ソバの値段が… 産地・中露の価格上昇で…
需要が増える本格的な夏を前に、いま「ソバ」の値段が上がっています。理由は世界有数の産地である中国とロシアでの価格の上昇です。日本の食卓でおなじみの「ソバ」にいま、何が起きているのでしょうか。
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「はい、すみません、どうぞ!」
朝から客足が絶えない立ち食いそば店。人気は、ジャンボゲソそば、430円。プラス50円で変更できる太麺は食べ応え十分。味はもちろん値段も魅力。そんな店を悩ませているのが…
一由そば 藤平健店長
「(そばの)仕入れ値も上がってしまって、大打撃が本当にすごいんですよ。正直すごく厳しいと思います」
今年に入り、ソバの仕入れ値が高止まりしているといいます。
なぜ、ソバが高騰しているのでしょうか? 輸入したソバの実を加工し、販売する製粉会社に話を聞きました。
ソバの自給率がおよそ2割にとどまる日本では、輸入の半数以上を中国に頼っています。
石森製粉 石森安征社長
「中国産の原料が、いま価格が上昇しているということで、ここまで大きく中国産の原料が値上がりしたことはございませんでした」
その中国産ソバが高騰しているというのです。仕入れ値は、2019年に比べ倍近くに。そのため夏以降、そば粉1キロあたりの卸値を50円ほど値上げする予定だといいます。
一体、中国で何が起きているのでしょうか?
記者
「こちらはいろいろな雑穀を取り扱っている市場なんですけども、そのなかにソバの実も売られています」
ソバの売れ行きを聞いてみると……
そばの卸売業者
「値段が高くて、売れ行きもあまりよくありません。前年の収穫量が落ち込んだからです」
中国メディアによりますと、天候不順によりソバの収穫量が減少。さらに日本の商社によると、中国では補助金が出る大豆やトウモロコシなどへの転作が進み、ソバが高騰しているというのです。
影響は、意外なところへ広がっています。
ロシア・モスクワ市内にあるレストラン。バターと炒めているのはソバの実です。それを牛肉でダシをとったスープで煮込んでできたのが「グレチェネワヤ・カーシャ」という料理。ロシアでは、肉料理の付け合わせなどでソバが日常的に食べられているのです。
その味は…
記者
「日本でいうと、お米をバターで炒めたものを食べているような感覚です」
さらに、ソバの実から作られたマカロンも…。実はロシアも世界有数のソバの生産国なんですが…
レストラン・マトリョーシカ レイン・ドミトリー副料理長
「平均で2割ほど上がっています」
収穫量が減った中国、さらに日本も輸入量を増やすなど、各国からの需要が急に高まり、ロシア国内でソバの価格が高騰。ロシア政府は価格を安定させるため、6月5日から8月末まで、日本を含む各国にソバの輸出を一時中止すると発表したのです。
食卓への影響はあるのでしょうか?
10種類ほどのソバを扱う都内のスーパーでは…
信濃屋食品 鈴木誠統括本部長
「これが最後の、お客さまへ安く売れる時期なのかなと思っております」
ソバ需要が増える夏を目前に、2割から3割ほど値上げするとメーカーから通知が出されているといいます。
商社は、今後のソバの輸入状況次第で高値に拍車がかかる可能性があるとしています。