自民党総裁選…徹底分析「候補者たちの夏」後編
9月に行われる予定の自民党総裁選。総裁の任期切れまで約3か月もある中、早くも「ポスト岸田」レースは熱を帯びている。実質、内閣総理大臣を選ぶ大事な戦い。日本テレビは、現時点で立候補に向けて動きのある人たちの最新状況を徹底分析します。
注目④ 石破茂(67)【出馬を模索】
●最新コンディション
国会議員の中でも知名度トップクラスの石破元幹事長。過去4回、総裁選に出馬した経験もあり、本人は常に総裁選を意識してきた。本人は出馬に関して「よく考えることが必要」と述べ、模索を続けており、判断は7日の東京都知事選挙以降になるという。
●ストロングポイント
NNNと読売新聞の世論調査で常にポスト岸田として上位に名前があがる「圧倒的な知名度」が石破氏の強み。石破氏が出馬すれば、自民党員の投票で優位になることが予想される。また、衆議院議員の任期が残り約1年となる中、ある閣僚経験者は「今の低支持率を回復させて、選挙の顔に一番なれるのが石破茂だ」と期待を寄せる。さらに裏金事件で自民党への逆風が強まる中、若手議員からは「無派閥の石破氏は「刷新」イメージが出やすい」と推す声があがっている。
●ウィークポイント
国会議員の支持をどこまで広げられるかが最大の課題だ。石破氏は勉強会等は定期的に開催しているものの、自身の派閥「水月会」を2021年に解散していて、石破氏を支える国会議員らの顔ぶれがハッキリしていないのが現実だ。石破氏は1日、菅前首相らと会談。「非主流派のキーマン」菅氏の支持を得ることができるかもポイントとなる。一方、安倍元首相との対立も記憶に新しい中、安倍氏を慕う議員らの中に「石破アレルギー」といわれるものも存在している。
注目⑤ 河野太郎(61)【出馬に意欲】
●最新コンディション
河野氏側近は先月、「総裁選に出ない選択肢はない」と、河野氏の「総裁選出馬に向けた意欲」に変わりがないことを明らかにした。河野氏は先週、会見で出馬について聞かれ「28年前から言っている」と発言。側近は「現職大臣であるから『出馬表明』ができないだけで気持ちは変わっていない」と説明する。
●ストロングポイント
河野氏周辺は「知名度と閣僚としての経験、人気と実力を最も兼ねそなえているのが河野氏」と話す。世論調査で次の総裁候補として上位に名前があがってきた「知名度」に加え、デジタル大臣、ワクチン大臣、外務大臣などを歴任してきた「実績」、そして誰もが認める「突破力」が魅力というわけだ。何としても得たいのが、55人が所属する麻生派の「まとまった支持」。麻生副総裁とは1対1の会談を繰り返し、麻生派全体の支持獲得を狙っている。その上で、前回の総裁選で支持を得た党内の議員から再び支持を得て、どこまで拡大できるかがカギを握る。
●ウィークポイント
前回の総裁選で河野氏を支えたある議員は「今回、支持するかは麻生派を離脱することが条件だ」と話している。河野氏に対して「人気は陰りが見える」(若手議員)との声も多い。その最大の要因は、多くの派閥が解消する中、河野氏が「麻生派を抜けない事だ」という指摘が多い。前回の総裁選で河野氏を支持した菅前首相も、周辺によると「派閥にいる限り応援は難しい」と話しているという。麻生派の支持獲得に比重を置けば無派閥の支持を失いかねず、「両立が難しい」(周辺)という問題をどう克服するかが最大の課題だ。
●最新コンディション
中堅・若手議員の間で「出馬待望論」が広がっているのが、小林鷹之議員、49歳。裏金事件で傷ついた党のイメージ刷新を担うのに期待が集まる。ある若手議員は「まだ誰も小林を担ぐと明言してはいないが、自然発生的に若手が集まる」と語る。小林氏自身も総裁選について「時が来たらチャレンジしたい」と出馬への意欲をにじませている。
●ストロングポイント
小林氏について、ある自民党の中堅議員は「若くて選挙の顔になる」と話すなど「刷新」の象徴になるのでは、との期待が集まっている。開成高校から東京大学に入り、財務省を経て38歳の若さで初当選、経済安保相も経験するなど、「若手ホープ」として注目される存在だ。小林の「コバ」と、鷹の英語名「ホーク」を合わせた、あだ名は「コバホーク」。周囲からは「謙虚」「悪口を言う人がいない」との声もあがり、中堅・若手議員からは派閥にとらわれず高い評価を得ている。今後、ベテラン議員にも支持を広げていけるかがポイントとなる。
●ウィークポイント
自民党関係者は「どこの誰だか知らない人が手を挙げても、自民党の勢いは回復しない」と知名度の低さを心配する声があがる。最新の世論調査でも、「ポスト岸田」として小林氏を挙げたのは1%と、同じく中堅・若手からの支持が高い小泉進次郎氏の15%と比べてかなり低い。ある自民党議員は「国民の認知を得るには時間がかかる」と指摘。また「小林では総裁選にかかるカネを集められない」(自民党幹部)との声も。準備不足、そして知名度不足をどう克服するかが課題。
●最新コンディション
前回の総裁選での出馬以降、2回目の出馬に意欲を示し続けている野田聖子元総務相。前回の出馬時に推薦人として野田氏を支えた議員らとの定期的な勉強会を行うなど支持拡大を狙っている。
●ストロングポイント
今年2月、BS日テレ「深層NEWS」で総裁選について「準備していく」と意欲を示した。男性中心の政治風土を早くから批判し、女性の政治参画を訴えてきた野田氏に対しては、党内から「初の女性首相候補」として期待の声があがる。また、裏金事件を受け派閥政治への逆風が強まる中、野田氏は周辺に「派閥がバックにない無派閥を貫いてきた自分にとってはチャンスの総裁選になる」と語っている。派閥解消後、初めて行われる戦いで「無派閥」の強みをベースに支持拡大を狙う。
●ウィークポイント
初めて出馬した前回2021年の総裁選では告示日の前日に推薦人20人が集まり候補者4人の中で出馬表明が最も遅くなり選挙戦に出遅れてしまった。前回総裁選で応援した議員の中には「支持拡大の努力が足りていない」という厳しい指摘も。今回もまずは推薦人20人を集められるかが課題となる。
早くも熱を帯びる、自民党総裁選「夏の決戦」。日本テレビは最新状況を伝え続けます。