台風接近…「半地下」数センチ浸水でも危険
日本列島に台風が接近しています。秋の大雨シーズンはまだまだ続きます。私たちの身近には、少しの浸水でも命の危険があるも場所あり、改めて備えを確認する必要があります。
2019年10月。東日本に大きな被害をもたらした「台風19号」。東京でも「多摩川」がはん濫。付近では家屋が浸水したほか、マンションが水没し、逃げ遅れたとみられる住民が死亡しました。
堤防が一部低くくなっている世田谷区の二子玉川駅の周辺では、川の水があふれました。このため、国は2度と氾濫を起こさないために堤防をかさ上げする工事を進めています。
国交省京浜河川事務所・太田敏之副所長
「令和元年(2019年)の“東日本台風”の洪水、同規模の洪水が来ても、(川の水を)安全に流せる状態にはなっている」
堤防は、今後さらに1.5メートルほど高くする計画で、2024年度までに完成する予定です。
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この多摩川の氾濫で、大きな被害を受けた歯科医院があります。
オカムラ歯科医院・岡村興一総院長
「(水の高さは)だいたいこの私が手伸ばしたあたりですね。ここまでとは全く想像してませんでしたね」
院内は高さ2メートル近くまで浸水。濁流は入り口のガラス扉を突き破って流れ込んだのです。あれから2年。岡村さんは以前と同じ場所で再建しました。
オカムラ歯科医院・岡村興一総院長
「『もう出たほうがいい』ってだいぶ言われましたよ。だけれど僕は多摩川愛してますんでね。どうにかここまで来ましたんで感無量ですけどね」
岡村さんの医院の被害を大きくした要因が、建物の構造にありました。
オカムラ歯科医院・岡村興一総院長
「半地下なもんですから、そこから越水ね。越えた水がですね、一気にここへ、ずーっと流れ込んじゃったわけですよね」
実は、医院があったのは地上よりも低い場所に部屋などがある「半地下」。大量の水が、一段低くなっている医院に流れ込み、被害を拡大させました。
こうした水害を防ごうと、水をせき止めるための「止水板」が取り付けられるよう新たに整備。大雨が予想される際には、止水板を設置して水が入るのを防ぐといいます。
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これから迎える本格的な秋の大雨シーズン。
約20年前には、新宿区内で地下室が浸水し、1人が死亡する痛ましい事故もありました。地上がわずか数センチ浸水しただけでも、水が集まる「半地下」。住んでいる地域のハザードマップを確認するとともに、建物が水が集まりやすい構造か、そして、水害対策が行われているか。今一度、確認しておくことが大切です。