部環境保護課 山田則夫課長
「住民の方の安全安心第一ということで、今回(決断に)至ったというようなところ」
40年以上にわたり繰り広げられてきたサルとの闘い。市は今年の秋以降、“全頭駆除”に乗り出す方針です。