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人材確保に「バーチャル社員」――辞めても「10%オフ」社割でつながり “一段落”主婦を正社員に…出戻り歓迎の企業の狙い

2023年4月12日 11:36
人材確保に「バーチャル社員」――辞めても「10%オフ」社割でつながり “一段落”主婦を正社員に…出戻り歓迎の企業の狙い

会社を辞めた後も「バーチャル社員」として10%オフの社員割引が適用されたり、子育てが落ち着いた主婦を正社員に登用したりと、企業が人材確保に期待した取り組みを展開しています。元従業員とのつながりを活用している現場を取材しました。

■新商品の試食会に集まった元従業員

都内で行われていた、新商品の試食会。お湯を注ぐだけのフリーズドライのおかゆが出されていました。手がけたのは「食べるスープ」の専門店、スープストックトーキョーです。

これまで開発したスープは300種類以上に上りますが、今回は自宅で簡単に楽しめるおかゆを4種類、新たに開発しました。

「ゆずの風味がちょっと薄いかもしれない。チーズがちょっと濃いかもしれないですね」「梅とトマトはブラックペッパーとかタバスコとか、ちょっと足して食べたくなる」

さまざまな感想が寄せられましたが、参加していたのは過去に働いていた元社員や元アルバイトです。「2020年まで働いていました」「今はコスメ関係で働いています」と言います。家具店に勤務したり、学校の事務をしたりと現在のキャリアはさまざまです。

■専用の社員証も…「バーチャル社員」

「バーチャル社員」と呼ばれ、専用の社員証もあります。その数は約1700人。辞めた後も“つながり”を持ち続けるのには、ある思惑があります。

スープストックトーキョー・松尾真継社長
「うちのブランドをよく知っていて働いたこともあって、という方がキャリアも身につけて(会社に)戻ってきてくれれば」

転職を考えた時にまた戻ってきてもらう、「人材確保」の面でも期待しています。

バーチャル社員には様々な特典があります。店舗で社員証を提示すると正社員と同じ割引が適用されます。また月に1度、会社の近況を知らせるメールマガジンが配信され、社内のイベントにも招待されます。

試食会に参加した1人は「既に会社の人じゃないですけど、愛着が湧くというのはあると思いますね」。実際、13年ぶりに正社員として戻ってきた人もいるといいます。

■戦力確保へ「子育て一段落」に注目

一方、ファミリーレストランでも人材確保の取り組みがなされています。

群馬・伊勢崎市のガストで働く小暮広美さん(46)。結婚を機に仕事を離れて約20年ですが、子どもが高校に入学した去年から正社員として働き始めました。

ガストを運営する「すかいらーくグループ」は、「子育てが一段落した人」に注目。子育てで長期間仕事から離れていた人たちを、子どもが成長し、手がかからなくなったタイミングで正社員として採用。戦力になってもらおうという取り組みです。

■久々の復帰に「働くっていいな」

結婚前、ハンバーガーショップで店長を務めていた小暮さん。約20年ぶりに働いてみて、「覚えることもあって大変なんですけど、社会とのつながりができて、いろんな人と話をしたり、やっぱり働くっていいなと思って」と言います。

子どもたちも家事を手伝うなどして、母の挑戦を応援します。

長男の航大さん(16)
「昔働いていたっていう経験があるんだったら、それを生かせる仕事についた方がいいと思うし」

長女の夏美さん(18)
「帰ってきてから楽しそうに仕事場であった話をしてくれるので、生き生きしているのが本当にいいな」

すかいらーく人財本部社員採用チームの中西匠さんは「子育てのキャリアや、多くの人と関わってきた中で育まれたことは、店舗で活躍できる大きな要素かなと。お店を担える可能性がある方を、しっかりと採用につなげていきたいと思います」と話します。

■落合さんに聞く…人材どう確保?

有働由美子キャスター
「会社や仕事に愛着があるけれどいろんな状況で辞めざるを得なかったという人は、周りにもけっこういます。辞めた人にとっても企業側にとっても、特に中高年の再雇用にとっては良いアイデアかなと思います」

落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「(スープストックトーキョーとすかいらーく)どちらの取り組みも効果がありそうだと思いました。僕も会社を経営していますが、これ以外に例えばリファラル採用、つまり誰かの紹介や推薦によるマッチングは企業文化に合った人を探すのによく使う手です」

「(求職者)本人が1人で探すよりも、周囲のネットワークの方がより広いので、本人が気付いていないような新しい仕事の適性も、このように人とつながっていれば見つかるかもしれませんね」

(4月11日『news zero』より)