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【解説】地震相次ぐトカラ列島近海震度5弱も――過去にも地震頻発火山活動に影響は?

2023年6月5日 22:26
鹿児島県のトカラ列島近海では、今年4月から地震活動が活発になっています。5月には「震度5弱」の地震が発生、その後も地震が相次いでいます。これまでも、1か月の間に有感地震が約300回おきるなど“群発地震”活動も―。地震が多いワケとは?火山との関連は?社会部災害担当・内藤ミカ記者が解説します。【週刊地震ニュース

■震度1以上の地震63回 最大震度は、トカラ列島近海で震度4

5月29日から6月4日までの期間、国内で震度1以上の地震は63回ありました。

▼5月30日午後5時49分頃、群発地震が続く石川県珠洲市で震度4を観測する地震がありました。震源は能登半島沖、地震の規模を示すマグニチュード4.6、震源の深さは4キロでした。

▼5月30日午後8時16分頃、熊本市や宇土市などで震度3の揺れを観測する地震がありました。震源は熊本地方、マグニチュードは3.8、震源の深さは12キロでした。

▼6月1日、午前11時28分頃、鹿児島県十島村で震度4の地震がありました。震源はトカラ列島近海で
マグニチュードは4.3、震源の深さは11キロでした。1日は午後8時11分頃にも、震度3の地震がおきています。この地震のマグニチュードは3.7、震源の深さは11キロでした。

▼3日午後7時35分頃、北海道・函館市や浦河町などで震度3の地震がありました。震源は浦河沖で
マグニチュード5.1、震源の深さは65キロでした。

▼4日午前10時58分頃、茨城県つくば市や千葉県市川市、東京都中央区などで震度3の地震がありました。震源は千葉県北西部で、マグニチュード4.6、震源の深さは70キロでした。

■トカラ列島の口之島・中之島付近 5月には震度5弱―その後も活発な地震活動続く

鹿児島県の屋久島と奄美大島に挟まれて並ぶ島々は「トカラ列島」と呼ばれています。南北、約160キロの間に口之島、中之島、諏訪之瀬島、宝島、小宝島、悪石島、平島などがあります。気象庁が発表する地震情報では、震源が「トカラ列島近海」となっていますが、今回、特に地震活動が活発となっているのは口之島と中之島の周辺です。

■今年4月から地震活動活発に 震度1以上の地震は124回発生

気象庁によりますと、トカラ列島近海では今年4月から地震活動が活発となっています。4月1日から6月4日までに震度1以上の地震は124回発生しています。5月11日にはマグニチュード4.3、最大震度4を観測する地震がありました。この地震以降、活動がさらに活発になり、5月13日には、マグニチュード5.1、最大震度5弱の地震が発生しました。今月に入ってからも震度1以上の地震が19回発生、今月4日は1日だけで6回発生しています。

■約25年の間にM5.0以上の地震は14回発生 最大規模は6.1

1997年10月から現在までに発生したマグニチュード2.5以上の地震を示した図です。赤丸はマグニチュード5.0以上の地震を示していて、14回ありました。2021年12月9日には、マグニチュード6.1、最大震度5強の揺れを観測する地震が発生しました。この地震はトカラ列島近海でおきた最大規模の地震です。この地震で、鹿児島県十島村の悪石島では、がけ崩れなどの被害が出ています。

■トカラ列島近海 過去にも“群発地震”―1か月に約300回も

トカラ列島近海は、時々まとまった地震活動がある場所です。2021年4月には小宝島付近を震源とする地震が相次ぎ、震度1以上を観測した地震は265回にものぼります。その8か月後の2021年12月にも、同じく小宝島付近で震度1以上の地震が308回発生しました。2020年には、諏訪之瀬島付近でも地震が相次いでいます。

■地震発生のワケ「陸プレート内のひずみ」火山との関連は―?

気象庁によりますと、トカラ列島近海で地震が相次ぐ理由について、海のプレートが陸のプレートに沈み込む影響で、陸側のプレート内の「ひずみ」の状況に変化が生じて地震が発生しているとみています。トカラ列島を含む南西諸島の下には、フィリピン海プレートが沈み込んでいます。沈み込んでいる境界は「南西諸島海溝」「琉球海溝」とも呼ばれています。プレート境界で地震が起きることもありますが、今回続いている一連の地震活動は、「陸のプレートの中」で発生したタイプの地震です。

トカラ列島には、活発な火山活動が続く諏訪之瀬島があり関連が懸念されますが、地震活動と火山との関連について「詳しい原因はわかっていない」としています。気象庁は周辺の火山を常時監視していますが、海底火山は観測機器が無く状況確認が難しいといいます。ただ現在のところ、周辺の火山の活動について「特段の変化はみられない」ということです。

■1989年 伊豆半島東方沖で群発地震の中、海底火山が噴火

1989年には伊豆半島東方沖で群発地震が発生しました。地震が続く中、7月には突然、海底火山の噴火が発生しました。この時の群発地震は、震源の深さが2キロ~3キロと浅い場所で起きたものでした。マグマが地下から上がってきたことで地震が頻発し、噴火が発生したと考えられています。

■一連の地震活動 震源は10キロ~15キロ

トカラ列島近海を横から見た断面図です。赤丸は地震の震源と、その深さを示しています。黄色い丸で囲われた部分は、今回一連の地震活動が起きている場所で、震源の深さが10キロから15キロほどのところに集中しています。1989年の伊豆半島東方沖でおきた群発地震と比べると、トカラ列島近海でおきている、今回の地震活動の震源は“やや深い”場所で発生しています。

■震源“やや深い”火山噴火の切迫度は―?

地震の専門家・環境防災総合政策研究機構の草野富二雄さんは―

「震源が10キロ~15キロと“やや深い”ということは、地下のマグマが移動し浅いところまで上がってきているということではなく、噴火の切迫性を示すものとは考えにくい」と話しています。

トカラ列島近海では、2021年にマグニチュード6.1という、比較的規模の大きな地震も起きています。大きな地震が起きる可能性がある場所ということを再確認して備え、今後も地震活動に注意が必要です。