父親「幸せだった家族壊された」元園長に禁錮1年4か月 通園バス園児置き去り死亡
静岡県の認定こども園で3歳の女の子が通園バスに置き去りにされ、死亡した事件の裁判で、元園長に禁錮1年4か月の実刑判決が言い渡されました。裁判を終え、女の子の父親は「幸せだった家族を壊された」と話しました。
河本千奈ちゃん(当時3)
「うごいている、あかちゃんが」
河本千奈ちゃん。亡くなる3か月前に、ミルクをあげていたのは生まれたばかりの妹です。今年、2歳になりました。
千奈ちゃんの父親
「二女が大きくなって、千奈の遺影を見ながら『ねーね』って言って手を合わせたり。そういったことが本当に私たちはつらく、耐えられません。本当に幸せだった家族を壊された」
「(二女が)何しても泣きやまない時がある。千奈もそういうことがあったので重なったり。置き去りにされた車内の中で千奈も必死にもがいていたのかもしれない、大泣きをしていたのかもしれないと思うと、耐えられない時がある」
静岡県の認定こども園、「川崎幼稚園」に通っていた千奈ちゃん。2022年9月、最高気温が30℃を超える中、千奈ちゃんは通園バスに約5時間置き去りにされ、重度の熱中症で亡くなりました。
バスを運転していたのは、元園長の増田立義被告です。
川崎幼稚園元園長 増田立義被告(2022年9月)
「チナツちゃんがどの子とは、よく把握しておりません」
事件直後、亡くなった千奈ちゃんの名前を間違えた上、その表情は…
川崎幼稚園元園長 増田立義被告(2022年9月)
「そうか、廃園になるかもしれないね」
業務上過失致死の罪に問われた増田被告と元クラス担任の西原亜子被告。事件から1年10か月、判決の日を迎えました。
スーツ姿で法廷に立った2人。遺族もついたて越しに参加しました。裁判長は増田被告に対し「安全意識の欠如がはなはだしく、執行を猶予する余地は認められない」と禁錮1年4か月の実刑判決を言い渡し、西原被告に対しては禁錮1年、執行猶予3年を言い渡しました。
裁判長
「他の事件に比べて増田さんは重い責任がある。あなたの過失によって引き起こされ、回避できなかったあなたの責任は重いです」
そして、声を詰まらせ涙ながらに…
裁判長
「千奈ちゃんは両親を幸せにするために生まれてきました。本件のために生まれてきたわけではありません」
判決後の遺族の会見で、千奈ちゃんの父親は…
千奈ちゃんの父親
「まずはじめにホッとしましたし、よかったなと。納得はできる判決にはなりました」
――千奈ちゃんにどういう言葉を?
千奈ちゃんの父親
「『よかったね』とはあまり言えないのかなと。いつも謝っているので『ごめんなさい』と謝ると思う」
父親は、毎日、手を合わせる度に千奈ちゃんに謝っているといいます。
千奈ちゃんの父親
「元通りに戻らないからです。千奈ちゃんは私たちが経験したことがない苦しみを味わいながら亡くなった。これで実刑になってよかったねとは思えない。それでも助けられなくてごめんなさい、親としてはそう思うんじゃないでしょうか、みなさん」
事件後も、営業を続けている川崎幼稚園。今回の判決を受け…
川崎幼稚園
「二度とこのような悲惨な事故を起こさないよう、安全管理を徹底し、信頼回復に努める所存です」
千奈ちゃんの父親は、今後も「廃園を求め続ける」ということです。