モデルナアーム2.2%に「自然に回復」
モデルナ社の新型コロナワクチンを接種した7日目ごろから発赤、かゆみを伴う「モデルナアーム」が2.2%の人で報告されていることが、国の研究班の調査でわかりました。
順天堂大学などの国の研究班は、ファイザー、モデルナ社のワクチンを接種した人の副反応の調査を実施しています。
最新の報告では、モデルナ社ワクチン1回目接種後の自衛隊職員ら2325人の調査では、いわゆる「モデルナアーム」が2.2%で報告されています。
■「発赤」は3日目の割合が多く10日目も4.3%の人に
データを詳しく見ていきましょう。「発赤」(=腕が赤くなる症状)がある人の割合は、接種当日:4.3%、2日目:6.3%、3日目:6.5%、4日目:5.1%、5日目:2.4%、6日目:1.3%、7日目:1.0%、8日目:1.3%、9日目:3.9%、10日目:4.2%となっています。
■接種10日目、直径5センチより大きい「発赤」2.6%に
「発赤」を軽度、中等度、高度別で見ると、赤みの直径が5センチより大きい高度の割合は、10日目:2.6%が一番多く、次いで、9日目:2.3%となっています。
■「かゆみ」は9日目の割合が多く3%に
「かゆみ」のある人は、接種当日:1.6%、2日目:1.6%、3日目:1.9%、4日目:1.6%、5日目:1.5%、6日目:0.9%、7日目:0.8%、8日目:1.2%、9日目:2.9%、10日目:2.7%となっています。
9日目の割合が最も多く、次いで10日目となっています。
■モデルナアーム 約2.2%に
研究班は、遅延性の皮膚反応、いわゆる「モデルナアーム」の頻度についても調査しています。接種3日目には「発赤」がなく、その後「発赤」が出て、10日目以降にも症状が継続した人は、2325人のうち50人で、2.2%の割合でした。
また症状が消えるまでに、最長で25日、10日目で一番大きな「発赤」は20センチとの報告があるということです。モデルナアームは「自然によくなる」とされています。
以下は、米国で新型コロナの診療に従事、小児科専門医の池田早希医師のモデルナアーム「自然によくなる」Q&A、7月17日の掲載記事です。
■モデルナアーム 医師「自然によくなります」
――モデルナアームとは?
mRNAワクチン接種後、数日から1週間後くらいに、注射をした側の腕にかゆみや痛み、腫れや赤みを伴う発疹が報告されています。不快ではありますが、それ以外は、健康に害はなく、自然によくなるため心配はいりません。
――モデルナ社のワクチンを接種した人にだけで出る症状ですか?
ファイザー社のワクチンでも報告されています。海外の公的機関では「コビッドアーム」と呼ばれていますが、ほとんどがモデルナ社のワクチンで報告されているため、「モデルナアーム」とも呼ばれています。
――頻度や発症時期は?
モデルナ社のワクチンの治験では、頻度は1回目の接種後で0.8%、2回目の接種後は0.2%と報告されています。接種後、数時間後から、翌日あたりから現れる局所反応とは異なり、接種した後、数日から1週間ほど遅れて出る反応です。
※7月5日、国の研究班の報告では、モデルナ社ワクチン1回目接種後、腕が赤くなっていた人は、接種9日目で3.4%、10日目で4%、10日目以降で2.6%。かゆみは9日目で2.7%、10日目で2.4%、10日目以降で1.3%。でした。
――具体的な症状は?
接種部位や周囲のかゆみ、熱感を伴う赤み、腫れ以外に、接種部位のしこり、水膨れ、手の発疹を伴う例も報告されています。赤みは1~2cmのものから10cmを超えるものまで、様々です。
――よくなりますか?
不快に感じるかもしれませんが、それ以外に害はなく、多くは数日で自然によくなります。
■モデルナアームの原因ははっきりわかっていない
――2回目の接種でも起きますか?
1回目で症状が出た場合、2回目でも生じた人、生じなかった人の両方のパターンが海外で報告されています。
――原因は?
どうして起こるのかははっきりとはわかっていませんが、遅れて出てくる過敏反応(遅発型アレルギー)という説が有力です。mRNAワクチン接種後の皮膚の症状については、世界中で研究されています。
■モデルナアームの対処法は?
――治療は?
自然によくなるため特別な治療が必要なわけではありません。しかし、不快な場合には対症療法をオススメします。具体的には・冷やす・痛みが酷いときは市販の鎮痛剤の内服・かゆみ止めの軟膏やステロイド軟膏を検討しましょう。
症状が酷い場合や、数日しても改善しない場合は皮膚科医に相談してください。
――薬を使ってワクチンの効果に影響は?
上記のような薬を使用しても、ワクチンによる免疫がつきにくくなることはありません。
――2回目のワクチンは接種しても大丈夫ですか?
2回目の予診の際にどんな症状が出たか、伝えるとよいでしょう。2回目の接種は1回目と反対側の腕に打つことが医師から推奨されるかもしれません。
池田早希医師:千葉大学医学部卒 2015年渡米 ベイラー医科大学・テキサス小児病院等を経て、2019年よりロンドン熱帯衛生大学院へ こびナビ副代表 現在帰国中