【タカオカ解説】アメリカ大統領選 バイデン氏撤退・大逆転のシナリオ「30代・無名の若者」が新候補に!?トランプ陣営は副大統領にサプライズ?7月の共和党大会を見たバイデン陣営の発表に注目!
世界が注目するアメリカ大統領選挙、前大統領トランプ氏の支持が高まっており、CNNの調査によれば、大統領選の討論会でトランプ氏が勝者と評価した割合は67%に達しました。バイデン大統領の支持が低迷する中、後継者としてハリス副大統領やニューサム氏が挙げられていますが、その中で若手や無名の候補が注目され、トランプ陣営もその動向に警戒しているといいます。これからの大統領選の行方を、読売テレビ解説委員長・高岡達之が徹底解説します。
バイデン大統領失敗の討論会で撤退? 実は辞められると困るトランプ前大統領
日本にとって大変大きな影響があるアメリカの大統領選挙の現状です。先週、生でご覧になった方もいらっしゃると思いますが、トランプ前大統領とバイデン大統領の直接対決討論会がありまして、正直申し上げて終わった瞬間から、ちょっとバイデン大統領無理ではないかと、これはやっぱり意図的かどうかは別としても大変衰えが目立ちました。
世界最大の軍事力・核大国の指導者ですので、やっぱりそういう声がおきるのも当然なんでありますが、じゃあトランプ前大統領は追い風が吹いてもうイケイケかと言うと、実は一方で大変今困っておられるというか怖がっておられるという話があります。というのは、「じゃあ分かった」と「もう私出るの辞めます」とバイデン大統領が出馬を辞めますと言われてしまうと、逆にどんな相手が出てくるか分からない。その時にトランプ前大統領がぜひとも避けたい「予想」を本日は詳しく解説します。
揺れるバイデン大統領「この人たちに言われたら痛い」ある会社とある個人そしてカギを握るユダヤ系公人のトップ
米国の場合はですね、「家族に言われたから」「娘に言われたから」「配偶者に言われたから」これ結構聞くんでございますが、この週末バイデン大統領はご家族と別荘に行かれました。家族はやる気満々です。「諦めちゃダメよ。やるのよ」という話になったそうでございまして、戦い続行かというところなんですが、やはりですねご家族がやれやれと言っても、バイデン大統領ちょっと揺れておられるかもわからないと言われるのは、アメリカの有権者にストレートに「やっぱりこの人たちに言われるんだったらバイデン大統領も痛いですよね」という“ある会社”と“ある個人”があります。
まず、一人はアメリカ人では大変有名な人です。日本では、お好きな方はお好きというボブ・ウッドワード氏というアメリカの本当に“すご腕のジャーナリスト”です。歴代の大統領の“内幕本”を本人に取材して書いて毎回ベストセラーになっています。中にはこの人の記事のおかげで大統領を辞めたという人もいるぐらいでございますが、この方、もともとあまりトランプ前大統領のことをよく書きません。直接取材もされている本を3冊か4冊出していますけれども、トランプ前大統領に関わる本は、タイトルを見たらあんまりいい感じを持てないと丸分かりです。「恐怖」とか「危機」とか「怒り」がタイトルに必ず入っています。だから、どちらかというとバイデン大統領に頑張ってほしいという形でしたけど、この方が(討論会を見て)「とてもひどくて最悪だった」という言い方をして、「(バイデン大統領は)避けられないんじゃないか辞めるのは」という言い方をしました。
それから「ニューヨークタイムズ」これニューヨークの新聞です。ニューヨークというのは本当に民主党バイデンさんの陣営の支持する方が大変多いところ。そこの代表する新聞社が「もはや身を引くべき時だ」という言い方をしていて、この2つは全米の有権者に大変影響力があるわけであります。とは言っても、やっぱりバイデン大統領ご自身の戦いでないわけです。やはり「トランプ元大統領、それから共和党に負けるわけにはいかない」というその陣営の考え方としては、何とかここから時間がなくても逆転したいという戦略が3点ございます。
まずバイデン大統領が一度諦めるというにしても、ご家族に言われて諦めたらあまりにもアメリカ的で、「じゃああなたは自分で決められないんですか」ということになるわけですが、ちょっと今バイデン大統領が苦しんでいる問題に関わる、この人に言われて私やめたんですと強調すると、実はバイデン陣営の得点は上がると言われております。その方、ご覧の皆さんはあんまりご存じないと思います。チャック・シューマーさんというアメリカでは大変有名で映画で取り上げられるような超有名上院議員です。この方はですね、アメリカの議会のドンでもあります。まあバイデンさんの後ろ盾でもあります。ニューヨークから選出をされていますので、民主党の大物です。大事なのはこの人ユダヤ系なんですね。ユダヤ系の方が日本で言う「公の仕事」公職の中では最高位についておられます。院内総務といいまして、もう民主党の議会のトップです。バイデンさんにとってものすごい逆風だったのは「イスラエルガザ問題」なんですね。当然アメリカではイスラエル・ユダヤ系の方は、お金持ちが多いですから、アメリカはイスラエルを応援する。しかしアメリカの若い人たちは、バイデンさんに失望したというのは、ガザの子供たちやなどの映像流れてきますよね、バイデン政権はずっとその戦争に弱い立場の人たちが傷ついているのをほったらかしにするのか?