オミクロン株へ…治療薬「効果に自信」ナゼ
新型コロナウイルスの新しい変異株「オミクロン株」への対策として、製薬会社側から、新しいワクチンの生産に向けた動きや、「治療薬が有効である」との発言が出ています。治療薬は岸田首相が「年内の実用化」を目標にしていますが、最新の状況を確認します。
■ファイザーCEO「非常に自信」
有働由美子キャスター
「(新型コロナウイルスの新しい変異株)オミクロン株を広げないための、ワクチンや治療薬の新しい情報も入ってきています」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「まずワクチンについて、ファイザーもモデルナも、『新しいワクチンを生産する用意がある』と改めて言っています」
「そのファイザーのアルバート・ブーラCEOは29日、『自社が開発する新型コロナの飲み薬・パクスロビドは、オミクロン株にも有効だと非常に自信を持っている』」と発言しました。
■ワクチンと治療薬「違い」は?
有働キャスター
「オミクロン株は詳しくまだ分かっていない部分がありますが、自信を持って言えるのはなぜでしょうか?」
小野委員
「飲み薬は、そもそも変異に対応できるように開発されているものが多いです。ワクチンとの違いについて見ていきましょう」
「ワクチンによってできる抗体は、体の中で、スパイク(突起)の部分を標的にします。ただこのスパイクタンパクは変異しやすいので、激しい変異が起きると効き目が下がる可能性があります」
「一方、抗ウイルス薬はウイルスの内部に作用してウイルスが増えないようにするというものです。スパイクタンパクがどう変異しようと関係ありません。オミクロン株のように激しい変異があって、ワクチンを改良する場合でも、その間、重症化を防ぐということでは治療薬に頼れる可能性があります」
■年内は…治療薬「実用化」いつ頃?
有働キャスター
「岸田首相も、治療薬については『年内の実用化を目指す』と話しています」
小野委員
「ファイザーの『パクスロビド』は、治験の最終段階です。アメリカのメルク社が開発する『モルヌピラビル』はヨーロッパで既に承認されていますが、日本ではこれからです。塩野義製薬も開発中で、今は治験の最終段階です」
「申請から承認までは一定の期間がどうしても必要なので、年内に間に合うかどうか、分からないという状況です」
■どう向き合う? 落合さんに聞く
有働キャスター
「繰り返される変異株の出現ですが、私たちはどういう風に捉えて、過ごしていけばいいのでしょうか?」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「変異株が出てくることは前々から予想されていたことなので、粛々とやっていくだけだと思います」
「今回、すぐ水際対策をしたことは評価されるべきだと思っています。逆に言うと、海外に行くかもしれない予定が狂った人は身近にもいます。例えばドバイ万博でジャパンデーを開く予定だった人など、どうなったのかなと、ちょっと心配ではあります」
「治療薬はもちろん予防に効くものもありますが、予防できるわけではないものが多いので、(コロナに)かかって治す治療薬と、かからないワクチンは、どちらか一方ではなく両方進めていく必要があると考えないといけません」
有働キャスター
「私たち人間の側も、ワクチン、治療薬、何よりこれまで効果があったマスクに手洗いと、コロナとの戦い方は分かってきていますので、やるべき対策をしっかり続けていきましょう」
(11月30日『news zero』より)