「輸血拒否」広め…エホバの証人「元幹部」が証言 ムチ打ち・輸血拒否は“宗教虐待” 弁護団報告書
ムチで打つ、輸血の拒否…宗教団体「エホバの証人」のこうした教義が“宗教虐待”にあたるとして、宗教2世らを支援する弁護団が報告書をまとめました。教団で輸血拒否などの教えを広める立場にいたという元幹部が20日夜、語った実態とは――。
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20日夜、キリスト教系の宗教団体『エホバの証人』の元幹部の男性が、顔を出してzeroの取材に応じました。
「よろしくお願いします」
「エホバの証人」元幹部 根尾さん(仮名)
「私は『長老』という立場で、医療機関連絡委員という、さらに『選ばれたグループ』の中に所属して、輸血拒否に関する活動をしていた」
佐藤梨那キャスター
「選ばれた人しかなれない?」
「エホバの証人」元幹部 根尾さん(仮名)
「そうですね」
教団幹部として、「輸血拒否」などの教えを広める立場だったといいます。
「エホバの証人」元幹部 根尾さん(仮名)
「都合のよい情報だけ、信者たちに流しているので、『この方は、本当は輸血すれば助かったけど、亡くなりました』…という情報は一切、伏せてしまうので」
男性は10年前、一度、他の幹部の行動について意見をしたところ、「排斥」という処分を受け“破門”になったといいます。
「エホバの証人」元幹部 根尾さん(仮名)
「排斥=悪魔・サタンである、人間ではない、と。」
佐藤キャスター
「ご実家に帰れない?」
「エホバの証人」元幹部 根尾さん(仮名)
「帰れないですね…。一度だけ、実家に赴いて話しかけようとしまして、『お前は危険人物だから、不審だし、警察に連絡する』と(言われた)。これまで、7年間1度も会えていない」
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あまりに厳格な、教団の教え――。
20日、「エホバの証人」の2世らを支援する弁護団は、266ページにわたる「調査報告書」を公開しました。
支援弁護団の調査報告書
「虐待行為が日本全国であまねく、数十年にわたり行われてきた」
全国の元2世ら581人へのアンケート結果などから、教団の教義が“宗教虐待”にあたる、と訴えました。
報告書では、回答者の92%が「ムチ打ちを受けたことがある」と回答しました。多くの場合が10数年の期間にわたっていて、ムチの種類も、素手からベルト、ベルトからホースというように、徐々に痛みの強いものに変わるケースが報告されました。(※支援弁護団の調査報告書による)
また、教団側が“聖書の言葉に従いたい”との願いから、輸血を拒否している問題については、回答者の81%が「“輸血拒否カード”を所持していたことがある」と答え、大半が「保護者から言われたから」と回答しました。
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20日、弁護団は、教団の教義が“宗教虐待”にあたると、こども家庭庁に通告しました。
ともに声をあげたのは、宗教3世のナオトさんです。
両親が信者・宗教3世 ナオトさん(20・仮名)
「当事者として、言いたいことは、ひとつだけです。とにかく、社会に実態を知っていただきたい」
――いま手に持っているのは?
両親が信者・宗教3世 ナオトさん(20・仮名)
「僕の治療記録。カルテですね」
zeroにみせてくれたのは、医師のカルテです。
両親が信者・宗教3世 ナオトさん(20・仮名)
「家族がエホバの証人で、輸血等はできないと。それらの説明が書いてあるのが、とても異常なことだと」
ナオトさんは、10歳のときに心臓に異常が見つかり、医師からは「輸血」が必要な手術を勧められたといいますが、両親は最後まで「輸血」を拒否したといいます。
さらに。
両親が信者・宗教3世 ナオトさん(20・仮名)
「(両親らから)『教えを信仰しているので、輸血はできません』、『そう言いなさい』と。ぼくの言葉で説明するけど、『信仰心がたりない』、『嫌々説明しているように見える』と、そうした理由から、親からムチを受けました」
――ムチは、どういうふうにうける?
両親が信者・宗教3世 ナオトさん(20・仮名)
「母親は、孫の手などを使って僕をぶつ、みたいな」
成人して、自分で「手術」という選択を選べるようになるまで、ナオトさんは8年間「手術」ができなかったといいます。
――教団に対しての思いは?
両親が信者・宗教3世 ナオトさん(20・仮名)
「両親たちに対する怒りは消えません。その指示をしたのは、教団の教えです。教団の教えが、家庭を崩壊させているのではと」
一方、教団側は日本テレビの取材に対し、弁護団の調査の事実関係がわからないとしたうえで、「近日中にプレスリリースをお送りする予定」だとしています。
(11月20日放送『news zero』より)