“入院制限”で…頼みは「酸素濃縮装置」
新型コロナウイルスの患者について、政府が入院対象を重症者らに限定する方針を決めたことを受け、自宅療養を迫られるケースが増える見通しです。自宅で症状が悪化し、入院待ちとなった場合、どうするのか―。頼みの綱となる「酸素濃縮装置」を紹介します。
■チューブから濃度「90%」の酸素
有働由美子キャスター
「新型コロナウイルス患者の入院対象が、重症者とリスクの高い患者に限られることになりました。感染すると、私たちも自宅療養することになるかもしれません。自宅療養中に症状が悪化したり、呼吸が苦しくなった場合、頼ることになりそうなのが、『酸素濃縮装置』です」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「ずっしりと重い装置です。周りの空気を取り込んで酸素を濃縮します。酸素濃度を90%にして、チューブから酸素が出てきます。このチューブを鼻に当てて、体に酸素を送り込みます。これにより、肺の機能が落ちたとしても、血の中の酸素不足が改善されて、生命を維持します。自治体などが貸し出して、医師の処方の下で、家の中で使います。皆さん、使うことになるかもしれません」
有働キャスター
「これを家の中で使うとなると…」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「祖父が病気になった時に自宅で使っていました。仰々しくて大きいです」
■医師が判断、入院までの「つなぎ」
小野委員
「自宅療養で、最初はたいしたことないと思っていても、急に症状が悪化することがあり得ます。症状が悪化すれば当然、本当は入院ですが、ベッドがいっぱいで、入院待ちもあり得ます。その時、医師の判断でこの装置を自宅に持ってきてもらい、その場で医師の診断を受け、装置の使い方を教わって、入院までのつなぎとしてこの装置に頼ることになります」
有働
「今の感染状況を見ていると、こういうケースは増えていきそうです」
小野
「各自治体もそのように見込んで、今、この装置を確保しようとしています。東京都は500台を確保しました。今までも入院待ちの患者にこの装置を使ってきた自治体もありますが、使っていない自治体からは『結局、医師の処方が必要。どこまで活用できるか分からない』(千代田区)という声も上がっています」
■落合さん「中等症のリスク周知を」
有働
「この装置に頼らないといけないという状況はどう考えますか?」
落合
「最近の傾向として、検査数がそこまで多くない割に、感染者数が多い。つまり陽性率が高いというのが非常に心配だと思います」
「『中等症』という言葉の困難さが、一般の人にあまり伝わっていないと感じています。中等症と言われるものでも、こういう装置を使うかもしれない人がいるくらい大変だということが、テレビで伝わるのは非常に良いと思います」
「僕も肺炎はかかったことがあって、以前経験しましたが、息ができないのは非常につらいですし、コロナは普通の肺炎よりもよりきついという話が多数あるので、そのリスクを伝えるといいんじゃないかと思います」
有働
「この装置を使って自宅で酸素を吸ってしのぐという状況が、もう人ごとではない段階に来ているので、今はとにかく、やれる限りの対策をフル活用して、自分と家族と、大切な人たちを守るしかないです」
(8月3日『news zero』より)