植物由来 広がる「代替シーフード」
開幕が近づくオリンピック。来日する外国人に対応するため、食の多様性が求められています。注目されているのは「植物由来の食べ物」ですが、今、魚を一切使わない「海鮮丼」も登場しています。そのヒミツとは…。
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東京・台東区役所の中にある食堂。
記者
「こちらの食堂では、お肉などを使わない植物性の食材だけを使ったメニューが食べられるということです」
「野菜かき揚げうどん」や「大豆ミートで作ったキーマカレー」など、動物性のものを一切使わないメニューです。
肉の代わりに使うのは、大豆からできた大豆ミート。それだけではなく、カレーのルーや、めんつゆのだしまで、すべて植物性にこだわっているといいます。
大豆ミートのキーマカレーを注文した人
「お肉が入っているような食感がしました」
2020年からこうした取り組みを行っているという台東区役所。
台東区役所食堂・店長 飯田武さん
「オリンピックに向けて、宗教であったり(関係なく)誰でも食べられればと思います」
東京オリンピックに伴う外国人観光客を見越して、宗教などに関係なく、すべての人が食べられるよう、メニューを工夫していました。
実は今、こうした植物由来の食べ物が、驚きの進化をとげています。
ニッコクトラスト首都圏事業部 阿部圭介エリアマネージャー
「海鮮丼です」
見せてもらったのは、イカ・サケ・イクラがのった海鮮丼。どこからどう見ても普通の海鮮丼ですが、実はこれ、お魚を一切使っていないそうです。
「サケ」は大豆からできているといいますが、「イカ」は…
ニッコクトラスト首都圏事業部 横山英樹チーフ
「イカに見えますけれども、元はナタデココになります」
まさかのナタデココ!
そして、残る一品は「イクラ」。熊本県の会社が製造していて、ある驚きの方法で作られているといいます。
ノズルから出ているのは、昆布などから抽出したねばねばの成分。これを特別な液体に落とすと、丸い粒状になります。お好みで醤油やだしに1日漬ければ完成するといいます。
そのお味は?
記者
「イクラはプチっとしていて、イカはこりこりっとした食感が本物そっくりで、海鮮丼が見事に再現されています」
こちらの海鮮丼は、すでに内閣府の食堂などで提供。
そして、三重県の水産品加工会社が7月から販売を予定しているのは、「マグロ」、「サーモン」、「イカ」のお刺し身にそっくりな、その名も「まるで魚」シリーズ。 どれも、こんにゃく芋などからできているといいます。
さらに、現在開発中だというのが「ウナギ」。主な原料はなんと、おからです。開発の裏には、水産品を扱う会社ならではの思いがありました。
あづまフーズ・水産代替品ブランドマネージャー 松永瞭汰さん
「(シーフードを)もっと先までたくさんの人に楽しんでいただけるように、代替品と本物が共存するような取り組みを世に広げていきたい」
水産資源を守ることにもつながり、環境に優しい代替シーフード。海外ではすでに浸透中。
台湾では、宗教的な理由から菜食文化が根付いていて、えびや白身魚など、大豆からできた代替品が数多く作られています。
アメリカでは、同じく大豆から作ったツナフレークが登場し、すでにスーパーなどで販売。
北欧のデンマークで作られていたのは、海藻からできた「食べる宝石」、キャビアです。
国の内外で広がる代替シーフード。私たちの食卓に並ぶ日も近いかもしれません。