ということで人気落ちていたんです。シューマー氏は、イスラエル寄りのユダヤ系ですから応援するのかというと、実はバイデンさんとすごく溝がありまして、イスラエルのネタニヤフ首相を名指しで春先からずっと「軌道修正しろ」と「ガザの人たちの保護策を考えろ」と。これはもう全然バイデン政権がやっていることと違うわけです。しかもこの方は退役軍人の支援をめぐって、アメリカの軍人から大変な支持があります。だからまあ大きな票を握っている人です。この人に「じゃあ辞めなさい」と言われたということが、いつ発表になるかということをアメリカのメディアがちょろちょろ書くんですね。これね、実は言ってもらった方がバイデン陣営にとっては得点になります。こんなにイスラエルに同情すると思われていた人ですらやっぱりちゃんとした常識を持っているんだと。その人の常識をちゃんと大統領は受け入れたんだ。ということになりますと、わがままを突っ走ってるという風には取られないということです。
民主党が勝つためにバイデン大統領の代わりは「想像を超える人選・名前なんかいらない」
作戦その2です。じゃあバイデン大統領が「出るのを諦めます」となると、時間がないけど誰に代えるかってことです。もうすでにお名前が出ている人は、日本で有名な方といえば副大統領のハリス氏ぐらいでしょうか。支持率が低い。まあダメでしょうと言われています。その次がハリウッドを抱えてるカリフォルニアの知事・ニューサム氏なんですが、それでもトランプさんの今の支持率には無理だろうと言われています。どちらもアメリカでは聞いた名前です。そこで言われているのは、こういう人たちではなくて、有権者の想像を超えてくる人選をしなきゃダメだと。
そうすると「誰だ」ということになりますが、アメリカのメディアで言われているのは、「名前なんかいらないんだ」と「無名でいいから極端に若い人」。今、フランスで大統領を追い詰めてる野党の党首は28歳です。マクロン大統領も就任した時30代です。だからもう50代ぐらいの知事に若返る程度だと驚かない。一気に30代ぐらいの人を出す。そうするとね、無名な方がいいんです。無名だと、「どんな人なんですか?誰なんですか?その人は一体どういうバックグラウンドがあって何を主張しているんですか?」と、もうマスコミの報道をハイジャックみたいにしちゃいます。だからこっちの方がいいんだということです。ただお墨付きが必要です。その若い世代の人はバイデンさんが見つけてきて、バイデンさんが自ら指名したんだという体を繕えば、トランプ前大統領にとっては一番望ましくない形なんです。
トランプ陣営は想像を超えた副大統領候補 発表直後にバイデン陣営が逆襲?
そういうことになると、トランプ前大統領が黙っているかというと、そうはいかないですね。トランプ前大統領もですね、もうすぐちゃんと正式な候補になりますので、今のうち打っておく手としては、こっちも有権者の想像を超えてきます。「トランプ前大統領が普通選ばないだろう」という人を副大統領候補に選ぶつもりだと言われています。それは今まで、第一期のトランプ大統領時代にすごく差別的な発言をして「出て行け」とまで言った黒人系の人、それから壁作って出て行けと言った移民系の人、そういう人たちを副大統領候補に選ぶんだと。これは大いに考えていると言われています。それはそうです。この人が大統領になったら、自分以外誰の言うことも聞きませんので、副大統領は誰でもいいということもあります。
さあ、そこでこれから先ですが、やっぱりその発表の仕方にかかってきます。もうすでにトランプ前大統領の方が、実は野球で言うと先攻・後攻の先攻になっちゃったんですよ。で、トランプ前大統領が正式に候補になる共和党の全国大会は7月15日、もう間もなくです。実は、この大会でトランプ前大統領陣営の方が全部カード出しちゃいます。つまりその予想外の副大統領候補も全部言わないと自分の陣営決まらないわけです。そして、バイデン大統領の方は、不利と言われていますが、8月までまだ1か月あります。後出しです。まず、トランプ前大統領陣営を見られるわけです。見た後で、「ははそういうことなんですね」と。だったらさっき申し上げた予想を超えた若者を出すと。実はこれ現実に民主党がやりました。オバマ大統領です。ほとんど無名でしたが、あっという間にスターになってきます。ということを狙っているんだと思いますが、バイデン大統領側は最高のタイミングを待つと思います。それはトランプ前大統領が、共和党大会で指名をされて、カードを全部切り終わったその直後が一番いいですね。つまりメディアは全部「トランプさんに決まりました。副大統領は、これはトランプさんの政策が見えます」というニュースを書き飛ばしてしまいます。バイデンさんが諦めてものすごいスターが出てきた、若い人が。ということになりますと、ご覧の皆さん、日本のニュースも大変でございますが、アメリカ時間7月18日~19日の間にトランプ前大統領確定、カード全部出す。その時にバイデン大統領は、どれだけ想像を超えてくるか?だけどバイデンさん続投もあるんです。それは、違う意味の想像を超えてくるわけです。
(「かんさい情報ネットten.」2024年7月2日放送)