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【イチから解説】日本一短い「西九州新幹線」誕生のワケ

2022年9月17日 9:58
【イチから解説】日本一短い「西九州新幹線」誕生のワケ

<NEWS 1から解説>

鉄道ファンでもある日本テレビ報道局社会部の田頭デスクが解説するのは「日本一短い新幹線誕生のワケ」。

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■水戸岡デザインの最新新幹線 長く乗っていたいが…約30分で「終点」

いよいよ9月23日、西九州新幹線が開通します。

新幹線「かもめ」としてデビューする車両は東海道・山陽新幹線ですでに活躍中のN700S系と同じ形式ですが、デザインが違います。

車体には毛筆体の「かもめ」の文字におしゃれな赤いラインがあしらわれています。

車内も東海道新幹線だと普通車は横5列ですが、西九州新幹線は普通車指定席なら横4列。グリーン車のようにゆったりしています。

デザインは、JR九州の「ななつ星in九州」など数々の豪華列車も手がける水戸岡鋭治さんです。

「長く乗っていたい」。そんな声もきかれそうですが、快適な新型新幹線も始発駅からわずか30分ほどで終点に着いてしまうのです。

■西九州新幹線でどう変わる?

佐賀県の武雄温泉駅と長崎県の長崎駅を結ぶ西九州新幹線はわずか66キロあまりの距離しかありません。この間に嬉野温泉、新大村、諫早の3駅が設けられます。

この距離、上越新幹線に例えると東京を出発して熊谷が終点というイメージです(約68キロ)。当然、日本一短い新幹線となります(回送線除いて)。

この始発駅の武雄温泉駅。多くの乗客にとっては「乗り換え」のための駅となります。

これまで福岡の博多から長崎まで行こうとしますとこれまでは在来線の特急一本で行くことができました。

しかしこれからはまず在来線特急で武雄温泉まで行き新幹線に乗り換えないと長崎まで行けなくなります。それでも所要時間は最速1時間50分が、30分短くなって最速1時間20分になります。

■在来線がリレー 「乗り換える」新幹線は過去にも…

実は、「乗り換え」が必要な新幹線は「西九州新幹線」が初めてではありません。

同じ九州の博多と鹿児島を結ぶ九州新幹線では2004年に熊本県の新八代~鹿児島中央間が先に開業し、博多~新八代は在来線の特急が結びました。以前は3時間40分かかっていた博多~鹿児島間が2時間10分ほどとグッと短くなりました。1度乗り換えが増えても、大幅な時間短縮で乗客も増加したのです。

一方、今回の西九州新幹線開業で博多~長崎間は30分短縮され1時間20分にはなります。武雄温泉では同じホームで乗り換えはできるのですが、やはりその手間と比べ時短効果は小さいと指摘されます。

そして値段も上がります。多くの方が利用する割引きっぷだと、大体1000円前後、高くなります。

博多(福岡)~長崎は値段の安い高速バスも強力なライバルで乗り換えのないバスに乗客が流れる心配もあります。地元は開業効果に期待する一方で、果たして乗客を増やしていけるのか、観光客を呼び込めるのか懸念する声も聞かれます。

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■「乗り換え」解消メド立たず…
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