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「エホバの証人」“児童虐待” 「ムチ」「輸血拒否」の実態とは 元2世信者・現役幹部などが証言

2023年3月1日 1:32
「エホバの証人」“児童虐待” 「ムチ」「輸血拒否」の実態とは 元2世信者・現役幹部などが証言

キリスト教系の宗教団体「エホバの証人」で、信者の子どもに「ムチで打つ」などの児童虐待が行われているとされる問題。教団3世の女性、元2世信者、現役幹部の証言などから、「ムチ」「輸血拒否」問題の実態に迫ります。

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2月28日夜、「news zero」が話を聞いたのは、自身は信仰経験がない「エホバの証人」3世の夏野ななさん(仮名・30代)です。

夏野ななさん(仮名・30代)
「問題になっている『輸血拒否』とか、『ムチ』も日常的に受けていましたし、本当に普通に子どもとして生活ができない。『なんでうちはこうなんだろう』とすごく思いましたね」

教団をめぐり、今問題視されているのが、教義に基づく児童虐待が行われているとする訴えです。

「エホバの証人」問題支援弁護団 田中広太郎弁護士
「過酷な身体的、ダイレクトな虐待。10年もの間、子どもたちが定期的に苛烈な暴力を受ける。これが『ムチ』です」

「エホバの証人」問題支援弁護団 田畑淳弁護士
「信者の親は教団から『輸血拒否を神が求めてる』と教えられている」

キリスト教系の宗教団体「エホバの証人」は教団のホームページによると、1870年ごろにアメリカで始まり、信者は239の国と地域で800万人以上、日本には約21万人いるといいます。その教団内で「子どもをムチで打つ」「子どもへの輸血を拒否」といった虐待行為が行われていると、弁護士らは訴えます。

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「ムチ」の実態とは、どのようなものなのでしょうか。

夏野さんは熱心な信者である両親から「ムチ」を受けたといいます。

夏野ななさん(仮名・30代)
「神を疑うというよりも、ただ純粋な疑問を口にしただけで、『ムチ』をされたことも何度もある」

――間違ったことしたからたたくとかではない?

夏野ななさん(仮名・30代)
「そうです。頭の中までちゃんと100%『エホバの証人』の思想でないとムチの対象」

親たちは“痛みが強ければ強いほど、子どものためになる”と信じ込んでいたといいます。

教団の元2世信者である団作さん(仮名・20代)にも話を聞きました。団作さんも、母親から「ムチ」を受けていたといいます。

団作さん(仮名・20代)
「電気コードで主にでん部(尻)を打たれると。電気コードを何重にも束ねて打つので1発1発の衝撃は非常に大きくて、ミミズ腫れになりますし、お風呂に入れば飛び上がるくらいに染みるわけで、(痛みで)イスにも座れない…それが数日とか一週間とか続く」

なぜ、子どもを激しくたたくのか。教団のホームページを見てみると、“聖書の言葉”として「むちを控える人は子供を憎んでいる。子供を愛する人は懲らしめを怠らない」と掲載されています。

一方、去年12月、厚生労働省は宗教を理由とした児童虐待への対策をまとめたガイドラインを発表。ムチで打つなどの暴行を加えることは理由を問わず、身体的虐待に該当すると具体的に示しました。

これに対し、教団側は「組織に不満を持つ元関係者のコメントのみに基づいて、ゆがんだ報告や誤った結論が出されていることに私どもは心を痛めています」とする一方で「子どもと心が通じていない懲らしめは虐待だとし、法律を守ることも大切」だともしています。

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続いて、「輸血拒否」問題です。教団の現役幹部から証言が得られました。

「エホバの証人」現役幹部
「輸血を受け入れたがために破門になるとか、(輸血を)教団側に知られた場合は、一定の罰を受ける」

幹部しかアクセスできないサイトを見せてもらいました。教団から出された「親として子供を血の誤用から守る」と題する内部文書には、「固く決意し、子どものために輸血を拒否しなければなりません」と書かれていました。

教団に根付く“輸血を受けない”との教え。信者は今も「輸血拒否」のカードに署名しているといいます。夏野さんも小学生の時、首にさげ、毎日肌身離さず持ち歩いていたということです。

――学校に行く時も常に?

夏野ななさん(仮名・30代)
「そうです、首からかけるビニールのケースに入れて。家から出る際は必ず、首にかけたかを親にチェックされて出掛けていました」

厚労省のガイドラインでは、治療として必要な輸血を拒否させることは、子どもへのネグレクトに該当するとしています。これに教団は「医療の選択は個人や家族の決定であり十分な話し合いに基づいて決めるべき事柄です。『エホバの証人』は命を大切にしており、自分や子どもたちが最善の医療を受けることを願っています」としています。

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夏野ななさん(仮名・30代)
「苦しんでいる子どもがいることをまず、皆さんに知っていただいて、他人事ではなくて子どもたちのことを本当に考えていただきたいなと」

団作さん(仮名・20代)
「子どもの人生を破壊する宗教団体なんですよ、彼らは。社会で議論しなければいけない、危険な団体だと申し上げたい」

弁護団は、「エホバの証人」で教義に基づく児童虐待が行われていると厚労省に申し入れをしました。2月28日、加藤厚労相は、「さらなる対応ができるか検討する」と述べ、実態を把握したいとしています。

(2月28日放送『news zero』より)

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