秋の味覚・サツマイモ「基腐病」拡大で…
サツマイモのつるや根が腐ってしまう「基腐病」という病気が全国各地で確認され、被害がでています。この病気の影響で、去年の収穫量が大幅に減った産地もあり、生産者の間では不安が広がっています。
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ホックホクの食感と強い甘みが特徴の「焼き芋」。都内にある、ブランドサツマイモを使った焼き芋専門店では、この時期は初夏にとれる「土佐紅」という珍しい品種などを使い、“秋の味覚”を1年中提供しています。
しかし、サツマイモの旬を前に店を悩ませているのが、サツマイモの病気です。
焼き芋専門店ふじ 上原浩史代表
「病気が去年は九州とか種子島で(はやり)、今年は関東でも(病気が)出ているみたいでちょっと心配ですね」
「サツマイモ基腐病」と呼ばれるもので、寄生したカビが「根」や「つる」を始め、イモ自体を腐らせてしまう病気です。一度発病すると、翌年の栽培にも影響が出るなど、生産者から恐れられています。
日本では2018年に沖縄県で初めて確認されて以降、その広がりは西日本が中心でしたが、今年に入り、東京や千葉など、関東でも確認されるなど、全国13都県に被害が拡大しています。
九州南部のある産地によりますと、基腐病などが原因で去年の収穫量はおよそ6割減少。また、今年も病気を確認しているということです。
焼き芋専門店「ふじ」では、千葉県産などのサツマイモも使うため、関東での病気の広がりが心配だといいます。
焼き芋専門店ふじ 上原浩史代表
「秋からが本番ですので、秋にどのくらい(サツマイモが)採れるか、ハラハラしながら不安な気持ちで過ごすみたいな感じになる」
生産量が不安定になると、気になるのは値段です。都内のスーパーでは…
スーパーイズミ 五味衛代表
「(病気で)5月6月の量がいつもの半分ぐらい、すごい値段になってましたね」
一時、例年の4割ほど値上げした時もあったといいます。
月別でみた1キロあたりの平均卸売価格は、しばらくは300円前後で推移していましたが、今年5月には386円になるなど、一気に高騰しています。
生産者も不安を募らせます。サツマイモ生産量全国2位、茨城県の農家では、干し芋用のサツマイモが育てられていました。この農家から基腐病は出ていませんが、6月、初めて茨城県内で確認されたこともあり、警戒を強めていました。
安物産 石崎亮一さん
「苗の生育状態や、病気が入っているか、入っていないかを確認しつつ、今年は手作業でやっています。本当に怖いですよね」
基腐病の対策として、機械で行っていた除草を手作業に変え、こまめに苗の状態を確認するようにしているといいます。
その上で、今年は生産量を例年より3割ほど増やし、全国的な供給不足の解消に少しでも貢献したいということです。