【解説】批判噴出の埼玉“子ども放置禁止”条例改正案を「取り下げ」…自民党埼玉県議団が弁明
子どもを留守番させて買い物に行くなどの行為を「虐待」と定義し、埼玉県議会で審議されていた「虐待禁止条例 改正案」について、提出した自民党県議団は10日、取り下げることを明らかにしました。どんな点が問題だったのか、加納美也子解説委員が解説します。
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藤井貴彦キャスター
「埼玉県議会に提出されていた“県虐待禁止条例の改正案”、どんな点に反対意見が出たのでしょうか」
加納美也子 解説委員(*小学生を子育て中)
「この改正案の具体的な例をあげて見てみますと…小学3年生以下の子どもに対し、下記のような状況はすべて“虐待”と定義され、発見した場合には、速やかに通告・通報することを県民に義務づける、という内容だったんです」
■小学3年生以下を
①公園で子どもだけで遊ばせる
②子どもだけで登下校
③子どもを留守番させて買い物に行く
加納 解説委員
「埼玉県には、10日午前10時時点で、『反対871件・賛成2件』という意見が寄せられたということです」
「その結果、本来は今週金曜日(13日)の埼玉県議会本会議で採決が行われる予定でしたが、10日午後、自民党埼玉県議団は、改正案を取り下げることを明らかにしたんです」
藤井キャスター
「特に、共働き世帯や1人で子育てをしている方にとって、この改正案は“現実的ではない”という声が聞かれていましたよね」
加納 解説委員
「実は、4月から施行された『こども基本法』では、国と全ての地方自治体に、子どもに関する政策を決める際には、“子どもや保護者の意見を聴くこと”を義務付けているんです」
「しかし、批判が噴出したこと受けて、自民党埼玉県議団の団長は、10日の会見で、『みなさんの声を広く拾う状況を作っていたと思っていたが、足りないところがあった』などと、反省の弁を述べていました」
「今回の改正案は、こどもや保護者の意見をしっかりと聞いて、その視点に立って作られたとはいえません。今回をきっかけに、自治体はあらためて、子育て世帯への支援のあり方を見直してほしいと思います」