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受験・不登校…子どものつまずきに親は? 日テレ系こどもdayトークショー

2023年5月7日 16:00
受験・不登校…子どものつまずきに親は? 日テレ系こどもdayトークショー

6日、日テレ系こどもdayのイベントとしてトークショーが行われ、「湘南乃風」の若旦那さん、慶応義塾大学の中室牧子教授、認定NPO法人カタリバ・代表理事の今村久美さんが、親子の対話の大切さや研究成果に基づく子育てのあれこれを語りあった。

◆“大人に言われたくない言葉” 第1位は…

トークショーは日本テレビの鈴江奈々アナウンサーがモデレーターを務めました。

まず、日本テレビとカタリバが共同で小中高生約850人に聞いた“大人に言われたくない言葉”の1位が「こんなこともできないの?」、そして2位が「もう勝手にしなさい」だったことが紹介されました。

若旦那さん
「大人だって、子どもに言われたくない言葉があると知って欲しい」

「うちは、日頃から、お互い1個1個やめてほしいことを出しあって、“俺はこれやめる”、“じゃあ、俺はこれをやめる”と対話を繰り返している。信頼関係ができてきて、向こうも“伝えれば、(親も)直るんだ”、と思い、こっちも“伝えればやめてくれるんだな”とわかる」

「とにかく心地いい家にしたいんだって訴えかけた。だって嫌じゃないですか、不愉快な思いするの」

若旦那さんは、息子さんと率直な対話を繰り返し、お互いにいやなことを無くしていっていると語りました。

◆「偏差値高い学校に行く」=「将来の安定」ではない?

中室牧子教授は、様々な研究結果のデータについて言及。

●こどもに「勉強しなさい」というと、むしろ勉強しなくなる

●こどものオンラインゲームをやめさせても、その分が有意義な時間になるわけではない。ゲームの時間を1時間短縮しても、勉強時間は1分延びただけだった。

●偏差値が高い学校に行くこと自体が、将来の安定に直結するのではない。研究として、いわゆる名門校にぎりぎりで受かった子と、ぎりぎりで落ちて第二志望の学校に行った子を比較したところ、後に進学した学校は変わらなかった。つまりほぼ同じ実力の子ども同士であれば、どこに通うかで進学先に違いは出ないということ。(※そもそも進学校には能力の高い子が集まっているので、結果として、その後偏差値の高いところに進学するという相関関係はあるが…と解説)

今村久美さん
「複数の有名私立中学校でカウンセラーを務める人の話では、一番難しいのは、子どもたちが、私立中学入学後も、小学校時代に通っていた受験塾で“どのランクにいたか”から抜け出せずに、『自分は偉い』、または『自分は出来ない』と錯覚したままでいることだそうです」

「受験塾でテスト結果によって毎週のようにランク付けされたものがしみついてしまう。そして、親がそのような(ランク付け)メッセージを発していることが多いそうです」

◆ゲームやスマホをどうする?

中室教授
「ゲームやスマホによって、こどもの発達や学力形成に決定的に悪影響があると示した研究はそんなに多くはないのが本当のところ」

「ただ、もしスマホを見る時間を減らしたいと考えるなら、スポーツはいい選択肢。こどもの時にスポーツをやると、スマホやゲームの時間が減ったという研究はある。勉強時間を延ばす効果はないと思いますけど」

若旦那さん
「あまりそこに、やっきにならなかった。でも、銭湯に毎日連れて行って、そこで話を聴く時間にした。親子のコミュニケーションが楽しいと思えば、デジタルには行かなくて、会話が増える。お互いに恋愛相談もしてます」

◆不登校でも選択肢はある

今村さん
「例年2万人ずつ不登校が増え、前年度は5万人ふえたと報道された。不登校傾向にある子も含めると、“5人に1人”となる。こどもが学校に行けなくなる、と親からすれば、その日が対応のスタート地点かもしれないが、大人達が気がついてあげられないでいる間、多くの子どもたちはその日までいろいろな我慢に我慢を重ねていて、ついにぷつっと切れて、いわばゴールにたどり着いた形で」

「学校に行けない、おなか痛いといって、トイレやふとんから出てこないという症状として出たということかと。そういう訴えがあったら、まずそれを認めるのがいいかなと思います」

鈴江アナウンサー
「取材していても、こどもが中学校行けないとなると、『レールを外れる怖さ』が親の側にはあると思います」

今村さん
「私達の頃よりも、高校は本当に多様になってきています。偏差値が高い、地域で一番の高校に行ければ人生安泰、でもなくて、もっと自分の好きな教科に打ち込んでいいっていう科目設定の高校も公立でも私立でもあって、そこに行くことが、“負け組”ではない。

「今この学校に行けないから人生が終わったではない。30年前より、大きくとらえたらいいと思います」

中室教授
「不登校になる前段階で、周りの大人達がサインを見逃さないことってすごく大事。そして今、行っている学校が合わなかったら、他のところ、フリースクール、オンラインの学びなどに切り替えられる社会にしていけるといい」

「その学校に引きずってでも絶対行かせるのではなく、こどもが学び続ける状況をどうサポートするのかが重要で、親だって転職活動するので。まだ日本にはそこまでの選択肢がないが」

鈴江アナウンサー
「サインを見逃さない、とは?」

今村さん
「でも、思春期の子は親には上手に隠すんですよね」

若旦那さん
「息子には、お前を最後に救うセーフティーネットは俺だから、とにかく俺にはうそをつかないでくれと、もう何回も言っています。まずは全部肯定するから、何を言っても怒らないからという約束のもとでね」

◆親として子どもに残したい、伝えたいことは

若旦那さんは、親として「これだけは子どもに残したい、伝えたい、一番大事にしていることは何か」を考えてみては?と提案しました。

若旦那さん
「もし親が教えられるのがサッカーだとしたら、こどもにサッカーをやらせて一緒に過ごすことがいいのでは」

今村さん
「私はそうは思わなくて。(息子に)これをやりなさいと、習い事やらせてよかったのかなと。『自分でやると言ったんじゃないの』といいながら、私がやらせている、その自分に苦しくなって。(こどもへの)補助線は必要だけど、親の希望を押しつけているということに自覚的じゃないといけないのでは」

中室教授
「諸外国の研究では、10歳くらいまでは、親が何にどう時間を使うかが、こどもに影響すると示された。10歳をこえてからは、子どもが自分でお金・時間の使い方、人間関係を選んでいくので意思の尊重が大事です。そして10歳までの時間の使い方は、勉強に対するものと体験(スポーツ、キャンプ、博物館に行くなど)に対するものがあって、勉強だけでなく、体験や遊びに対する投資もこどもの認知能力にとても影響があるので、親子で料理やスポーツなどする時間を大事にして」

「また、母親の時間の使い方のこどもへの影響は小さい時はとても大きいが、急速に影響が下がる。父親の時間の使い方のこどもへの影響は低いが、15歳を過ぎても影響が続く。父親の場合、子どもの横でテレビを見るといった、受動的行動すらも、こどもの育ちに良い効果があると言われている」

    ◇  ◇  ◇

体験や研究に基づく内容に、参加した人はうなずいたり、笑ったり、真剣に聴き入っていました。

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