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45歳で認知症に…「だれが認知症になっても、自分らしく暮らせるように」当事者の思い

2023年10月2日 11:27
45歳で認知症に…「だれが認知症になっても、自分らしく暮らせるように」当事者の思い

今後、高齢者の5人に1人が認知症になるといわれる中、政府は、9月27日、認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議を立ち上げ、認知症の当事者やその家族などから直接意見を聞くなど、取り組みを始めた。16年前、45歳で、若年性アルツハイマー病と診断された藤田和子さん。「幸齢社会」実現会議の構成員にも選ばれた藤田さんが考える「共生社会」とは。

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認知症の人を含めた一人一人が相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会の実現を推進するための「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が今年6月、成立しました。

認知症の人が自分らしく、希望を持って暮らせる社会の実現には何が重要なのか、当事者で、今回、政府の会議の構成員にも選ばれた藤田和子さん(日本認知症本人ワーキンググループ代表理事)にお話をうかがいました。

■ちょっとした「違和感」がきっかけ

藤田和子さんは今から16年前、45歳の時に若年性アルツハイマー病と診断されました。受診にいたったきっかけは「違和感」だったと言います。

藤田さん
「朝食べたものが思い出せない、夜にそれを食べようと思ったらなかったということがあって。記憶の問題が、年齢にしてはちょっと変だなと思いました」

「自分ではなんともないと思っていたんですけれども、何度も同じ事を言うとか、約束をすっぽかすとか、娘たちからの指摘もあって病院に行こうと思いました」

診断をうけたときの事を、藤田さんはこう振り返ります。

藤田さん
「わたしの場合は本当に日々いろんなことがしんどいなとか、記憶の問題だけではなく、なんか眠れなかったりとか、不安な気持ちだったりとか、ものすごく疲れるし、頭痛がすごくするとか、そういうことがあって」

「その原因がアルツハイマー病によるものだったとわかってほっとしたというか、スッキリしましたね」

自身の不調の原因がわかり、納得した一方、生活では不安を抱くこともあったと言います。

藤田さん
「診断当時は、子育て中でもあったので、生活を変えられないところもあり、自分自身が苦しい思いというのがはじめの頃はあったかもしれないですね」

「やっぱり生活で今まで通りにはいかないというしんどさを感じながら、将来への不安だったりとか、そういうことを感じながらの生活でした。その後、車の免許の返納もありましたし」

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■早期発見の大切さ
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