メダルかじり、専門家「常識レベル超える」
河村たかし・名古屋市長が、五輪女子ソフトボールの後藤希友選手の金メダルを噛んだ行為。オリンピックの専門家も「極めて非礼」と指摘しています。問題点や背景を、來田享子・中京大学教授に小西美穂キャスターが聞きました。
■常識のレベルを超える
──そもそも五輪選手ではない人が選手の目の前で金メダルをかじる光景を初めて見て驚愕しました。
人のものに口をつける時点で非礼です。選手の価値の毀損も含めて、あらゆる意味で常識のレベルを超えています。アカデミックな意味を見いだすことが難しいです。
──選手からも“被害経験者”だと声があがっています。
選手がメダルをかじるポーズをするようになったのは、90年代頃からだといわれます。しかしこの行為を分析した学説は、目にしていません。選手が自発的に行ったというよりは、メディアイニシエーション(メディアからの働きかけによる一種の儀式)として選手が行っていると理解できるかと思います。選手のなかにも賛否両論があります。
■行為の基準は「ウケる」こと
──問題をどうみますか
長年の「メダルを噛む」という行為が形骸化したあげく、最終的にこのような形で露呈したといえるのではないでしょうか。子どもであれば、選手の気持ちになりたかった、という理解も成り立ちますが、行為の基準が「ウケる」ことにあるようにみえます。
そもそもメダルの持ち主がメディアからサービスとして強要されてする行為ではありませんし、ましてや、所有者でもない人が勝手にする行為でもありません。
來田享子(らいた・きょうこ)中京大学スポーツ科学部教授 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会理事 日本スポーツとジェンダー学会会長
(聞き手 日本テレビ解説委員・news every.キャスター小西美穂)
写真:河村たかし市長(8月4日、名古屋市役所)