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伝統的酒造りや和食だけじゃない……日本の「無形文化遺産」23件、いくつ知ってる? 世界遺産との違いは【#みんなのギモン】

2024年12月6日 9:08
伝統的酒造りや和食だけじゃない……日本の「無形文化遺産」23件、いくつ知ってる? 世界遺産との違いは【#みんなのギモン】
ユネスコの無形文化遺産に、日本の「伝統的酒造り」が登録されることが正式に決まりました。これで国内の登録は23件となりましたが、どんなものが含まれ、世界遺産とはどう違うのでしょうか? 意外と知らない無形文化遺産について考えます。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「ユネスコ『無形文化遺産』って何?」をテーマに解説します。

■日本の「伝統的酒造り」登録が正式決定

小林史・日本テレビ解説委員
「5日は朝から、うれしいニュースが伝えらえています。ユネスコの無形文化遺産に、日本の『伝統的酒造り』が登録されることが正式に決まりました。そもそも、『無形文化遺産とは何なのか』『世界文化遺産との違いは何?』と聞かれたら、答えられますか?」

森圭介アナウンサー
「形がないということですよね?」

鈴江奈々アナウンサー
「文化とか、形のないもの…」

桐谷美玲キャスター
「形がないけど、すごく大事に残していきたいものでしょうか」

■26件ある「世界遺産」との違い

小林解説委員
「国連の教育や文化に関する専門機関であるユネスコが国際的な2つの条約に基づいて選んでいるのが、世界遺産と無形文化遺産です。ではこの2つはどう違うのでしょうか」

「世界遺産は、日本からは兵庫・姫路城や鹿児島・屋久島、富士山(信仰の対象と芸術の源泉)、広島・原爆ドームなど26件が登録されています」

「無形文化遺産として登録されているのは、雅楽や風流踊(ふりゅうおどり)、和食(日本人の伝統的な食文化)、今回の伝統的酒造りなど23件です」

「世界遺産は有形で、どこどこの何、と場所やものがはっきりとしている自然や景観、建造物の文化財です。一方で無形文化遺産はものとしては表現しにくい踊りや演劇、音楽のような伝統的な芸能の『技』や『食』などを守っていこうというものです」

森アナウンサー
「具体的に、厳密にそういう違いがあるということまで意識していませんでした」

小林解説委員
「意外と知らなかったですよね」

■和紙や和食…生活の中にもある遺産

桐谷キャスター
「ほかにどんなものが登録されているのか、すごく気になります」

小林解説委員
「ほかには、結城紬、来訪神(仮面・仮装の神々)、能楽、人形浄瑠璃文楽、歌舞伎、小千谷縮・越後上布、奥能登のあえのこと、早池峰神楽、秋保の田植踊、大日堂舞楽、題目立、アイヌ古式舞踊、組踊、壬生の花田植、佐陀神能、那智の田楽、和紙、山・鉾・屋台行事、伝統建築工匠の技があります」

森アナウンサー
「初めてお目にかかるものもあります。いかに知らないか、不勉強さを痛感しますね」

鈴江アナウンサー
「歌舞伎など昔から続いている伝統的なものもありますし、私たちの生活の中にもある和紙や和食が無形文化遺産になっているのは誇らしいですよね」

桐谷キャスター
「取材で和紙すき体験はしたことがあります。すごくいい経験をさせてもらいました」

■ナマハゲも含まれる「訪問神」とは

小林解説委員
「知っているものも知らないものもいろいろありますが、2018年に登録された『来訪神』にはナマハゲが含まれています」

「秋田県の『男鹿のナマハゲ』のように、日本の各地には仮面をかぶったり仮装をしたりした異形の姿をした神々が、家々を回って怠け者を戒めたり人々に福をもたらしたりする文化がありますよね。こうした行事が、来訪神として登録されています」

■くさい泥を塗りつける宮古島の行事

小林解説委員
「沖縄県の『宮古島のパーントゥ』もあります。体をつる草で覆った神々が容赦なく、くさい泥を塗りつける行事です。塗りつける行為には悪霊を払い、無病息災をもたらす厄払いの意味があると伝えられているそうです」

忽滑谷こころアナウンサー
「結構好きで、パーントゥグッズのポーチも私物で持っているくらいです。宮古島に行くとパーントゥをモチーフにしたグッズがいっぱいあります。島民の皆さんにとってもすごく誇らしい存在なんだなと感じました。パーントゥ推しです。いい神様ですからね」

■ベルギーの国王夫妻が機織りを見学

桐谷キャスター
「無形文化遺産に選ばれると、どんないいことがあるんですか?」

小林解説委員
「2010年に登録された結城紬と、2013年に登録された和食に注目します」

「結城紬が登録されてから6年後。茨城・結城市で結城紬の伝統的な機織り実演を、上皇ご夫妻、当時の天皇皇后両陛下がご覧になっていました」

「この時はベルギーの国王夫妻が国賓として来日した際に、結城市を日帰りで訪問し、案内されました。ベルギーのマチルド王妃は『繊細で美しい』と、結城紬の反物に見入っていました」

「無形文化遺産に選ばれると、箔が付いて知名度が上がるという効果もあります。結城市役所の方に5日取材したところ、結城紬の後継者育成事業には、無形文化遺産に登録されてから、近隣だけではなく遠方から志願をする人が増えたそうです」

■海外の日本食レストランが倍増

小林解説委員
「2013年には和食が登録され話題になりました。農林水産省によると登録後4年で海外の日本食レストランの数が、約2倍の11万8000店に増えたというデータもあります。登録されたからという因果関係は分かりませんが、和食が世界から注目されているのは事実です」

森アナウンサー
「和食ブームもそうですし、結城紬も知らなかった人が知るきっかけにはなりますよね」

鈴江アナウンサー
「(結城紬は)遠方から志願者が増えているということで、文化がつながっていくきっかけにもなっていますよね」

■無形文化遺産、訪問先の決め手にも?

鈴江アナウンサー
「今回はタイのトムヤムクンスープも選ばれていましたが、これも無形文化遺産ですか?」

小林解説委員
「世界三大スープと言われる『トムヤムクン』は、タイ料理として初めて無形文化遺産に登録されました」

鈴江アナウンサー
「タイ料理はいろいろありますが、その中でもトムヤムクンなんですね」

小林解説委員
「タイの人々にとって国民食というか、ふるさとの味なのでしょうね。それ以外ではベルギーの『ビール文化』、韓国の『キムチ漬け込み文化』、スペインの『フラメンコ』、中国の『太極拳』など777件が登録されています。『ああ!』という面白さがありますよね」

森アナウンサー
「この地域といえば、というものが入っていますね」

鈴江アナウンサー
「私たちが海外を訪れる時に、こういった無形文化遺産や世界遺産をきっかけに『ここに行ってみよう』となることがあります。逆もしかりで、日本の無形文化遺産をきっかけに訪れる先が決まっていくといいですね」

小林解説委員
「今年は、日本を訪れる外国人客がコロナ前を上回り、過去最多に迫るペースになっています。日本の酒造りの関係者も、さらなる認知度アップに期待を寄せているのではないでしょうか」

(2024年12月5日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

【みんなのギモン】

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最終更新日:2024年12月6日 9:08