「食べ残し持ち帰り」ガイドライン案まとまる 消費者側の“自己責任”が大前提、メニューの判断は飲食店側…具体的には?【#みんなのギモン】
そこで今回の#みんなのギモンは、「食べ残しの持ち帰り、どうすれば?」をテーマに解説します。
「レストランなどの外食で食べ残した料理、食品ロス。食べ残して捨てられてしまうのであれば、持ち帰ったらいい。でもそのためにはルールがあった方がいい。そこで持ち帰りに関するガイドラインの案を6日、厚生労働省がまとめました」
「ここにおにぎりを1個用意しました。重さで言うと、このおにぎり1個分の食品を、みなさん1人1人が毎日捨て続けている計算になるんだそうです」
小野解説委員
「農林水産省などによると、食品ロスは、2022年度472万トンでした。そのうち家庭から出る食品ロスと、飲食店での食べ残しや商品の売れ残り=事業系は、ほぼ同じ量なんです。レストランなどでつい頼みすぎて、話に夢中になりすぎて食べ残す。そんな経験ありませんか?」
鈴江奈々キャスター
「(外食で)ついつい頼みすぎてしまったということはあります。家庭ですと、冷蔵庫の奥の方で『腐ってしまっている!』と泣く泣く捨てることもあります。こうしてみると、すごい量の食品ロスが生まれていますね」
小野解説委員
「これをなんとかしなきゃいけないということで、6日、新たな動きがありました」
小野解説委員
「6日、厚生労働省の部会では、外食で食べ残した料理の持ち帰りについてのガイドライン案をまとめました。あくまで食べられる量を注文して食べきるのが基本です。その上でどうしても食べきれなくて持ち帰る場合、衛生的に持ち帰る、そのための指針を示そうというわけです」
「これまでも実は、食べ残しに関するガイドのようなものは消費者庁が出していました。しかし店側はやはり食中毒など、衛生面のリスクが怖いということで、今回、新たにガイドラインを作り、店に安心して『持ち帰り』という選択肢を持ってもらえるようにしよう、という考えです」
森圭介キャスター
「きちんとリスクなども考えて、その中でも食品ロスを減らすために、事業系で何かできないか、という取り組みなんですね」
小野解説委員
「事業系の部分で取り組んでいこうということですね。では、ガイドライン案はどんなものなのでしょうか。消費者側に求められること、まずは、自己責任で持ち帰ってください、ということです。これが大前提。その上で、以下のことが必要です」
・料理を詰める時は清潔な器具と容器を使う。
・フードコートはいろんな店がある。異なる店の食品を同じ容器に詰めない。
・持ち帰ったら速やかに食べる。必要に応じて加熱をする。
忽滑谷こころキャスター
「店によって調理法もルールも違うでしょうから、持ち帰りたいとなったら、逐一、お店の方に確認した方がいいということですね」
小野解説委員
「はい。持ち帰りに関するルールには以下のようなものがあります」
・自分たちの判断で勝手に持ち帰るのではなく、持ち帰りに適するメニューは店が判断する。
・必要に応じて容器などを提供する。
・店側は、衛生を保つための注意事項を伝える。その上で、食品は持ち帰る消費者自身で詰めてもらう。
刈川くるみキャスター
「元々、残したいと思って多く頼む人はいないと思うので、こうした持ち帰ることができるサービスはすごくありがたいです。ただ、自己責任といえども、店側も(消費者に)食中毒になってほしくないと思うので、(持ち帰り可能な)メニューの判断、どこに線引きをするのかが難しそうですね」
小野解説委員
「では、飲食店はどんなものを持ち帰りOKとするのでしょうか。ガイドラインでは十分に加熱されたもの、常温での保存ができるもの、そして、水分が少ないものなどが挙げられています」
「ここでクイズです! ファミレスに行って食べきれないかも…となった場合。まだお皿に残っているのは『フライドチキン』『ピラフ』『焼き魚』『サーモンのマリネ』『サラダ』『ドリンク類』。これまで実際に店側が持ち帰りOKとしていた食品はどれでしょう?」
鈴江キャスター
「これまでですよね。やはり火が入っている(加熱された)フライドチキン、ピラフ、焼き魚はいけそうな気がします」
森キャスター
「ドリンクは大丈夫じゃないかな」
刈川キャスター
「魚は元々、取り扱いが難しいので、どうでしょう…火の入り具合、焼き加減などあるので、厳しいのではないでしょうか」
忽滑谷キャスター
「私もフライドチキン、ピラフ、焼き魚かなと。サラダは迷ったのですが、生野菜なので、どうなのでしょう。お店によって調理方法が違いますから、迷いますね…」
小野解説委員
「厚生労働省がヒアリングした企業で、持ち帰りOKとされていた食品は『フライドチキン』『ピラフ』『焼き魚』になります。こうしたものは、十分に加熱されたもの、ということになるんですね。そして常温で保存が可能なもの、水分の少ないものとなると、この3つになります」
「何度も言うようですが、持ち帰りはどうしても食べきれない場合の手段の1つです。そこは気をつけなければいけません」
鈴江キャスター
「基本的にはお店でおいしくいただく、ということですね」
小野解説委員
「飲食業では、食べ残しの持ち帰りを広めるために環境省が『モッテコ』プロジェクトを行っています」
「持ち帰りの容器は各企業が用意します。今、ロイヤルホストやデニーズなどのファミリーレストランや東京・杉並区などの自治体も参加して、1215の店舗が参加しています。すると、昨年度は29万件の持ち帰りがあり、72.4トン相当の食品廃棄物を削減したというんです」
忽滑谷キャスター
「この数字を見ると、捨てるのであれば持って帰りたい、その需要の高さというのはうかがえますね」
小野解説委員
「一方で、そもそもの食べ残し自体を減らす取り組みもあります。東京・新宿区にあるしゃぶしゃぶが食べ放題の店では、しっかり完食し、食後のテーブルを撮影して店員に見せると、次回から使えるドリンクバーの割引券をプレゼントする取り組みを行っていました」
森キャスター
「食べ残さないのは“当たり前”のことだけれども、その“当たり前”のことをするとお得になるというのはいいですね。モチベーションが高まりますね」
小野解説委員
「食べ残していいんだ…ということではないんですね。宴会シーズンですが、話に夢中になりすぎず、集中して食べる時間を作ることも大事です」
(2024年12月6日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
【みんなのギモン】
身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)