気象予報士・木原実さんに聞く「なぜ急に暑く?」「暑さはいつまで?」…知っておきたい“熱中症のサイン”
17日は全国297地点で30℃以上の真夏日となるなど、5月としては記録的な暑さとなりました。「なぜ急に暑くなったのか」「暑さはいつまで続くのか」について、気象予報士の木原実さんが解説します。
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外で仕事をしていると、本当に暑いです。特に関東でも内陸部の群馬や埼玉で記録的に気温が上がりました。東京も30℃を超えて“真夏日”になり、今年一番の暑さになったところが多いです。
――まだ5月ですが、なぜこんなに気温が上がったのでしょうか?
複数の原因が重なっているのですが、「気圧配置」と「暖気」です。17日の天気図を見ると南から高気圧に覆われていて、暖かい空気が日本上空に入っています。地上付近では30℃を上回るような暖かい空気が上空に入り、高気圧のへりを回って南風が関東に入ってきています。これが「暖気」で、こうなると南部や都市部の暖められた空気が北へと送り込まれて、どんどん地面で熱せられて温度が上がっていくんですね。
もう1つ、上空に西風が吹いています。この西風が山脈を越えて関東に吹き下ろすのですが、そのときに上空の熱い空気を引きずり下ろしてくるのです。いわゆる山越えの風による「フェーン現象」が起こり、これによって特に関東北部・内陸部に熱い空気が集中したということ。高気圧に覆われていて晴れているので、気温の下がりようがないのです。にわか雨も降りません。
――この季節外れの暑さは17日で終わるのでしょうか? それとも、まだ続くのでしょうか?
18日までは注意・警戒が必要です。18日の各地の予想最高気温を見ると、福島では35℃と“猛暑日”が予想されているほか、東京や富山、名古屋、鳥取などでも30℃以上の“真夏日”が予想されています。福岡だけ予想最高気温が17日より下がっていますが、これは西から雨が降りだしてくるので、曇りや雨で西日本方面から少しは暑さが収まってきます。しかし、特に東日本・北日本では17日以上に気温が上がるところがありますので、注意・警戒が必要です。
特に関東地方を見てみると、17日より最高気温が上がる予想です。千葉では4℃も上がって32℃の予想ですね。前橋では35℃と“猛暑日”の予想です。日差しも照りつけますので、関東地方では17日と同じか、それ以上に気温が上がるので、注意したいのが「熱中症」のサインです。
当事者が気づかない場合でも、めまいがしているような様子や、顔がほてっている様子の人がいたら、声をかけてあげてください。返事がおぼつかないときには、もう熱中症にかかっているかもしれません。それから、筋肉のけいれんや筋肉痛、体のだるさや吐き気などを感じたら、熱中症の始まりかもしれません。こうした兆候が現れたら、体を冷やしたり水分・塩分を補給したりするなど心がけてください。
(5月17日放送『news every.』より)