モデルナアーム 医師「自然によくなる」
新型コロナの疑問に答えたい!「ワクチン接種後、腕に赤い発疹や腫れ、モデルナアームとは」米国では新型コロナの診療に従事。小児科専門医の池田早希医師に聞きました。
■モデルナアーム「自然によくなります」
――モデルナアームとは?
mRNAワクチン接種後、数日から1週間後くらいに、注射をした側の腕にかゆみや痛み、腫れや赤みを伴う発疹が報告されています。不快ではありますが、それ以外は健康に害はなく、自然によくなるため、心配はいりません。
――モデルナ社のワクチンを接種した人にだけで出る症状ですか?
ファイザー社のワクチンでも報告されています。海外の公的機関では「コビッドアーム」と呼ばれていますが、ほとんどがモデルナ社のワクチンで報告されているため、「モデルナアーム」とも呼ばれています。
――頻度や発症時期は?
モデルナ社のワクチンの治験では頻度は1回目の接種後で0.8%、2回目の接種後は0.2%と報告されています。接種後、数時間後から翌日あたりから現れる局所反応とは異なり、接種した後、数日から1週間ほど遅れて出る反応です。
※7月5日、国の研究班の報告では、モデルナ社ワクチン1回目接種後、腕が赤くなっていた人は、接種9日目で3.46%、10日目で4.01%、11日目以降で2.63%。かゆみは9日目で2.7%、10日目で2.42%、11日目以降で1.31%でした。
――具体的な症状は?
接種部位や周囲のかゆみ、熱感を伴う赤み、腫れ以外に、接種部位のしこり、水膨れ、手の発疹を伴う例も報告されています。赤みは1~2cmのものから10cmを超えるものまで、様々です。
――よくなりますか?
不快に感じるかもしれませんが、それ以外に害はなく、多くは数日で自然によくなります。
■モデルナアームの原因ははっきりわかっていない
――2回目の接種でも起きますか?
1回目で症状が出た場合、2回目でも生じた人、生じなかった人の両方のパターンが海外で報告されています。
――原因は?
どうして起こるのかははっきりとはわかっていませんが、遅れて出てくる過敏反応(遅発型アレルギー)という説が有力です。mRNAワクチン接種後の皮膚の症状については、世界中で研究されています。
■モデルナアームの対処法は?
――治療は?
自然によくなるため特別な治療が必要なわけではありません。しかし、不快な場合には対症療法をオススメします。具体的には・冷やす・痛みがひどいときは市販の鎮痛剤の内服・かゆみ止めの軟こうやステロイド軟こうを検討しましょう。症状がひどい場合や、数日しても改善しない場合は皮膚科医に相談してください。
――薬を使ってワクチンの効果に影響は?
上記のような薬を使用しても、ワクチンによる免疫がつきにくくなることはありません。
――2回目のワクチンは接種しても大丈夫ですか?
2回目の予診の際にどんな症状が出たか、伝えるとよいでしょう。2回目の接種は1回目と反対側の腕に打つことが医師から推奨されるかもしれません。
池田早希医師:千葉大学医学部卒2015年渡米 ベイラー医科大学・テキサス小児病院等を経て、2019年よりロンドン熱帯衛生大学院へ こびナビ副代表 現在帰国中